偽りの姿(仮)

麻沙綺

文字の大きさ
42 / 51

42話 突撃訪問…成瀬side

しおりを挟む


  朝、別れの台詞の連絡があったきりで、此方から何度連絡入れても、繋がらずにいた。

  一体、何がどうなってるんだよ。
  あの台詞は一体、何の意味があるんだ。

  俺は、頭を抱えながら幸矢アイツが心配でならなかった。
 
  その夕方、一通のメールが届いた。
  それは、心配していたアイツからで……。

  "成瀬君へ
   心配掛けて御免なさい。
   今、私は家に戻っています。
   連絡は、これで最後にします。
   それじゃあ、お休みなさい。
                                  幸矢" 
  
  俺への配慮と連絡をたつ事しか書いていない。
  近況としては、家に戻った事は書いてあるが、どう経緯で戻る事に成ったのかが、書かれておらず俺は不安を覚えた。
  そして、俺は居ても経っても居られずにアイツが住んでいたアパートへ走り出していた。


  アパートの部屋の前に付くと息を整えてから、ドアをノックした。
「はーい。どちら様でしょうか?」
  中から、女性の声がする。
  部屋を引き払った訳ではなさそうだ。
  それでも、アイツの顔を見ないと安心できない。
  ドアが開く気配はない。
  女性を安心させる為にもここは名乗っておいた方がよいだろう。
「幸矢さんのクラスメイトの成瀬と言います。」
  俺はドア越しで名乗る。
  嘘は付いていないからな。
「成瀬……?」
  ドア越しに不思議そうな声が上がる。
  そうだよな。
  姉の唯華ではなく双子の弟の祥の方だから、不思議に思われても仕方ない。
「今は、俺ではなく双子の姉の唯華との方が仲が良いのですが……」
  俺は、そう言葉を付け足すとドアがゆっくりと開いて、中から女性が出てきた。
  幸矢にそっくりな女性が、俺を見上げてくる。
  イヤ、幸矢がその女性に似ているんだ。幸矢より華奢で、儚げない雰囲気。
  彼女が幸矢の母親に違いないと確信した。
「初めまして、俺は成瀬祥と言います。」
  改めて自己紹介をする。
「唯華ちゃんには会ったことあるわ。双子だけあって、似てるわね。」
  って笑みを見せてくれる。
  唯華と似てるって散々言われてきてイヤだったけど、この時だけは、感謝した。
「こんな時間に訪ねてきてすみません。幸矢さんは居ますか?」
  俺は、居ないことを知っていてそう訪ねた。
「態々訪ねてきてもらったのに悪いんだけど、幸矢、今居ないのよ。」
  と申し訳無さげに言う母親に。
「えぇ、存じてます。幸矢さんから連絡がありましたから……。ただ、幸矢さんが一番大切にしている母親を置いて戻るとは思えなかったので、伺わせて頂きました。」
  再会したあの日、母親の事を気にしていたアイツがする行動だとは思えなかったから……。
  だから、確認に来たのだ。
  それと何とかアイツに繋がる伝を持ちたかったと言う腹黒い部分も在ったのかもしれないが……。
「そう、祥くん……って呼んで言いかな?」
  俺は問われて頷いた。
「祥くんには、幸矢から連絡が行ったのね。もしかして、夏休み前に会った友達って、祥くんかな?」
  って聞かれて。
「はい。あの日、丁度夏休みに入って此方に帰って来たんです。久し振りだし、散歩に出たら知ってる顔だったの声を掛けて、全て話を聞きました。」
  本当に全てかどうかは分からないが、大体の事情は把握出来ている。
「そうだったの。あの子には、色々と迷惑掛けっぱなしだから……。」
  今までの事を思い出したのだろうか。
  彼女の目には薄く涙の膜が貼っていた。
「そうでしたか。一つ聞きたいのですが、幸矢さんはどうして一人で戻られたんですか?」
  聞くのは不味いかと思いながら、単刀直入で聞いてみた。
「それは、私の成なのよ。」
  と呟くように言う。
「私ったら,こんな玄関先で御免なさいね。取り敢えず、中に入って。」
  彼女に誘われるまま部屋の中に入った。









しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】悪役令嬢の反撃の日々

ほーみ
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。 「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。 お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。 「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。

幼馴染の許嫁

山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。 彼は、私の許嫁だ。 ___あの日までは その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった 連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった 連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった 女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース 誰が見ても、愛らしいと思う子だった。 それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡 どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服 どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう 「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」 可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる 「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」 例のってことは、前から私のことを話していたのか。 それだけでも、ショックだった。 その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした 「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」 頭を殴られた感覚だった。 いや、それ以上だったかもしれない。 「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」 受け入れたくない。 けど、これが連の本心なんだ。 受け入れるしかない 一つだけ、わかったことがある 私は、連に 「許嫁、やめますっ」 選ばれなかったんだ… 八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように

柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」 笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。 夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。 幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。 王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

【完結】何故こうなったのでしょう? きれいな姉を押しのけブスな私が王子様の婚約者!!!

りまり
恋愛
きれいなお姉さまが最優先される実家で、ひっそりと別宅で生活していた。 食事も自分で用意しなければならないぐらい私は差別されていたのだ。 だから毎日アルバイトしてお金を稼いだ。 食べるものや着る物を買うために……パン屋さんで働かせてもらった。 パン屋さんは家の事情を知っていて、毎日余ったパンをくれたのでそれは感謝している。 そんな時お姉さまはこの国の第一王子さまに恋をしてしまった。 王子さまに自分を売り込むために、私は王子付きの侍女にされてしまったのだ。 そんなの自分でしろ!!!!!

処理中です...