異世界召喚されたが役立たずと言われ砂漠に捨てられたので、廃墟だった地下都市の王になり世界を征服することにした

魔茶来

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2.お前が待っているのは俺じゃないから

初めてのヒーロー戦④

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 たぶん、あの時から、僕は願っていた。
 そうであって欲しい。
 そうであれば嬉しい。
 そんな希望を持ちながらも否定され続けたから、自分も諦め否定していたのかもしれない。

 でも、何度も助けられるうちに淡い期待を持ち続けていた。

「その願いは現実になったんだ」

 そうなんだ、僕の待っていヒーローは目の前に居たんだ。
 本当にジェイはアクア元素エレメントのヒーローだった。

 それが現実になった時僕の心は踊った。

 今も一緒に戦いながらジェイの戦い方を見てなにかを掴もうとしていた。

 サンダーボードに乗り高速に移動しながらグレーブの分身たちをヌンチャクで破壊していた。
 だが破壊しても再生するため効果は余り無いように思えた。

 ジェイのように燃やし尽くせればいいのだが、そうは行かない。
 そうなんだ、僕の火魔法は木の化け物に全然効果がない。
 だから、ヌンチャクで破壊していくしかないと考えた。
 でもヌンチャクで破壊しても木の化け物は再生して直ぐに攻撃を再開する。
 それでも攻撃は止められない。
 それしかないからなのと、致命傷を与えられる場所が分かればそこへの攻撃が有効になるからだ。
 だから、諦めないでなるべく色々な場所へ攻撃をしていく。

 僕はヌンチャクでグレーブを破壊しながら別の対策も練り始めた。
 ジェイの火は大規模な火事のような荒々しい踊るような炎であり木の化け物も焼け尽くされている。
 完全に燃やし尽くすことが出来る炎・・・羨ましい。

 そうだ、ジェイは違うんだ。
 ただの元素エレメントのヒーローではない、

 前にジェイも言っていた。
 お前達の魔法の火はモワモワしたものだなって・・・

 モワモワ?
 そう言われてみればそうかな?
 火事になった時の火とは違うような気がする。
 火事の炎は何かを求めてメラメラとしているイメージだ。
 それに引き換え魔法の火は理想的な形をした『熱いもの』と言うイメージだな。
 
 ジェイは別の世界では魔法なんか無いと言っていた。
 でも不便ではないと言っていた。
 それは自然のことわりがあるからだと言っていた。

 自然のことわり

 物が燃えることにも自然のことわりがあると・・・

 その時は何のことかは分からなかった。

 でも信じることが重要なんだ。

 そうさ、前回だってそうだった。
 砂漠で大量の水を使う魔法が使えたじゃないか。
 
「ああ、そうさ、信じてる、ジェイ」

 整理する。
 例えば枝を燃やす時、まず火魔法で術を使うとモワモワした火が出現する。
 その時燃え始めた枝から出る火は魔法の火とは違う・・・
 着火した後の火は確かに違うものだった。

 ジェイの言ってた自然のことわり・・・

 物が燃えるのは、燃える物と何もないと思っているこの空間にある空気いう物で充満しているらしい。
 そして空気の中に酸素とか言う物があり、酸素が燃えることを補助する物でそれが必要だと言っていた。

 つまり、僕の知っている魔法の「燃やす」と言う行為は自然に存在する「燃える」とは違うということ
 だからモワモワした炎なのではないだろうか?
 でも少なくとも着火は出来ると言うことは間違いはない。

 だとすれば、僕にもジェイと同じ炎を出すことは出来るかもしれない。

 問題は酸素か?
 それはどんな物だろうか?
 僕には理解できないということ、つまりジェイを同じことは出来ないということ・・・

「駄目だ、ここで諦めたら、何も出来ていない、破壊しても元に戻っているだけじゃジェイの足手まといだ!!」

 酸素は目に見えない物だと言っていた。
 そうだ、ジェイも酸素を理解して利用しているわけではない。

「はははは、魔法なんだから酸素と頭に願えば良いはず、そうさ、いい加減で良いんだ。
 そうだ、ジェイはいつだっていい加減じゃないか!!」

 方法は決まった。
 火魔法、風魔法を合成する。
 風魔法は空気を動かすもの、酸素は燃えることに使われるらしいから補充が必要だ。
 だから風魔法で次々と新鮮な酸素を送り込めば良いということだ。

 風魔法で空気の中から酸素だけを動かすことが出来るか・・・・
 難しいことは考えないでおこう、ここはジェイ方式でこれは魔法だから「念ずれば通づる」かな?

 魔法に集中し、ジェイと同じような温度になる炎を意識する。
「パワーフレイム」
 名前なんかいい加減だ、それでも魔法は発動した。

 いつもと違う、真っすぐな炎の柱、そして火の温度が高いということを表すように、まばゆい白い炎になった。
 もっと驚くのはその効果だった。
 枝はその炎に触れると一気に発火するとともに、燃えると言うよりは発光しながら消えるように燃えた。

 完全燃焼、全ての物が燃えるということ。
 ジェイは鉄ですら燃えると言っていたがその通りなんだろう。

 その威力に驚いている暇はなかった。
 僕が遊んでいる間にずいぶんと多くの分身が現れている。
 でも大丈夫だ、僕も戦力になる。
 さあ、反撃の開始だ!!

 ジェイは赤い頭の分身を中心に攻撃しているようだった。
 あれはいかづちの魔法だな。
 あんな魔法も使えるのか、あれも自然のことわりなのか!!

 僕は本当に馬鹿だった。
 疑いながらも「ジェイはアクア元素エレメントのヒーロー」じゃないのかと願っていたはず。
 だったらもっとジェイを信じて、ジェイに色々教えてもらえば良かった。

 サンクスの新しい力が発揮された時、ジェイは驚いていた。
 サンクスが新しい火魔法を使った。
 それは高温の炎、まばゆい白い炎の柱であったことに驚いた。

「この間サンクスは水魔法を自然のことわりを信じて使ったと言っていた。

 今回の炎も同じだとすると、前回から考えていたんだが、サンクスには可能性があったんだよな。
 今のを見て確信した。
 そうだ、そうとしか考えられない。

 『ハイブリッド』」
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