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4章 臆病者と家族とキラキラ星
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ぽつりぽつりと、思った事が口から出ていく。
伝えたい何かを探すように。この目の前の怖がりな友人に、伝えたいものを見つけだすように。
自分の中から浮かんでくる気持ちを言葉に直しながら、スタジオの扉に手を伸ばす。
俺の突然の行動に驚いたらしい拓弥が、「透くん?」と不思議そうに俺を呼んだ。
しかし、それには応えず、俺はドアノブをギュッと握った。
「何がどう違うとか、どうしてそう思うのかとか、そういうの上手く言えないんだけどさ。でもやっぱり違うって思うんだ。そりゃあ、正解を選ぶのが正しいってのはわかってるよ? 正しい解答って書いて、正解なわけなんだし。子ども達のテストでだって、たとえ『あと少し違ってれば正解だったのにー!っ』て思うような答えが書いてあっても、だからってさすがに丸にはしてやれないしさ」
「三角ならあげられるかもだけどね」と拓弥にむかって笑う。拓弥が「はあ」と困惑したように相槌をうち返してきた。
「正しい事ができるなら、きっとそれが1番いい。でもだからって、それがいつでも正解かって言われたら、たぶんそうじゃないんだ」
頭の中に、昨晩の出来事が思い浮かぶ。
パパに嫌われているかもしれない。そう考え、落ち込む1人の少女。
あの時、俺が彼女にかけるべき言葉は、いくらでもあった。だがそのどれもが、あの時の俺には薄っぺらく感じられた。自分がそれらを言うには、俺という人間はあまりにも当事者からかけ離れ過ぎていたから。
そんな立場の奴が何を言っても、きっとこの子の心には響かない。――そう思ったから。
「間違った事をするのは怖いし、それで誰かからバッテンをつけられるのだってやっぱり嫌だけど、でもそうする事が正しいから、1番いいからって、それだけの理由で『正しい事』をしちゃうのは何か違う気がする」
たとえば。
俺達のバンドの形が、世間一般でいう『バンド』とはどこかかけ離れていても、それでもなんとか、どうにかバンドを続けられているように。
そんな不格好なバンドでも、小さな観客を1人楽しませる事ができたように。
「間違えたって、きっと大丈夫だよ」
俺の言葉に目を丸める拓弥に、ニッと、今度は力強く笑い返す。
「丸は無理でも、頑張れば三角ぐらいは貰えるから。間違えたって、きっと大丈夫。悪い事ばかりじゃないよ」
「透く、」
「それでもやっぱり『怖い』ってんならさ、」
ドアノブに力をかける。
ガチャリと音をたてて、ドアノブが下がった。
そして――、
「いっそのこと、一度『全力』で間違えてみるってのもおつじゃね?」
一度やめた好きな事を、もう一度始めたら見えてきたものがあったように。
間違えた先でしか、見えない光景もあるかもしれないから。
「つーわけで、これが今できる俺の『全力』です」そう言葉を続けながら、俺はスタジオの扉を開けた。
伝えたい何かを探すように。この目の前の怖がりな友人に、伝えたいものを見つけだすように。
自分の中から浮かんでくる気持ちを言葉に直しながら、スタジオの扉に手を伸ばす。
俺の突然の行動に驚いたらしい拓弥が、「透くん?」と不思議そうに俺を呼んだ。
しかし、それには応えず、俺はドアノブをギュッと握った。
「何がどう違うとか、どうしてそう思うのかとか、そういうの上手く言えないんだけどさ。でもやっぱり違うって思うんだ。そりゃあ、正解を選ぶのが正しいってのはわかってるよ? 正しい解答って書いて、正解なわけなんだし。子ども達のテストでだって、たとえ『あと少し違ってれば正解だったのにー!っ』て思うような答えが書いてあっても、だからってさすがに丸にはしてやれないしさ」
「三角ならあげられるかもだけどね」と拓弥にむかって笑う。拓弥が「はあ」と困惑したように相槌をうち返してきた。
「正しい事ができるなら、きっとそれが1番いい。でもだからって、それがいつでも正解かって言われたら、たぶんそうじゃないんだ」
頭の中に、昨晩の出来事が思い浮かぶ。
パパに嫌われているかもしれない。そう考え、落ち込む1人の少女。
あの時、俺が彼女にかけるべき言葉は、いくらでもあった。だがそのどれもが、あの時の俺には薄っぺらく感じられた。自分がそれらを言うには、俺という人間はあまりにも当事者からかけ離れ過ぎていたから。
そんな立場の奴が何を言っても、きっとこの子の心には響かない。――そう思ったから。
「間違った事をするのは怖いし、それで誰かからバッテンをつけられるのだってやっぱり嫌だけど、でもそうする事が正しいから、1番いいからって、それだけの理由で『正しい事』をしちゃうのは何か違う気がする」
たとえば。
俺達のバンドの形が、世間一般でいう『バンド』とはどこかかけ離れていても、それでもなんとか、どうにかバンドを続けられているように。
そんな不格好なバンドでも、小さな観客を1人楽しませる事ができたように。
「間違えたって、きっと大丈夫だよ」
俺の言葉に目を丸める拓弥に、ニッと、今度は力強く笑い返す。
「丸は無理でも、頑張れば三角ぐらいは貰えるから。間違えたって、きっと大丈夫。悪い事ばかりじゃないよ」
「透く、」
「それでもやっぱり『怖い』ってんならさ、」
ドアノブに力をかける。
ガチャリと音をたてて、ドアノブが下がった。
そして――、
「いっそのこと、一度『全力』で間違えてみるってのもおつじゃね?」
一度やめた好きな事を、もう一度始めたら見えてきたものがあったように。
間違えた先でしか、見えない光景もあるかもしれないから。
「つーわけで、これが今できる俺の『全力』です」そう言葉を続けながら、俺はスタジオの扉を開けた。
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