偽りの姿(仮)

麻沙綺

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43話 アイツの家…成瀬side

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「お邪魔します。」
  俺は、玄関口で靴を脱ぎ廊下(と呼べるのか分からない)短い板の間を歩く。
  直ぐにこじんまりとしたリビングらしき部屋に着く。
  床にはカーペットが引かれていて、その上に正方形のテーブルがあった。
「狭い所だけど、座って待ってて。」
  彼女はそう言うと隣接されてるキッチン(?)に向かう。
  棚からコップをだし、冷蔵庫を開けてお茶を取り出してコップに注いでいる。
  俺は、部屋の中をキョロキョロと見渡す。
  ここが、アイツが1か月住んでいた場所か……。
  何となく居心地が良い空間だ。
  何て思ってると。
「はい、祥くん。そんなにキョロキョロしてどうしたの? 珍しい物でもあった?」 
  幸矢よりも少し高いトーンの声で、クスクス笑いながら此方を見ている彼女に。
「いえ、別になんでもありません。」
  って、焦って返事を返す。
「何もない部屋でしょ。必要最低限の物しか置いてないのよ。」
  母親は、恥ずかしそうに言う。
「それでもあの事二人で暮らすには、充分なものだと思えるの。」
  って胸を張って言う。
  そっか、この人は幸矢を心から大切に思っているのだと感じた。
「祥くん、どうぞ。」
  俺の前にコップを置く。
  俺は、それに口を付ける。
  ここまで走って来たから、とてもありがたかった。
  半分ぐらい飲んで、喉元が潤うった処で、コップをテーブルに置く。
  彼女もお茶を口にしてから。
「幸矢は、今朝まで一緒に居たのよ。」
  と話し出した。
「今日は、幸矢もバイトお休みだったの。だから二人で出掛けようって話してて、その準備をしてた。だけど、出掛けようとした矢先に義父あの人が雇った黒服が来てね、幸矢を連れて行っちゃったの。あの子、私を護るために一人で立ち向かったのよ。私、あの子の母親なのに護って上げられなかった。」
  何処か虚しさを思わせられる話し方をする彼女。
  それは、懺悔してるかの様に見えた。
  やはり、アイツにとっては母親が一番なんだ。
  だから母親を護る為に自分を犠牲にしたのか。
「真相が聞けて良かったです。実は、俺に届いたメールにこんな事が書かれてたので、心配だったんです。」
  俺はそう言って、自分に届いたメールを彼女に見せた。
「あの子は、本当に……」
  言葉を失う母親に。
「何で、俺を頼らなかったんでしょうね。こんなに近くに居るのに……。」
  バカだ。
  何の為に連絡先を教えたんだ。
「本当にね。こんな頼もしい友人が居るのにね。」
  どうやら、彼女は俺を認めてくれたようだ。
  でも "友人" って言葉が胸に引っ掛かる。
「そうだ、祥くん。連絡先を交換しない? あの子から連絡合った時に祥くんに知らせるから、ね」
  彼女の提案は、俺からもしたかった事だったので。
「俺からもお願いします。」
  素直にそう言って交換した。

「今日は突然の訪問にも関わらず、対応していただいて、ありがとございます。」
  俺は玄関先でそう言うと。
「ううん。此方も祥くんと知り合えて良かったと思ってるから、そこまで賜ること無いわ。」
  朗らかな声と笑みで言われて、俺はホッとした。
「何かあったら連絡するわね。」
  と言われて。
「お願いします。」
  俺は、頭を下げた。



  あれから数日経った突然の電話に驚いた。
  相手は、幸矢の母親からだ。
  嫌な予感がする。
「はい、祥です。」
  俺は、その電話に出る。
  そして。
「しょ…祥くん。あの子が…幸矢が、倒れたって…今連絡が……。」
  焦っる母親の声だった。








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