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昇神闘争
伝説の道
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二人は走り続けていた。
だが陽が傾くほどに砂の中から虫が出現してくる。
やがてそれはこの砂漠を覆い尽くすだろう。
もちろんふたりは虫除けの薬など持ってはいない。
このままでは虫の餌食になってしまうしかない。
そう、陽はほとんど落ちかけている、このまま自分たちも終わりなのかと思った。
その絶望的な状況の中でつい、弱音が口に出た。
「ああダバハがいれば・・・」
だがそれを聞いていたもう一人は閃いた。
「そうか、ダバハだ・・・」
「一体どうしたんだ?
何がダバハなんだ?」
「ダバハを呼ぶんだ。
ここに来た時はダバハに乗ってきたはずだ。
さっきの破壊活動ではダバハは逃げ出したはず、そうだよダバハは全滅していないはずだ。
きっと砂の中に逃げのびたダバハはいるはずだ」
そういうと男は指笛を鳴らしダバハを呼び始め、もう一人も追従した。
絶望的な状況でたった一つの希望である、それしかないそれしか・・・
そして、それは虫が這い上がってくる絶望の中長い時間続けられた。
暗くなると砂はほとんど虫に覆われた、二人の体にも虫が這い上がり払い除けるのすら難しくなってきた。
もはやその状況では二人は覚悟を決めるしかなかった。
もうだめだと思われたその時地面が盛り上がった。
そこから一匹のダバハが現れた。
二人は虫を払いのけダバハの飛び乗ると鞍に格納した虫除けの施された布を被った。
虫除けの薬が塗ってある布は彼らの体に付着していた虫たちを全て剥がしてくれた。
そしてすぐにダバハの胴に手を触れ大きく数回叩き、砂に潜るように指示をする。
「助かった、本当に助かった・・・」
そう思いながら行き先を考えていた。
「そうだグワールに行くか?」
「グワールに行くにはサンバンカ領の町を通る必要があるが、大丈夫か?
このまま砂に潜っていける訳もないと思うから無理だよ」
「多分このあたりにはアーズナルの道がある。
それをダバハに探させる。
見つかればグワールに行けるはずだ」
「アーズナルの道がこの辺りにもあるのか?」
「ああ、サンバンカ領の地下にあるという話は間違いない。
サンバンカ領に近づけば間違いなくダバハなら見つけるだろう。
アーズナルの匂いをダバハに追って貰えばここからでも見つけられるはずだ。」
「さあダバハ、お前の鼻でアーズナルの匂いをかき分けて俺たちを案内してくれ」
その命令を聞き届けると二人を乗せたダバハはより深く砂の中に潜って行った。
アーズナルの道それは古代生物のアーズナルが掘り進んだ道である。
その生物は長さ数十メートル、胴回りは5mはあったという。
その生物は今のシールドマシンのようなトンネルを巣穴として地下深くに長距離にわたり掘っていたという。
そして貝殻虫のように石灰でトンネルの周りを補強していたため多くのトンネルが利用可能なまま現在でも残っているという。
その生物はすでに絶滅してしまったがその道は縦横無尽にこの星のいたるところを走っているという。
ダバハを操り地下を進むことができた彼らザカールだけが知っている伝説の地下道だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
サンブルド王国外れの抵抗軍クラバスの拠点でも作戦は始まった。
拠点内の調査を終えた者たちの報告がクラレスの元に集まってきた。
「クラレス様、蟲は検出されませんでした」
やはりな、今はまだ蟲も残存数が少ないのだろう。
奴らも増産していると聞くが、増産分はまだあちらで育てている最中ということだろう。
「だがまだ、どこかに蟲が取り憑いた者が潜んでいるかもしれない気を引き締めて調査継続してくれ」
そうは言っても少し安心したクラレスだった。
