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嫌いなもの…亜耶
しおりを挟む「亜耶ちゃん、牛乳嫌いなの?」
突然由華さんが聞いてきた。
私は、それにゆっくりと頷いた。
「子供っぽいかもだけど、牛乳だけはどうしても飲め無くて……。他の味が混じっていれば大丈夫なんだけど……。」
単体で飲むのだけは、何度挑戦しても無理だったんだよね。
「そうなんだ。まぁ、あたしも苦手だったんだけどさぁ、牛乳って色々な料理に使用されてると知ったら、普通に飲めるようになったよ。」
って、ニコニコしながら言うお義姉さん。
えっ……、料理に使われてるの?
私が疑問に思いながら、首を傾げていると。
「解らないよね。じゃあ、例として上げると、亜耶ちゃんが好きなグラタンだけど、ホワイトソースを作るに牛乳が使われてるんだよ。後は、定番のシチューとかカルボナーラ……。気付かないうちに口にしてたりするんだよ。」
ほえ……、知らなかった。
牛乳の臭みとか無くて、全然気にならなかったし、クリーミーな味わいしかないから気付かなかったのかも。
「亜耶ちゃんは、牛乳に残る微かな臭みが気になって飲めなかったんじゃない?」
お義姉さんが、的を獲たように言う。
私は、コクリと頷き合意する。
「あたしも同じ理由で飲めなかったから分かるよ。退院したら、牛乳を使ったレシピあげるから、先輩に作ってもらって。」
茶目っ気たっぷりの顔でお義姉さんが言うから、コクコクと何度も頷いた。
って、お義姉さん遥さんが料理できるの知ってるの?
疑問に思うも口に出来ず。
「これは、あたしが飲んでおくから、亜耶ちゃんはお茶を飲んじゃってね。」
そう言うとお義姉さんが、牛乳パックを手にしてストローを飲み口に挿すと、チューって飲み出した。
私は湯呑みを手にして、お茶を啜る。
牛乳にレシピか……。
ちょっと楽しみかなぁ。
遥さん、作ってくれるかなぁ?
そんな事を考えてたら。
「亜耶ちゃん。飲み終わった? トレー返してくるけど……。」
声がかかり、慌てて飲みほしトレーに戻す。
「お願いします。」
お義姉さんに託した。
その後、たわいのない話をしていたのだけど、お義姉さんが突然声を潜めて。
「来年の5月には、家族が増えているよ。」
って言い出した。
私は、それに驚き目を見張った。
「お兄ちゃんには?」
私が訪ねると。
「未だ、言ってない。この後伝えるつもり。」
本当にこの人は、驚かすことが好きなんだから……。
「おめでとう、お義姉さん。触っても良い?」
心からのお祝いの言葉が口から出てくる。
「うん。ありがとう。一番最初に亜耶ちゃんに伝えたかったから。」
お義姉さんの嬉しそうな顔を見ながら、そっとお義姉さんのお腹に手をやる。
「未だ、わかんないよね。でもここに雅くんとの子が居るんだって思うと嬉しくなるんだ。」
って、お義姉さんの手が私の上から重なる。
来年の今頃には、甥っ子か姪っ子が居るんだと思うと考え深いものがある。
「雅くんと先輩には、もう少しだけ黙っていてね。」
何かをたくらんでいる眼差しを私に向けてくるから。
「うん、秘密だね。」
私もそう口にしていた。
「秘密って、何の事だ?」
突然の声に驚きつつも。
「内緒です!」
って口許に人差し指を持っていくお義姉さんが、可愛いなって思った。
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