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しおりを挟む星香の一言で、教室内が凍りついた。
誰もが思った事を口にしただけだった筈なのに瑞歩が黙ってしまったので、余計に彼女に注目が行く。
教室に居た誰もが微動だにせず、彼女が話す事を待ってるのだけど沈黙が続き時間だけが過ぎて行く。
「えっ、と…化学室に行こう。皆、遅刻扱いになっちゃうよ。今日の日直の人、室内の戸締まりお願いします、ね。」
私は、意を決してそう言葉を静かな教室内に掛け彼の裾をチョンチョンと引っ張って、此方に向けさせ目線が合うとヘニャっと笑みを浮かべて見せた。
彼の嫌悪な顔が崩れて笑みを見せてくれた。
「あぁ、そうだな。クラス全員が遅刻するのは、ダメだな。ほら、準備が出来た奴から移動しなよ。珠稀、俺たちも行こうか。」
彼が私の手を引いて歩き出した。
そんな私たちを見ていた星香が呆れ顔をして後ろに着いて来た。そこには、瑞歩は居ない。
「なぁ、石村。さっき言ってた事って、あぁ言う事か?」
星香に振り向きながら彼が口にする。
「そうだと思う。」
そこで言葉を区切って言う星香は、何処と無く疲れた顔をしていた。
思うって事だから、星香の憶測だろう。
「今まで成りを潜めていたのは、珠稀と木崎の絡みが極最小限だった事、珠稀が必要以上に木崎との接触を拒んでいたことで、自分が木崎と絡む事が難しかった。」
星香がそこまで口にして閉ざした。
確かに委員に成った時にねこなで声で近付いてきた瑞希。
だけど、何の目的があって来たのかは、私には把握出来ない。って言うか、友達になるのにそんな魂胆あるなんて、思ってもいないよ。
星香の含みのある言い方を継ぐように。
「最近、俺が珠稀に絡むようになったから、自分も目に入れて貰えると思い、俺に何かと絡もうとしているか。それも自分に靡いて欲しいから……。」
彼の口から淡々と告げられる。
それも、ただの憶測だけど、でもさっきの態度を見れば一目瞭然と言っても良いのかもしれない。
「用は、珠稀を当て馬にするつもりでいたが、珠稀が本命になってしまった事で、焦りだし、珠稀が意思表示してない今の内に自分に靡かせ様と模索しているって所か……。無駄な努力止めれば良いのに……。」
彼のそんな言葉に星香も無言で頷く。
否、まぁ、私の気持ちははっきりしてるけど、さ。星香も私の気持ちには気付いてるんだろうなぁ、何て思ったりする。
「どんなに気を惹こうとしても、俺は珠稀一筋だ。本命に嫌われるような態度取るわけないっつうの。何故そこに気付かないのか謎過ぎる。フリーだった時なら兎も角、今の俺には無駄だと理解出来ないとは……。」
そう言いながら、手を繋いでる方を持ち上げて、私の手の甲に口付けてくる。
えっ、あっ……。
私は慌ててその手を引っ込めようとしたが、彼の力が強まり抜けなかった。
うっっ……。
物凄く恥ずかしいんですけど……。
ココ、廊下で、生徒が往来してるんです。
もちろんクラスメートも近くを歩いてる。
そんな中で、こんなの……。
「木崎、珠稀を他の生徒の前で揶揄らないで。」
星香が彼を諌めてくれる。
「え~っ、だって、可愛いじゃん。さっきも大声だすの苦手なのに頑張って声だしてたし、そのご褒美だって。」
彼がニマニマしながら言う。
イヤ、そんなご褒美要らない。
それより、何の事かわからずに星香を見る。
「あぁ、確かにあれは頑張ってたわね。」
星香も納得して頷いている。
私、何かしたの?
一人わからずに居ると。
「クラスが嫌悪に見回れた時に ”科学室に……” と結構大きな声で言っただろ。」
彼が口にした途端、顔に熱か集まった。
「あれは、ただ皆が遅刻した方が嫌だなって、思ったからで、何も考えずに口にしてました。」
しどろもどろで言い訳を口にする私。
「珠稀の言葉が無かったら、完全に遅刻だったと思うよ。」
星香の言葉が返ってきた。
あぁ、あの時声に出して良かっただと安堵する。
「元はと言えば、私の一言からだったんだけど、あれには感謝しかない。」
星香が申し訳なさそうな顔をして言ってくる。
「星香が口にしなかったら、私が口にしていたかもしれないよ。だから、気にしないで。」
私は、星香が言ってくれた事に申し訳なくて、自分もそう思っていた事を口にした。
だって、気になるもの。捻ってる足で普段と変わらない歩き方をするなんてさ。余程の我慢をして歩いているのか、捻ったのが嘘だったのかと疑う事になる。
「まぁ、ばれるのも時間の問題って事だな。」
彼の言葉に私も星香も頷いた。
瑞歩は、チャイムがなるギリギリに教室に入って来た。
瑞歩の姿を見て、ホッとする私が居た。
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