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26話 偽者…成瀬side
しおりを挟む水泳の授業が終わり、次の授業が始まった。
だがアイツの姿がない。
何故だ?
授業をサボるような奴ではなかった筈だ。
一体、何処に行ったんだ?
気付けば、アイツの事ばかり考えてる自分が居る。
何で、こんなに気になるんだよ。
視界に居ないと心配でたまらない。
授業が終わり、先生に聞こうと席を立った時だった。
教室の入り口から顔をキョロキョロさせてる、アイツの幼馴染みが居た。
俺は、そいつに近付き。
「幸矢なら居ませんよ。」
そう声を掛けた。
そいつは、俺の方に向き直り驚いた顔をして。
「君は、幸矢と仲の良い……。」
そういえば、自己紹介してなかったっけ。
「成瀬祥です。」
俺が名乗ると。
「そっか……。俺は」
「高津冬哉さんでしょ。アイツから聞いてます」
彼の言葉を遮るように俺がそう言うと。
「幸矢が、言ったんだ……。」
肩を落として言う。
「アイツに何か用事でも? 伝言なら俺が伝えておきますよ。」
俺は、口角を上げてそう告げた。
俺自身もアイツの居場所は知らないが……。
「イヤ、大した事じゃないから、直接会って話すから…。じゃあ。」
その人は、それだけ言って去って行った。
何のようだったんだ?
その人の背中を見ながら、不思議に思った。
その日の授業が終わり、寮に帰ってきた。
「成瀬君って、君だよね?」
そう声を掛けられて、振り向けば寮の管理人さんが居た。
「はい、そうですが……。」
声を掛けられたことに不思議に思ってたら。
「綾小路君から伝言を頼まれててね。 "急に家に帰る事になったから、部屋に来ても居ないから" そう伝えて欲しいって言われたんだ。確かに伝えたからな。」
管理人さんは、それだけ言うと去って行った。
心配だったから、部屋に寄ろうとしてたんだが……。
無駄足にならなくてすんだ。
だが、何故家に戻る事になったんだ?
何か、問題でも起こったのか?
俺は、自分の割り当てられている部屋に戻った。
部屋は、相部屋でもちろん相手も居る。
「祥、どうした? やけに暗い顔してるけど、何かあった?」
相部屋の水原が聞いてきた。
「別に何も無い。」
俺は、そう言ってベッドに突っ伏した。
「そうか。ならいいが……。何かあったら言えよ。相談になら乗ってやる。」
そう言って、部屋を出て行った。
相談できるもんなら、とっくにしてる。
たった半日、アイツが居なかっただけでどうにかなっちまう俺って、重症かも。
あーあ、早くアイツの顔が見たい。
その二日後の事。
アイツが登校してきたが、違和感を感じた。
何かが違う。
アイツは、やけにクラスの奴と戯れていやがる。
あの人もクラスに顔を出したが、声を掛ける事無く去って行く。
あの人も気付いたんだ。
ここに居るのは、本当の幸矢じゃないって。
俺は、この日からアイツに関わる事をやめた。
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