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12話 男女の差
しおりを挟む教室を慌てて飛び出し、自分専用の更衣室に向かう。祖父が学園に頼んで用意してもらったんだが……。
私は、その更衣室に駆け込み、着替える。
この頃思うことがある。
私は、祖父のお陰でこういう待遇を受ける事が出来てるんだって。
お爺様様ってことになる。
自分だけではどうにも解決できないことを親達が引き受けてくれてるんだ。って思ったら、感謝しないといけないと今更ながら思う。
着替えを済ませ、グランドに向かった。
「幸矢。何処に行って「綾小路、ちょっと良いか?」」
と、グランドに出ると成瀬改め祥が声をかけてきた。と同時に体育教員がそれに被せるように言ってきた。
「あっ、はい。」
私は、教員の方へ歩み寄る。
助かった。
今、祥に問い質されたら、不味いと思ってたから……。
「綾小路。今日はサッカーだが、当たり負けするようなら、見学にするか?」
先生なりの気遣いなんだろう。
体格差があるのは、否めないが出来ない訳じゃない。
「いいえ、大丈夫です。心遣い、ありがとうございます」
私は、そう言って先生に頭を下げた。
「そっか……。何かあったら、直ぐに言うんだぞ。」
と念を押された。
「はい。」
私は、そう返事を返して、他の生徒と混じった。
「幸矢。何か言われたのか?」
心配そうに祥が近付いてくる。
「何でもない。準備体操が始まるぞ。」
上手く誤魔化せたかな?
祥の顔を伺う。
怪訝な顔をしながらも私の誤魔化しに流されてくれた。
よかった。
準備体操が終わると直ぐにチーム分けが始まった。
「幸矢と俺、一緒のチームだな。」
祥が、嬉しそうに私に纏わり着いてきた。
ハァ~。
何で、必要以上に引っ付いてくるんだ?
「綾小路、お前MFな。それから、成瀬はGKだ。」
委員長が、テキパキと指示を出す。
よかった。
やっと、離れられる。
「何で、俺がGKなんだよ。」
祥が、口を尖らせて、文句を言う。
「お前が、一番の適任者なんだよ。動体視力良いんだろ。」
理由をハッキリと伝える委員長。
「チェ……。折角幸矢と一緒のチームなのに……。」
訳の分からないことを言いながら、ゴールの方へ移動していく祥。
アイツは、私のどこが気に入ったんだ?
何て思いながら、試合に望む。
そして、今更ながら自分のポジションが、一番ヤバイ位置に居ることに気付いた。
「綾小路、行くぜ!」
って……。
ボールを胸でトラップして、ドリブルで上がる。
相手チームを充分に引き付けてからパスを出した。
そのパスは、見事な弧を描き味方に渡る。
ボールを目で追っていたため、前から来ていた相手と衝突した。
その勢いで、転倒。
当たり負けする自分が情けなく思いながら、これが男女の差なんだって、思い知らされた。
私は、立ち上がろうとして、地面に手を着いた。
その時、手首に変な痛みが走った。
あ~あ。
どうやら、手首を捻ったらしい。
でも、こんな事で抜けるのも気が退ける。
取り合えず授業が終わるまでは…と我慢する事にした。
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