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30話 再開
しおりを挟むあれから、一ヶ月。
母方の実家を伝に静かな田舎町に来て、平穏な日々を過ごしていた。
祖母の計らいで、学校にも通わせてもらっている(とてもありがたく思う)。
自分で言うのもなんだけど、学力も伴っていたので、高1の夏休み前には、地元の高校に転入した。
女の子としての生活が、新たに始まった。
髪も、あの時からのばし続けて、今は肩より少し長いぐらいだ。
父さんとお爺様に見つからないようにする為にも必要だった。
今まで、男として厳しく育てられてきたから、この現状を思いっきり楽しんでいた(制服も女子の制服だよ。足元が頼り無いけど)。
「幸矢ちゃんって、言葉遣いが丁寧だよね。」
こっちに来てから仲良くなった、成瀬唯華ちゃん。
成瀬って名字は気にはなったけど、唯華ちゃんが気さくに声をかけてくれるから助かってる。
「そう、でしょうか? 自分では、余り気にしたこと無いので……。」
初めて言われた気がする。
言葉で壁を作ってるのは仕方がないと思う。周りを警戒してるから……。
「ほら、その言い方が、大人びてる感じがして、皆近付きがたくなるんだよ。」
その指摘に、どうしたものかと思った。
生まれ育った環境の違いが、ここに来て困ることになるとは思いもよらなかった。
「そうなの? そんなに近寄りがたいの?」
う~ん。
これも、克服しないと友達出来ないのかな?
「私は良いんだよ、だけど他の子達には受け入れられないかもね。」
唯華ちゃんの助言を耳にして、考え込んでしまう。
「あんまり考えないで、自然体の幸矢ちゃんで良いから、ね。」
って、クスクス笑う唯華ちゃん。
そう言われても、根が真面目だから言われたら、考えちゃうよ。 もう少し親しくなれたら、口調も変わると思うんだけどな。
「じゃあ、幸矢ちゃん。また、明日ね。」
ちょうど何時も分かれる十字路に差し掛かり、唯華ちゃんが手を振る。
「うん、バイバイ。」
私も小さく手を振って、唯華ちゃんを見送った。
家に向かって、歩いてると。
「あれ、幸矢じゃん。」
って、声が聞こえた。
この町に知り合いなんか居ない筈……。
「幸矢。俺だよ俺」
って。
俺って、誰?
近付いてくる彼を見て。
「成瀬…?」
私は、半信半疑で聞く。
「おうよ。」
って返事が返ってきた。
だって、一ヶ月会ってなかっただけなのに、顔つきが変わって、男の子から青年に変わってたから。身長も私より少し高いぐらいだったのに十センチも高くなってた。
「何で……居るの?」
誰にも会わないと思ってたから、口に出していた。
そして私の問いに。
「夏休みだから、帰省中。で、何で、幸矢がここに……。」
普通に答え、代わりに質問された。
それより、よく私だと気付いたな。
そう感心しながら。
「話すと、長くなるけど……?」
口に出すると。
「そうだな。どっかに入るか?」
成瀬くんの言葉に頷いた。
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