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3章 子どもとカレーと背景事情
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なんとはなしに、これまで思っていた事を口にしてみた。
すると、俺の言葉に機嫌をよくしたらしいきらりちゃんが、「あたりまえでしょ!」と嬉しそうに腕を組みながら胸を張り返してきた。
「きらり、パパのこと、だいだいだーいすきなんだから! だからきょうだって、パパに……」
そこまで言った途端、きらりちゃんがハッと顔を強張らせ、喋るのをやめた。
「? きらりちゃん?」
「どうかした?」と、スプーンを片手に無言になってしまった少女に尋ねる。
俺の質問には答えず、きらりちゃんがうなだれた。
そうして、まだ半分以上残っているカレーに目をやりながら、「透くん……」と俺の名を呼び返してきた。
「パパ、きらりのこと怒ってるかな」
あ、やっべ。地雷踏んだな、これ。
(反省すべきところはって言ったばかりで、すぐこれって、俺はバカか。優作のアホの子って呼び方も否定できないぞ)
一瞬前までの元気が霧散し、しょんぼりと肩を落とし始めたきらりちゃんに、ど、どうしよう、と内心で慌てふためく。さすがに、先刻と同じ方法はもう使えないだろう。むしろ、使ったら悪化する予感しなかない。
ひとまず、場をもたせるためにも、「ど、どうしてそう思うの?」と尋ねてみる。
俺の質問に、きらりちゃんが「だって……」と言いながら顔をあげた。
「きらり、パパにきらいって、言っちゃった」
ちょっとタレ目で、優しげな雰囲気のある大きな瞳が、うるりとその表面を潤ませながら、不安げな様子で目の前の大人を見上げてくる。
「きらり、パパのこと、きらいじゃないのにきらいって言っちゃった。パパ、怒ってたらどうしよう」
「きらりのこと、もっとイヤになっちゃったらどうしよう」そこまで言った途端、堰を切ったようにきらりちゃんの目からボロボロと大粒の涙がこぼれ始めた。
――『もっとイヤになっちゃったら』
その言葉に、ピタリと俺の中の焦りが止まった。
次の瞬間、俺の脳裏にあのスタジオでの光景が思い出された。
拓弥に嫌われているんじゃないかと、不安げにこぼした、あのきらりちゃんの姿が――……。
「きらり、きらりね、っ、パパにね、きらいなんて言うつもり、なかったの」
「……うん」
「本当はね、きらりね、パパに見せたいものがあっただけなのっ。パパにね、きらりのおはなしを聞いてもらいたかっただけだったのに……」
ぐすぐすと泣きながら、きらりちゃんが話を続ける。
まず、そもそもの始まりは、1週間ほど前の事だったそうだ。
その日、きらりちゃんの学校では授業参観が行われていた。
それは小学生になったばかりのきらりちゃんにとって初めての授業参観で、その初めてを記念するように、教室にはきらりちゃんのお母さん、そして『今のお父さん』の2人が揃って来てくれたという。
当然嬉しくなったきらりちゃんは、気合いを入れて授業参観に臨んだ。
その甲斐あってか、家に帰ってからもきらりちゃんは、お母さんとお父さんに授業参観での出来事を褒められる事となった。
大好きな人達に自分の頑張りを褒められ、テンションがあがらないはずもない。
テンションがあがりにあがったきらりちゃんは、勢いのまま、つい正直に言ってはいけない事を口にしてしまったのだという。
「『パパ』にも見てほしかったな」と。
すると、俺の言葉に機嫌をよくしたらしいきらりちゃんが、「あたりまえでしょ!」と嬉しそうに腕を組みながら胸を張り返してきた。
「きらり、パパのこと、だいだいだーいすきなんだから! だからきょうだって、パパに……」
そこまで言った途端、きらりちゃんがハッと顔を強張らせ、喋るのをやめた。
「? きらりちゃん?」
「どうかした?」と、スプーンを片手に無言になってしまった少女に尋ねる。
俺の質問には答えず、きらりちゃんがうなだれた。
そうして、まだ半分以上残っているカレーに目をやりながら、「透くん……」と俺の名を呼び返してきた。
「パパ、きらりのこと怒ってるかな」
あ、やっべ。地雷踏んだな、これ。
(反省すべきところはって言ったばかりで、すぐこれって、俺はバカか。優作のアホの子って呼び方も否定できないぞ)
一瞬前までの元気が霧散し、しょんぼりと肩を落とし始めたきらりちゃんに、ど、どうしよう、と内心で慌てふためく。さすがに、先刻と同じ方法はもう使えないだろう。むしろ、使ったら悪化する予感しなかない。
ひとまず、場をもたせるためにも、「ど、どうしてそう思うの?」と尋ねてみる。
俺の質問に、きらりちゃんが「だって……」と言いながら顔をあげた。
「きらり、パパにきらいって、言っちゃった」
ちょっとタレ目で、優しげな雰囲気のある大きな瞳が、うるりとその表面を潤ませながら、不安げな様子で目の前の大人を見上げてくる。
「きらり、パパのこと、きらいじゃないのにきらいって言っちゃった。パパ、怒ってたらどうしよう」
「きらりのこと、もっとイヤになっちゃったらどうしよう」そこまで言った途端、堰を切ったようにきらりちゃんの目からボロボロと大粒の涙がこぼれ始めた。
――『もっとイヤになっちゃったら』
その言葉に、ピタリと俺の中の焦りが止まった。
次の瞬間、俺の脳裏にあのスタジオでの光景が思い出された。
拓弥に嫌われているんじゃないかと、不安げにこぼした、あのきらりちゃんの姿が――……。
「きらり、きらりね、っ、パパにね、きらいなんて言うつもり、なかったの」
「……うん」
「本当はね、きらりね、パパに見せたいものがあっただけなのっ。パパにね、きらりのおはなしを聞いてもらいたかっただけだったのに……」
ぐすぐすと泣きながら、きらりちゃんが話を続ける。
まず、そもそもの始まりは、1週間ほど前の事だったそうだ。
その日、きらりちゃんの学校では授業参観が行われていた。
それは小学生になったばかりのきらりちゃんにとって初めての授業参観で、その初めてを記念するように、教室にはきらりちゃんのお母さん、そして『今のお父さん』の2人が揃って来てくれたという。
当然嬉しくなったきらりちゃんは、気合いを入れて授業参観に臨んだ。
その甲斐あってか、家に帰ってからもきらりちゃんは、お母さんとお父さんに授業参観での出来事を褒められる事となった。
大好きな人達に自分の頑張りを褒められ、テンションがあがらないはずもない。
テンションがあがりにあがったきらりちゃんは、勢いのまま、つい正直に言ってはいけない事を口にしてしまったのだという。
「『パパ』にも見てほしかったな」と。
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