24 / 56
24
しおりを挟む教室に向かう途中で彼が。
「それにしても以外だったな。石崎の彼氏が、あんな強面の人だとはなぁ……。」
ポツリ口にした。
それに同意するように瑞歩が頷き。
「星香ちゃんなら、もっとイケメンの彼氏を捕まえられると思うんだけど……。」
と言い出す始末。
星香がこれを聞いてたら、むきになって怒るだろうなぁ。
理央さんに一途に恋い焦がれて、やっと報われたのだから……。
「それ、星香の前で口にしたらダメだよ。」
訳をある程度知ってる私としては、そう口にして釘を刺すしかない。
「え、何? 珠稀ちゃんは何か知ってるの?」
瑞歩が興味津々で私に聞いてきた。
彼も横目で私を見ながら、教えろと訴えてきてるが。
「私が勝手に話す訳にはいかないよ。星香が話すのを待ったら。」
ある程度の事は聞いてるけど、詳しい訳じゃないから、又聞きするよりは星香から直接聞いた方が変な先入観を持たなくて良いと思う。
「チェッ、折角星香ちゃんを揶揄できると思ったのに……。」
瑞歩の口からとんでもない言葉が聞こえてきてそちらを見て凝視する。彼も同じだったのか瑞歩を見ている。
瑞歩は、そんな私たちに気付かないのか、心底つまらないって顔をして歩いてるから、本心なんだと思う。
近いうちに二人に馴れ初めを星香から聞く予定はあったんだけど、瑞歩を誘うのはちょっと無理かな何て思ってしまう。
まぁ、誘うのは星香なんだろうけど……。
「でも、俺はあの二人が羨ましいと思った。あんなに仲睦まじいところを見せられたら、俺たちもああなりたいって本気で思ってしまった。なぁ、珠稀。」
本気に羨ましそうな声を出して、私に訴えてくる彼。
その問いに。
「確かに星香たちの仲睦まじさを見れば、羨ましいとは思いますが、まだ、木崎さんとはなりません!」
と断言するように告げた私。
その言葉に落胆する彼を横目で見てたら。
「"まだ"?」
瑞歩が口にした。
私の言葉に違和感が沸いたらしく、そう口にしたのだろう。それに対して彼が。
「"まだ"とは、どういう意味の"まだ"なんだ?」
と追求してきた。
「まだはまだです。」
私は言い逃げするかのように走り出した。
「待って、珠稀。」
背後で瑞歩の声が追ってきていたが、そのまま走って教室へ向かったが、目的地が一緒な為、無駄な悪足掻きにしかならなかった。
先に教室に着いた私は、ロッカーの上に手にしていた荷物を置き自分の鞄を掴むと慌てて教室を出ようとしたが、一歩及ばず私の視界を遮る様に制服が目に入ってきて。
「珠稀。朝の約束を破るのか?」
と非難めいた声で彼が言葉を紡ぐ。
うっ……。
それを言われたら、逃げれない。
結局三人で教室を出る事になった。
逃げられない様になのか、彼に手を捕られてる。
その彼は、ニコニコと嬉しそうな笑みを浮かべていて、それを見ていた瑞歩が。
「木崎くん。その顔、やめてくれない。」
イヤそうな顔を浮かべながら言う。
「仕方ないだろ。嬉しいんだから。」
と顔にまで現れている。
その顔を凝視できずに、視線を背けて逃げる。
「珠稀ちゃんが絡んでなければ、良い男なのに……。それにしても珠稀ちゃん、変なのに好かれたね。」
小声で言う瑞歩。
内心瑞歩の言葉に頷きながら、元々彼の声に惹かれていたのは、私自身だしなぁ。
本心をここで言うつもりもなく、私は彼を見上げて。
「木崎さん。一緒に帰るのは、駅までですからね。」
私は笑みを浮かべてそう口にする。
「え~。家まで送るよ。」
不服そうな声で言う彼に。
「彼氏彼女でも無いのに家まで送ってもらうのは、申し訳ないですし、反対方向じゃないですか。無理させられませんよ。」
申し訳なくてそう口にする。
「そんな事気にしなくても良いのに……。」
先程まで笑み浮かべていたのに口を尖らせて言う。
私の言葉で一喜一憂する彼が、本当に私の事を好いているんだと自覚させられた。
「木崎くん。引き際が肝心だよ~。しつこいと珠稀ちゃんに嫌われるよ~。」
鶴の一声じゃないけど、横に居る瑞歩が言う。
「珠稀に嫌われるのは嫌だな。仕方が無い、今回は諦めるよ。だから、駅まではこのまま手を繋いで歩きたい。」
瑞歩の言葉で妥協した彼だが、手だけ放してもらえなかった。
それで解放してくれるのならと私も頷くしかなかった。
10
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる