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しおりを挟む「珠稀、おはよう!」
教室に入ると、星香が何時もより元気な声で声をかけてきた。
「お、おはよう、星香。」
焦りながら挨拶をする。
そんな私を見て。
「えっ…ちょっと……珠稀どうしたの? 顔真っ赤だよ。熱でも出た?」
心配そうに私の額に手をやろうとする星香。
「熱は無いから、安心して。」
そう言葉にするが、伸びて来た手は止まらず、額に触れて納得すれば。
「じゃあ、原因は木崎?」
彼を睨み付けながら見る星香。
私が返事を返す前に。
「俺?」
自分を指差して聞く彼。
「それしかないでしょ。一体何したのよ?」
星かが彼に詰め寄って行く。
「えっ、あぁ。ここに来るまでに、珠稀に ”可愛い” を連呼してただけだぞ。」
平然と言ってのけ、何故か抱き締めてきた彼。
何で抱き締めるの?
理由が分からずプチパニックになってる私。
「あ~、木崎。それ以上は珠稀が持ちそうもない。」
星香がそう口にして、彼から離してくれた。
「あ~。折角他の男等に見せつけてたのに……。」
急に落胆する彼。
聞き捨てならぬ言葉が聞こえたけど、冗談だよね。
下から除く様に彼の顔を見れば、冗談を言ってるような顔では無かった。
冗談じゃないの?
頭が混乱状態の私。
「まぁ、分からん事無いけどさぁ。それはやり過ぎだと思う。」
星香は彼の言葉に同意するが、私には分からずに居た。
取り敢えず、彼から離れる事が出来たから、良しとしよう(赤面は、未だそのままだけど)。
「あ~、俺の珠稀が~。」
哀愁漂う言い方に、何のコントが始まったの? と思うのも仕方ないと思う。
「イヤ、あんたの珠稀じゃないから。」
呆れ顔で星香が冷たい声音で言い放った。
それが絶妙なタイミングだっただけに、周りからも笑い声が聞こえてきた。
未だ、彼のものにはなって無いからそれで良いんだけど、ね。
この二人、ほんと良いコンビだと思う。
「あ、そうだ。珠稀。例の件だけど、理央もその日で良いってさ。」
突然話が変わって、ちょっと考えたが、妹を交えて遊ぶ件だと分かると。
「本当? 妹も喜ぶよ。」
と口にした私。
妹に確認して、土曜日の午前中にメールで連絡入れてから何も連絡が無かったから、次の予定が分かるまでお預けかなって思ってたんだけどね。
「理央もね、今から楽しみだって言ってたわよ。私も楽しみなの。珠稀の妹可愛いしね。」
星香が嬉しそうな顔に私も嬉しくなる。
「そう言ってもらえると私も嬉しい。」
妹が星香の事を直ぐに思い出せなかった事は黙っておこう。
「なぁ、二人で盛り上がってるところ悪いが、俺にも教えてくれよ。」
仲間外れにせれた顔をして此方の話を聞き出そうとする彼。
どことなく可愛いなぁ、何て思っている自分が居る。
「え~、どうしようかなぁ~。」
もったいぶる星香。
「何がどうしようかなぁ~なの?」
背後から声がかかり、私と星香の肩がピクリと跳ね上がる。
振り返ると瑞歩が不思議そうな顔をして此方を見ていた。
「何でも無いよ。ただ、テスト勉強を何処でしようかって迷ってただけ。」
苦しい言い理由だったかな……。
背中に冷や汗が流れる。
「まだ先じゃない。今からしてどうするの?」
訝しげな表情をして聞いてくる瑞歩。
「ほら、私勉強得意じゃないから、星香に教えてもらわないとだし、それに要領が悪いから直前で詰め込むとか無理だから、少しずつ教えてもらおうと思って。」
最もらしい事を口にする。
嘘は付いてない。
「あ~、確かに。珠稀ちゃん要領悪いもんね。それなら納得。」
自分で言っておいて何だけど、人から言われると貶されてるみたいで嫌だな(しかも、肯定されてる)。
私と瑞歩のやり取りを見ていた彼と星香が苦虫を噛むような何とも言えない顔をして、何か口にしようとするから、私は首を横に振って何も言わなくて良いと無言の圧力をかけた。
二人からすれば、瑞歩もそれほど勉強出来ないだろ! って事なんだろうけどさ。
ここは我慢してもらいたい。
瑞歩が私の言葉に騙されてくれた方が良いと思ってたから……。
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