異世界召喚されたが役立たずと言われ砂漠に捨てられたので、廃墟だった地下都市の王になり世界を征服することにした

魔茶来

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昇神闘争

装甲列車「シリウス」

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「そんなことが出来るのか?
 一日も掛からないと言うのか?」

 グレスは驚くとともに自分の考えがジェイには全く及んでいなかったことに頭を抱えた。
 そんなグレスにミザカが声をかける。

「早く着くならそれは良いことなのではないですか?」

 グレスは首を横にふる。

「違うんだ、前にブロス様と話したことが気になってね・・・
 まだ砂漠のあちらこちらに存在する、奴らに占領された地域を解放し国民を集結させたいのだ。
 考えてみればまだ多くの民が俺たちのことや新しい国を立ち上げることを知らない。
 そして憎しみ合わなくても良いセグリアの民と戦うことを正義であると思っていることだ。
 そう憎しみではなく、互いに前に進むことをザガールの民に皆にしらしめたい。

 だから俺はできれば今からでも占領地を解放して廻りたい。
 彼らを解放し民を集結しながら新たな国を立ち上げたいんだ。

 今その話をすれば、多分別行動を申し入れることになるだろう。
 だから、これは俺の勝手な考えによる話だとは分かっている」

 ミザカは悩んだグレスの顔を見ると微笑んだ。
「さすがグレス様です・・・
 でもそれは我儘ではなくて、あなたはそう言う役割を持つ人なんですよ。
 だから私にも命令ください。
 一緒に参ります、グレス様」

 グレスは驚いた、ミザカも一緒にきてくれると言うのだ。
「だめだ、危険すぎる・・・・」

 ミザカには不安はなく微笑んだ。
「今あなたが、一言一緒に行こうと命令・・
 いえ、一緒に行こうと言うだけで良いんです。
 そうすれば多くの賛同者が集まるでしょう
 あなたはそういう責任ある人になったのです」

「でも・・・
 俺には何も作戦は無い・・・」

「大丈夫です。
 あなたならできます。
 ロザリア様、ジェイ様、ラミア様、サンクス様、イグル様や、賢者の方々・・・
 あなたには、国を超えて多くの支援者がいるのです。

 全ての支援者があなただから、あなたの力になってくれます。
 ご自分を過小評価するのはやめてください。

 あなたは既に国を復興できる力を持っているのです」
「でもここで、勝手な行動をしても本当に大丈夫だろうか?」

「そんなに何が不安なんですか?
 大丈夫、ジェイ様は反対はしないと思いますよ。
 何も心配せずにジェイやラミア様にご相談すれば良いのです。
 きっと最善の解決策が出ますよ」

 厚かましいことだと思いながらもミザカの言う通りにジェイに相談することになった。
 その前にミザカの言うように一緒にいくものを募ることにした。
 驚くべきことに十分な戦力の部隊となるほどの人員が集まったのだ。
 それも驚くことに半分は女性だった。

 グレスはミザカの顔を見た。
「グレス様、私はサンクス様に教えられた魔法を使えるようになって分かったのです。
 私たちは激怒の戦士アンガーファイターという姿でなくともスマートな戦いができるのです。
 そう分かった途端に女性の参加者が多くなりました。
 やっぱり・・・激怒の戦士アンガーファイターって女の子向けではなかったのです」

 参加者の女性からも声が聞こえてきた。
「姿や形の問題ではありません。
 ミザカ様が戦うのであれば私たちも戦います。
 そうグレス様が進化したように、私たちにも多くの可能性があることが分かりました。 
 私たちはこの戦いの中で新たな戦闘部隊として進化するでしょう」

 皆の話を聞いてグレスは自分がいかに多くの人に助けられているのかを思い知った。

 ジェイとブロスに話をするためにブリッジに向かった。

 ジェイのいつものようにそばにはラミアがいた。
 というかラミアのそばにジェイがいたと言うべきだろうか?

 ジェイは発信準備を終え、出発しようとしていたところだったが出鼻を挫かれた。
 ジェイはグレス話を聞いて、ラミアにひそひそ相談をした。
「まだ爪かその代わりになるものはある?」

「そんなに欲しい?
 もちろんありますよ。
 高いわよ・・・」

「えっ?高い・・・
 違うんだグレス達のために使うんだよ!!」

「知っているわよ。
 でも高いわよ・・・」

「俺が払うの?」

「もちろん、夜のお勤めで払ってもらうから・・・」

「夜のお勤めって・・・」

 ジェイはラミアの爪をもらうと早速外に出て何かを作り出す。
 だが、それは一時間も掛からなかった。

「俺も慣れたものだな・・・
 これでは例の便利道具を出してくれるロボットだな・・・」

「ジェイ様これは?」

 それはグレスは見たこともない長い倉庫のようなものが繋がったものであった。
「これは装甲列車だ、このキャタピラーという車輪により砂漠も爆走できるだろう。
 長く見えるが、一両ではなく16両で構成されている。
 16両全てで1編成でも、最小の1両で最大16編成でも可能だ。
 君たちの作成に合わせ小隊に分け編成を変えて戦ってくれ
 また小規模だが武器もつけてある。
 そうそう、操縦は考えるだけだから簡単だよ。
 あ、それと食料も十数日分だが少し分けておくよ」

 線路があるわけではないので、列車というのは間違いかもしれない。
 だが16両連結したその姿は列車といっても問題はないと思った。

「こんなすごいものを、お借りしていいんですか?」

「これは君たちのものだ、遠慮せずに使ってくれ
 あとは作戦だが、ブロスの方が適任だから彼と話をしてくれ」

 グレスはブロスと入念に作戦を打ち合わせ、考え始めた。

 そこへサンクスがやってきた。

「ジェイ、ロザリア王女はジェイとラミア様が守ってくれるから大丈夫だよね。
 それで、グレスたちと一緒に行って良いかな?」

「えっ?
 グレスたちと一緒に?」

「もっと彼らに魔法も教えてあげたい。
 もっと彼らの役に立ってあげたい。
 違うな・・・敵だと思っていた、彼らをもっと知りたいんだ。
 ロザリア姫のように人を信じる気持ちをもっと知りたいんだ。
 そうさきっと彼らと一緒にいると何かを教えてもらえそうな気がする。
 そう『なりたい俺』になるために、僕は行きたいんだ。
 だからロザリア王女のことはお願いします。
 きっと何かを掴んで帰ってくる」

 サンクスの言葉には力があった。
 ロザリア王女と離れる覚悟までしている彼は本当に強くなることを選ぼうとしていた。

 サンクスがなんかカッコよく見えた。

「ああ、行ってこいよ。
 俺にはわかるよ。
 カッコいい男になって帰ってくるだろうな」

 数時間後必要な物資を積み込み装甲列車は発車の時間となった。
 名前をつけて欲しいと言われたがすぐに思いつかなかった。
 空に星が見え始めていたので思いついた星の名前を言ったところその名前に決まってしまった。

「装甲列車『シリウス』発信!!」

 グレスの掛け声とともに装甲列車は我々より早く砂漠の中に進み始めた。

「サンクス、いってらっしゃい!!」

 ロザリア王女はサンクスの決意が分かっていたのだろうか?
 別れる寂しさもあると思うのだが、笑ってサンクスを送り出した。
 少し後で一人、寂しそうにに窓の外を見つめていた。

 そんな二人を見て、彼らもどんどん成長しているのだと思った。

 さて今度こそ、俺たちも発進だ。
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