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1章 妹と兄と自主制作
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電話の結果、16時からであれば2時間ほどの練習が可能である事が判明した。
多少待つ羽目にはなるが、近くのショッピングモールにでも足を伸ばせば、いい時間潰しにはなるだろう。というわけで、4人で軽く話し合った後、ほぼ即決で予約を入れる事にした。
「時間があるなら、俺、ベースだけ取りに帰ります」と言ったたかのっぽくんとはあとで合流する約束をし、ひとまず大人3人組だけでショッピングモールへ向かう。
そういえば、この辺りに来る時って、いつも駅とスタジオ――と、時々ファミレス――の往復しかしないから、それ以外の場所に行くのって新鮮な感じがする。
「冒険してるみたいでワクワクすんね!」と言ったら、「道に迷うなよ、アホの子」と優作にからかわれた。迷うか。
たどり着いたショッピングモールは、ビルだらけの街中にあるにしては、なかなかの規模だった。
縦にも横にも広く、人の数はもちろん、出店している店舗の数も多い。入り口近くに設置されていた案内板によると、ゲームセンターや映画館などのアミューズメントパークも併設されているようだ。
デパート勤務の拓弥も、「郊外でもないのに、ここまで敷地が広いのも珍しいね」と、興味深そうにモール内を見回していた。
思った以上の規模に大人3人で面食らいつつ、ぶらぶらと散策を開始。が、さすがに全部を見て回ることはできず、1時間ほど歩き続けたところで疲れを理由にフードコートに入る事となった。
それぞれに目についたお店で飲み物を買い、空いてる席に腰をおろす。
そのままダラダラと雑談を続けていれば、たかのっぽくんから駅についたことを知らせる連絡が来た。
Herecメンバー用のグループチャットを通して連絡が来たそれに、俺が3人を代表して今居る場所をたかのっぽくんに伝える。すぐに既読を意味するマークがつき、「わかりました。そちらへ向かいます」という返事が送られてきた。
「たかのっぽくん、こっち来るってよ」
スマホの電源を落としながら優作と拓弥に言う。
「「りょーかーい」」と間延びした返事が、優作と拓弥から同時に返された。
「いやー、にしてもたかのっぽくんのあれ、凄かったな」
たかのっぽくんの名前にファミレスでの出来事を思い出したのか、ふいに優作がそう切り出した。
「妹の方もいろいろやばかったが、たかのっぽくんの方も相当やばかったな。まさか、あんな風に怒る奴だとは思わなかったぜ」
言いながら、優作が座っている椅子の背もたれに背を預ける。
そのまま手にしていた紙コップの蓋にささっているストローに口をつけ、ズゴゴゴゴ、と勢いよく中のジュースを飲んでいく。
「あ。やっぱりそれ、優作も思った?」
俺も自分用に買ったジュースに手を伸ばしながら、優作に尋ね返す。
人気炭酸飲料水のメーカーのロゴが入った赤い紙カップ。けど中身はロゴのメーカーと全く関係ないオレンジジュースだ。柑橘系の酸っぱさがにじむ甘いそれを、ズーッと、ストローで吸いあげる。
「思ったっつーか、思わざるを得ないって感じだろ。普段とのギャップがありすぎだわ」
「まぁでも、家族の前でだと態度が変わるのは、おれ達も似たようなものじゃない? やっぱり家族と友達相手じゃ、同じような顔は見せられないって」
「とは言っても、たかのっぽくんとおれ達の場合は、友達って関係かどうかは微妙なとこだけど」と拓弥が苦笑しながら言葉を続ける。「まぁなぁ」と優作が、若干腑に落ちない顔をしつつも拓弥に頷き返す。
まぁ確かに、友達と親への態度が100%まるまる一緒かって言われたら、違うところはあるよな。同年代を相手にしていても、職場の同僚とこいつら幼馴染相手とじゃ、やっぱり接し方って変わってくるし。
う~ん、でもやっぱりそれだけでまとめるには、あの態度はもっとこう、何か別のそれな気がするんだよなぁ。
なんかもっとこう、頑ななものを感じるというか、根本的なところに違和感があるというか……。
「あと個人的には、たかのっぽくんの名字が高須野ってところにも驚いたかな」
