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メール…亜耶
しおりを挟む授業終了のチャイムが鳴り。
「じゃあ、これで終わりにします。」
遥さんの言葉に委員長が号令をかけた。
流石、遥さん。教え方が上手いよ。
何て感心していたら。
「ねぇ、亜耶。さっき、高橋先生に何を教えてもらってたの?」
梨花ちゃんが、私の前に立って言う。
あっ、さっきのやり取りの事どうやって誤魔化そう。
本当は、梨花ちゃんには誤魔化したくないんだけど、まだ伝えていないから……。
「あ、俺聞いてたよ。」
私が、迷ってたところに龍哉くんが助け船を出してくれた。
「本当!? 教えて、龍哉。」
龍哉くんが梨花ちゃんを引き付けてくれた。
そして、二人が話だしたのを見て、真由ちゃん宛のメールを作成。
"こんにちは、真由ちゃん久し振りです。
湯川くんから聞いたよ。でね、遥さんからの提案なんだけど、土・日に泊まりがけで行かないかって、真由ちゃんはどうする? 後、行きたい所に連れてってくれるって、連絡待ってます。 亜耶"
送信すると直ぐに返事が返ってきた。
"久し振り、亜耶ちゃん。
私は、それでいいよ。どこ行こうか?
私的には、ちょっと遠い水族館に行きたい んだけど……。亜耶ちゃんは?"
と返ってきた。
返信速いなぁ。
でも水族館か……。
多方面の水族館、行ってみたい。
"じゃあ、そうしよう。遥さんには、そう伝えておくね。土曜日の十時に迎えに行くから。週末、楽しみにしてるね"
そう送り返して、遥さんにメールを送った。
楽しみだなぁ。
真由ちゃんに会うの二年振りくらいだし……。
「何にやけてるの?」
梨花ちゃんが、私の顔を覗き込んでくる。
余りにも近くて慌てて背を反らす。
それと同時に私の中にある携帯が震えた。
見れば、遥さんからで。
"了解。楽しみにしておいて"
と画面に表示されて、ますます嬉しくなった。
「亜耶?」
梨花ちゃんが、怪訝そうな顔で私を見る。
「ゴメン。今週末に幼馴染みに会えるから、嬉しくて。」
嘘付いてないもの。
大丈夫だよね。
「へぇー。何時振りなの?」
梨花ちゃんの疑いがまだ晴れてないのかなぁ。
「二年ぶりだよ。女子高に通って、理事長先生の娘さんなんだ。ずっと、仲良くしてくれてたんだけどね。お互い忙しくなっちゃって、会えなかったからとっても楽しみなんだ。」
あっ、理事長の娘はいらなかったかな。
でも、口から出ちゃったものは、仕方ないよね。うん。
「そんなに会ってないのなら、楽しみだね。どこに行くの?」
梨花ちゃんが、聞いてきた。
「まだ、ちゃんとした場所は決まってないよ。ざっくりとしかね。」
「そうなんだ。」
疑いの目で私を見てくる梨花ちゃん。
「梨花? あんまり亜耶ちゃんを困らせるなよ。」
龍哉くんが口を挟んでくれた。
「だって、亜耶ってば秘密主義なんだもの。」
梨花ちゃんが不満そうに言う。
「仕方ないだろ。亜耶ちゃんにだって、其なりに言えない理由があるんだから。それに、亜耶ちゃんなら梨花にちゃんと話すと思う。それまで待ってやったらどうだ?」
この時、ほんと龍哉くんが居てくれてよかったと思った。
「その言い方って、龍哉は亜耶の秘密を知ってるの?」
逆に突っ込まれてるけど……。
「知ってるけど、本人が話さない事を俺が話すわけ無いだろう。」
龍哉くんが梨花ちゃんを宥めてる。
「ごめんね。いずれ、話すから……。許可さえ出たら、直ぐにでも話すから、それまで、待ってて欲しい。」
梨花ちゃんには、 "隠していたくない" ってのが本音だけど、遥さんが許可してくれないと話せないから……。
「許可が要るって……。まぁいいわ、待ってるね」
梨花ちゃんが少し悲しそうな顔して、私を見てくる。
「ありがとう。」
私は、申し訳ない気持ちでそう答えた。
そして、タイミングよくチャイムが鳴った。
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