ロレッタはそんなクラリスに声をかけた。
「クラレス、本当にお前たちがきて助かった。
少し休んでくれ、紅茶でも入れようか?」
「なんという勿体無いことを、まだ作戦は継続中です。
こうしている間もロザリア王女や国の再興を考えると休んでなんかいられません」
「お茶程度で心配しなくても良いですよ、それよりあなたが倒れたら元もこもありませんから」
「ありがとうございます、でもお茶はもう少しお待ちください。
お願いしていた調査が完了したようです」
クラレスは依頼していた仕事を終わりこちらに向かってくる数名の足音に気づいたのだ。
数名の者、それはザカール兵たちが戻ってきた。
「クラレス様、調査が終わりました。
やはりな違いありません、この下の洞窟はアーズナルの道のようです」
「そうですか、本当に面白い生物ですね。
石灰で掘った洞窟を補強する生物なんて。
我々は人が下の洞窟を作ったのだと考えていましたよ」
「我々ザカールも全てを知っているわけではないです。
ザカールが暮らしていたこの砂漠を中心にした地下はよく知っているのですがね」
「それで、どこに繋がっているのですか?」
「完全に把握したのはサンバンカ領へ行くトンネル、あとグワールとサウサモースへ繋がっているトンネルがあるようです」
そのやりとりを見ていたロレッタは感謝を伝えた。
「ザカールの皆様の協力、感謝いたします。
これで占領されて虐げられているセグリアの民を助けることができそうです。
本当にありがとうございます」
「ロレッタ様がそのように言ってくださること大変ありがたく思います。
本来であれば我々もお詫びを貴方様や多くのセグリアの人々にしなければならないところなのに・・・」
「本当に、分かりあうことの大事さをロザリアに教えられました」
クラレスは二人の話を聞きながら改めてロザリア王女の力を思い知った。
「貴重な情報を、ありがとう。
これでサンバンカ領の人質の解放や襲撃も可能である。
そして占領下にある元のセグリア王国のサウサモースにいる人たちを解放することも可能だ。
セグリア復興作戦を開始するぞ!!」
未来に光を見出すことができるかもしれない、その可能性が見えた時、人々はより強くなるのだ。
だが陽が傾くほどに砂の中から虫が出現してくる。
やがてそれはこの砂漠を覆い尽くすだろう。
もちろんふたりは虫除けの薬など持ってはいない。
このままでは虫の餌食になってしまうしかない。
そう、陽はほとんど落ちかけている、このまま自分たちも終わりなのかと思った。
その絶望的な状況の中でつい、弱音が口に出た。
「ああダバハがいれば・・・」
だがそれを聞いていたもう一人は閃いた。
「そうか、ダバハだ・・・」
「一体どうしたんだ?
何がダバハなんだ?」
「ダバハを呼ぶんだ。
ここに来た時はダバハに乗ってきたはずだ。
さっきの破壊活動ではダバハは逃げ出したはず、そうだよダバハは全滅していないはずだ。
きっと砂の中に逃げのびたダバハはいるはずだ」
そういうと男は指笛を鳴らしダバハを呼び始め、もう一人も追従した。
絶望的な状況でたった一つの希望である、それしかないそれしか・・・
そして、それは虫が這い上がってくる絶望の中長い時間続けられた。
暗くなると砂はほとんど虫に覆われた、二人の体にも虫が這い上がり払い除けるのすら難しくなってきた。
もはやその状況では二人は覚悟を決めるしかなかった。
もうだめだと思われたその時地面が盛り上がった。
そこから一匹のダバハが現れた。
二人は虫を払いのけダバハの飛び乗ると鞍に格納した虫除けの施された布を被った。
虫除けの薬が塗ってある布は彼らの体に付着していた虫たちを全て剥がしてくれた。
そしてすぐにダバハの胴に手を触れ大きく数回叩き、砂に潜るように指示をする。
「助かった、本当に助かった・・・」
そう思いながら行き先を考えていた。
「そうだグワールに行くか?」
「グワールに行くにはサンバンカ領の町を通る必要があるが、大丈夫か?
