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9、お家デート①〜side 尊〜
③
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さっきの拓真さんの話、聞いてたのに、気付けなかった。拓真さんは「言わない」のではなく「言えない」んだ。小さい頃からきっとそうやって自分の本当の気持ちを押し殺してきたんだ。親に甘えたくてもできなかったように。
僕はちゃんと向き合って謝ろうと、抱き締めていた腕を解こうとした。だが拓真さんが離れていく僕の腕にしがみついてきた。と思ったら離したり、やっぱり掴んだり。何やってるんだろうとついつい笑ってしまった。
「あはは、何やってるんですか」
僕は拓真さんの身体を僕と向き合うようにぐるりと回し抱き締めた。さっきまで怒っていたのに、どうしてって思っているんだろうな。唖然としているのが顔を見なくても空気感でわかる。
僕も大概不器用だと思うけど、拓真さんも僕と同じくらい不器用だ。身体は正直に僕を離したくないって掴んでくれたのに、自分ではどうしてそんな行動をとったのかきっと気づいていないんだ。
「あーヤバい。こんな拓真さん、絶対誰も知らない。それだけで嬉しくてたまんないんだけど」
あ、ついつい心の声が出てしまった。
「えっと、怒ってたんじゃなかったっけ?」
そりゃ困るよね、さっきまで怒って色々言っちゃってたし。でも今の空気なら全部言える気がする。謝るだけじゃなくて、ちゃんと拓真さんのことを思っているってこと、伝えたい。
「はい、怒ってました。でも今は怒ってませんよ」
「そんなこと…」
「あります。確かに僕のこと独り占めして1番に考えて欲しいって思って、拓真さんに言って欲しかったです。だからついカッとなって色々言っちゃいました。でも拓真さんにだって言えない事情はあるわけだし、言い過ぎたなって、今は反省してます。拓真さんのこと何も考えず自分のことばっかりで言い過ぎました、すみません。」
ちゃんと言えただろうか。自分のことしか考えずにまた勝手に感情を押し付けた言い方になっていないか急に不安になってきた。
拓真さんは、何も言わずに僕の腕の中で立ち尽くしている。振り払うこともしないけど、腕を僕の背中に回してくれることもない。この沈黙が僕の心をちくちくと責め立ててくる。
そんな沈黙を打ち消そうと、拓真さんが細い声で謝ってきた。
「ごめん…なさい…正直に言え…言えなくて…う…うまく…言葉にでき…なくて…言えない…んだ…昔から…」
少しずつ、ゆっくりと、つまりながらも離してくれた。肩が震えているのが伝わってくる。言葉と言葉の間に響く拓真さんの息遣いは少し苦しそうで、痛かった。鼓動はとても早くて、いつか倒れちゃうんじゃないかって、怖くなった。
それでも一生懸命話してくれる拓真さんの邪魔をしたくなくて、支えるようにギュッと強く抱きしめ直した。
「本当は…ほ…本当は…」
「無理して今言わなくても…」
「ダメだ…今越えないと…ずっと…言えなくなる…」
僕は何も言わず拓真さんの背中をさすった。今乗り越えようとしているんだ。僕は次の言葉をただじっと待った。
僕はちゃんと向き合って謝ろうと、抱き締めていた腕を解こうとした。だが拓真さんが離れていく僕の腕にしがみついてきた。と思ったら離したり、やっぱり掴んだり。何やってるんだろうとついつい笑ってしまった。
「あはは、何やってるんですか」
僕は拓真さんの身体を僕と向き合うようにぐるりと回し抱き締めた。さっきまで怒っていたのに、どうしてって思っているんだろうな。唖然としているのが顔を見なくても空気感でわかる。
僕も大概不器用だと思うけど、拓真さんも僕と同じくらい不器用だ。身体は正直に僕を離したくないって掴んでくれたのに、自分ではどうしてそんな行動をとったのかきっと気づいていないんだ。
「あーヤバい。こんな拓真さん、絶対誰も知らない。それだけで嬉しくてたまんないんだけど」
あ、ついつい心の声が出てしまった。
「えっと、怒ってたんじゃなかったっけ?」
そりゃ困るよね、さっきまで怒って色々言っちゃってたし。でも今の空気なら全部言える気がする。謝るだけじゃなくて、ちゃんと拓真さんのことを思っているってこと、伝えたい。
「はい、怒ってました。でも今は怒ってませんよ」
「そんなこと…」
「あります。確かに僕のこと独り占めして1番に考えて欲しいって思って、拓真さんに言って欲しかったです。だからついカッとなって色々言っちゃいました。でも拓真さんにだって言えない事情はあるわけだし、言い過ぎたなって、今は反省してます。拓真さんのこと何も考えず自分のことばっかりで言い過ぎました、すみません。」
ちゃんと言えただろうか。自分のことしか考えずにまた勝手に感情を押し付けた言い方になっていないか急に不安になってきた。
拓真さんは、何も言わずに僕の腕の中で立ち尽くしている。振り払うこともしないけど、腕を僕の背中に回してくれることもない。この沈黙が僕の心をちくちくと責め立ててくる。
そんな沈黙を打ち消そうと、拓真さんが細い声で謝ってきた。
「ごめん…なさい…正直に言え…言えなくて…う…うまく…言葉にでき…なくて…言えない…んだ…昔から…」
少しずつ、ゆっくりと、つまりながらも離してくれた。肩が震えているのが伝わってくる。言葉と言葉の間に響く拓真さんの息遣いは少し苦しそうで、痛かった。鼓動はとても早くて、いつか倒れちゃうんじゃないかって、怖くなった。
それでも一生懸命話してくれる拓真さんの邪魔をしたくなくて、支えるようにギュッと強く抱きしめ直した。
「本当は…ほ…本当は…」
「無理して今言わなくても…」
「ダメだ…今越えないと…ずっと…言えなくなる…」
僕は何も言わず拓真さんの背中をさすった。今乗り越えようとしているんだ。僕は次の言葉をただじっと待った。
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