偽りの姿(仮)

麻沙綺

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27話 アイツが居ない…冬哉side

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  俺の不注意で、アイツは飛び出していった。
  慌てて追ったが、見失った。



  ダン!!
  俺は、授業中にも関わらず廊下の壁を殴り付けた。
  
  くっそー! 

  何してるんだ俺は。
  アイツをずっと見てきたんだから、解ってた筈だろ。
  いや、近くに居すぎて解ってなかった部分もあるのか。
  何にしろ、俺はアイツを困らせただけだ。
  早く謝らねば……。謝って済む問題でもないが、俺の想いはアイツに届いただろうか?


  授業が終わり、アイツの教室に足を向けたが、姿が見えない。

  何処に行ったんだ?

  キョロキョロと辺りを窺うが、やはり居ない。
  諦めて戻ろうとした時だった。

「幸矢なら居ませんよ」

  そう声を掛けられて、振り向けばアイツの傍に何時も居た彼が立ってた。
「君は、幸矢と仲の良い……。」
  そういや、名前知らないな。
「成瀬祥です。」
  彼が、自己紹介をしてくれた。
  こうして、面と向かって話すのは、始めてだな。
「そっか。俺は…」
  俺も自己紹介しようとしたら。
「高津冬哉さんでしょ。アイツから聞いてます」
  それを聞いて。
「幸矢が、言ったんだ…。」
  俺の事は、コイツに話してあるんだって。俺には、コイツの事何一つ話してもらって無いって事に今更気付いた。

「アイツに何か用事でも? 伝言なら、俺が伝えておきますよ。」
  偽笑いを浮かべて言うコイツを信頼できるはずもなく。
「いや、大した事じゃないから、直接会って話すから…。じゃあ。」
  俺は、それだけ言ってその場を離れた。



  それから日を開けてから、もう一度アイツの教室に向かった。
  だがそこに居たのは、俺が求めているアイツじゃなく別人。
  
  クラスの奴は、誰一人入れ替わってるなんて思わないだろう?

  見た目は、物凄く似てるから……。
  だが中身が違ってる。
  アイツは、物静かな性格なんだ、今目の前ではしゃぐ奴は、違う。

  あいつ…成瀬だっけ……。

  奴だけは、アイツが別人だとわかってるんだろう。一切関わろうとしない。

  俺は、自分の教室に向かう。


  アイツは、今、何処で何してるんだ?
  生きてるのか?
  連絡くらいしてくれても良いだろ?
  俺の連絡先知ってる筈だ。
  何故、連絡をくれないのだ?
  幸矢、無事なんだろうな?


  アイツのことばかりが、脳裏に浮かぶ。
  早く戻って来いよ。












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