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42話 突撃訪問…成瀬side
しおりを挟む朝、別れの台詞の連絡があったきりで、此方から何度連絡入れても、繋がらずにいた。
一体、何がどうなってるんだよ。
あの台詞は一体、何の意味があるんだ。
俺は、頭を抱えながら幸矢が心配でならなかった。
その夕方、一通のメールが届いた。
それは、心配していたアイツからで……。
"成瀬君へ
心配掛けて御免なさい。
今、私は家に戻っています。
連絡は、これで最後にします。
それじゃあ、お休みなさい。
幸矢"
俺への配慮と連絡をたつ事しか書いていない。
近況としては、家に戻った事は書いてあるが、どう経緯で戻る事に成ったのかが、書かれておらず俺は不安を覚えた。
そして、俺は居ても経っても居られずにアイツが住んでいたアパートへ走り出していた。
アパートの部屋の前に付くと息を整えてから、ドアをノックした。
「はーい。どちら様でしょうか?」
中から、女性の声がする。
部屋を引き払った訳ではなさそうだ。
それでも、アイツの顔を見ないと安心できない。
ドアが開く気配はない。
女性を安心させる為にもここは名乗っておいた方がよいだろう。
「幸矢さんのクラスメイトの成瀬と言います。」
俺はドア越しで名乗る。
嘘は付いていないからな。
「成瀬……?」
ドア越しに不思議そうな声が上がる。
そうだよな。
姉の唯華ではなく双子の弟の祥の方だから、不思議に思われても仕方ない。
「今は、俺ではなく双子の姉の唯華との方が仲が良いのですが……」
俺は、そう言葉を付け足すとドアがゆっくりと開いて、中から女性が出てきた。
幸矢にそっくりな女性が、俺を見上げてくる。
イヤ、幸矢がその女性に似ているんだ。幸矢より華奢で、儚げない雰囲気。
彼女が幸矢の母親に違いないと確信した。
「初めまして、俺は成瀬祥と言います。」
改めて自己紹介をする。
「唯華ちゃんには会ったことあるわ。双子だけあって、似てるわね。」
って笑みを見せてくれる。
唯華と似てるって散々言われてきてイヤだったけど、この時だけは、感謝した。
「こんな時間に訪ねてきてすみません。幸矢さんは居ますか?」
俺は、居ないことを知っていてそう訪ねた。
「態々訪ねてきてもらったのに悪いんだけど、幸矢、今居ないのよ。」
と申し訳無さげに言う母親に。
「えぇ、存じてます。幸矢さんから連絡がありましたから……。ただ、幸矢さんが一番大切にしている母親を置いて戻るとは思えなかったので、伺わせて頂きました。」
再会したあの日、母親の事を気にしていたアイツがする行動だとは思えなかったから……。
だから、確認に来たのだ。
それと何とかアイツに繋がる伝を持ちたかったと言う腹黒い部分も在ったのかもしれないが……。
「そう、祥くん……って呼んで言いかな?」
俺は問われて頷いた。
「祥くんには、幸矢から連絡が行ったのね。もしかして、夏休み前に会った友達って、祥くんかな?」
って聞かれて。
「はい。あの日、丁度夏休みに入って此方に帰って来たんです。久し振りだし、散歩に出たら知ってる顔だったの声を掛けて、全て話を聞きました。」
本当に全てかどうかは分からないが、大体の事情は把握出来ている。
「そうだったの。あの子には、色々と迷惑掛けっぱなしだから……。」
今までの事を思い出したのだろうか。
彼女の目には薄く涙の膜が貼っていた。
「そうでしたか。一つ聞きたいのですが、幸矢さんはどうして一人で戻られたんですか?」
聞くのは不味いかと思いながら、単刀直入で聞いてみた。
「それは、私の成なのよ。」
と呟くように言う。
「私ったら,こんな玄関先で御免なさいね。取り敢えず、中に入って。」
彼女に誘われるまま部屋の中に入った。
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