そう話を続けた拓弥に、「それな」と優作がパチンと指を鳴らした。「あ、それは俺もちょっと思った」と、思わず俺も同意する。
多少待つ羽目にはなるが、近くのショッピングモールにでも足を伸ばせば、いい時間潰しにはなるだろう。というわけで、4人で軽く話し合った後、ほぼ即決で予約を入れる事にした。
「時間があるなら、俺、ベースだけ取りに帰ります」と言ったたかのっぽくんとはあとで合流する約束をし、ひとまず大人3人組だけでショッピングモールへ向かう。
そういえば、この辺りに来る時って、いつも駅とスタジオ――と、時々ファミレス――の往復しかしないから、それ以外の場所に行くのって新鮮な感じがする。
「冒険してるみたいでワクワクすんね!」と言ったら、「道に迷うなよ、アホの子」と優作にからかわれた。迷うか。
たどり着いたショッピングモールは、ビルだらけの街中にあるにしては、なかなかの規模だった。
縦にも横にも広く、人の数はもちろん、出店している店舗の数も多い。入り口近くに設置されていた案内板によると、ゲームセンターや映画館などのアミューズメントパークも併設されているようだ。
デパート勤務の拓弥も、「郊外でもないのに、ここまで敷地が広いのも珍しいね」と、興味深そうにモール内を見回していた。
思った以上の規模に大人3人で面食らいつつ、ぶらぶらと散策を開始。が、さすがに全部を見て回ることはできず、1時間ほど歩き続けたところで疲れを理由にフードコートに入る事となった。
それぞれに目についたお店で飲み物を買い、空いてる席に腰をおろす。
そのままダラダラと雑談を続けていれば、たかのっぽくんから駅についたことを知らせる連絡が来た。
Herecメンバー用のグループチャットを通して連絡が来たそれに、俺が3人を代表して今居る場所をたかのっぽくんに伝える。すぐに既読を意味するマークがつき、「わかりました。そちらへ向かいます」という返事が送られてきた。
「たかのっぽくん、こっち来るってよ」
スマホの電源を落としながら優作と拓弥に言う。
「「りょーかーい」」と間延びした返事が、優作と拓弥から同時に返された。
「いやー、にしてもたかのっぽくんのあれ、凄かったな」
たかのっぽくんの名前にファミレスでの出来事を思い出したのか、ふいに優作がそう切り出した。
「妹の方もいろいろやばかったが、たかのっぽくんの方も相当やばかったな。まさか、あんな風に怒る奴だとは思わなかったぜ」
言いながら、優作が座っている椅子の背もたれに背を預ける。
そのまま手にしていた紙コップの蓋にささっているストローに口をつけ、ズゴゴゴゴ、と勢いよく中のジュースを飲んでいく。
「あ。やっぱりそれ、優作も思った?」
俺も自分用に買ったジュースに手を伸ばしながら、優作に尋ね返す。
人気炭酸飲料水のメーカーのロゴが入った赤い紙カップ。けど中身はロゴのメーカーと全く関係ないオレンジジュースだ。柑橘系の酸っぱさがにじむ甘いそれを、ズーッと、ストローで吸いあげる。
「思ったっつーか、思わざるを得ないって感じだろ。普段とのギャップがありすぎだわ」
「まぁでも、家族の前でだと態度が変わるのは、おれ達も似たようなものじゃない? やっぱり家族と友達相手じゃ、同じような顔は見せられないって」
「とは言っても、たかのっぽくんとおれ達の場合は、友達って関係かどうかは微妙なとこだけど」と拓弥が苦笑しながら言葉を続ける。「まぁなぁ」と優作が、若干腑に落ちない顔をしつつも拓弥に頷き返す。
まぁ確かに、友達と親への態度が100%まるまる一緒かって言われたら、違うところはあるよな。同年代を相手にしていても、職場の同僚とこいつら幼馴染相手とじゃ、やっぱり接し方って変わってくるし。
う~ん、でもやっぱりそれだけでまとめるには、あの態度はもっとこう、何か別のそれな気がするんだよなぁ。
なんかもっとこう、頑ななものを感じるというか、根本的なところに違和感があるというか……。
「あと個人的には、たかのっぽくんの名字が高須野ってところにも驚いたかな」
そう話を続けた拓弥に、「それな」と優作がパチンと指を鳴らした。「あ、それは俺もちょっと思った」と、思わず俺も同意する。
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