このまま砂に潜っていける訳もないと思うから無理だよ」
「多分このあたりにはアーズナルの道がある。
それをダバハに探させる。
見つかればグワールに行けるはずだ」
「アーズナルの道がこの辺りにもあるのか?」
「ああ、サンバンカ領の地下にあるという話は間違いない。
サンバンカ領に近づけば間違いなくダバハなら見つけるだろう。
アーズナルの匂いをダバハに追って貰えばここからでも見つけられるはずだ。」
「さあダバハ、お前の鼻でアーズナルの匂いをかき分けて俺たちを案内してくれ」
その命令を聞き届けると二人を乗せたダバハはより深く砂の中に潜って行った。
アーズナルの道それは古代生物のアーズナルが掘り進んだ道である。
その生物は長さ数十メートル、胴回りは5mはあったという。
その生物は今のシールドマシンのようなトンネルを巣穴として地下深くに長距離にわたり掘っていたという。
そして貝殻虫のように石灰でトンネルの周りを補強していたため多くのトンネルが利用可能なまま現在でも残っているという。
その生物はすでに絶滅してしまったがその道は縦横無尽にこの星のいたるところを走っているという。
ダバハを操り地下を進むことができた彼らザカールだけが知っている伝説の地下道だった。
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サンブルド王国外れの抵抗軍クラバスの拠点でも作戦は始まった。
拠点内の調査を終えた者たちの報告がクラレスの元に集まってきた。
「クラレス様、蟲は検出されませんでした」
やはりな、今はまだ蟲も残存数が少ないのだろう。
奴らも増産していると聞くが、増産分はまだあちらで育てている最中ということだろう。
「だがまだ、どこかに蟲が取り憑いた者が潜んでいるかもしれない気を引き締めて調査継続してくれ」
そうは言っても少し安心したクラレスだった。
ロレッタはそんなクラリスに声をかけた。
「クラレス、本当にお前たちがきて助かった。
少し休んでくれ、紅茶でも入れようか?」
「なんという勿体無いことを、まだ作戦は継続中です。
こうしている間もロザリア王女や国の再興を考えると休んでなんかいられません」
「お茶程度で心配しなくても良いですよ、それよりあなたが倒れたら元もこもありませんから」
「ありがとうございます、でもお茶はもう少しお待ちください。
お願いしていた調査が完了したようです」
クラレスは依頼していた仕事を終わりこちらに向かってくる数名の足音に気づいたのだ。
数名の者、それはザカール兵たちが戻ってきた。
「クラレス様、調査が終わりました。
やはりな違いありません、この下の洞窟はアーズナルの道のようです」
「そうですか、本当に面白い生物ですね。
石灰で掘った洞窟を補強する生物なんて。
我々は人が下の洞窟を作ったのだと考えていましたよ」
「我々ザカールも全てを知っているわけではないです。
ザカールが暮らしていたこの砂漠を中心にした地下はよく知っているのですがね」
「それで、どこに繋がっているのですか?」
「完全に把握したのはサンバンカ領へ行くトンネル、あとグワールとサウサモースへ繋がっているトンネルがあるようです」
そのやりとりを見ていたロレッタは感謝を伝えた。
「ザカールの皆様の協力、感謝いたします。
これで占領されて虐げられているセグリアの民を助けることができそうです。
本当にありがとうございます」
「ロレッタ様がそのように言ってくださること大変ありがたく思います。
本来であれば我々もお詫びを貴方様や多くのセグリアの人々にしなければならないところなのに・・・」
「本当に、分かりあうことの大事さをロザリアに教えられました」
クラレスは二人の話を聞きながら改めてロザリア王女の力を思い知った。
「貴重な情報を、ありがとう。
これでサンバンカ領の人質の解放や襲撃も可能である。
そして占領下にある元のセグリア王国のサウサモースにいる人たちを解放することも可能だ。
セグリア復興作戦を開始するぞ!!」
未来に光を見出すことができるかもしれない、その可能性が見えた時、人々はより強くなるのだ。
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