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ムーシカ
幻奏
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クリシェは不思議な感覚に襲われていた。
「ハーモニーと言ってもシェリルだけなのに、なぜかしら?
というか直ぐにハーモニー感は消えたわ……」
「そう言えば調査の中で見つけた作曲者の不思議な表現……」
『幻奏』
「その意味は分からなかったけど、もしかすると何か関係があるのかもしれない」
シェリルは舞を楽しんでいた。
「どう、シェリル『踊る』と言うより、天女という表現だから『舞』にしてみたのよ
踊りよりは、動きは少ないけどキラモードへの移行も出来たようだし『舞』でいいかしら?」
「クリシェ最高よ!!
なんか曲と、とっても合っているの、さゆり先生とお母様はセンスが良いのね……」
褒められたサユリ先生とオレアナ王妃は照れながら話をはぐらかした。
「まだ全部が完成した訳では無いので、まだまだ完成まで時間は掛かるし練習もしてもらうわよ!!」
◆ ◆
練習の後、シェリルはゾディアルの檻に行った。
監視役の者同士が話をしていた。
「このゾディアルは姫様以外には懐かないな……」
監視役の者も別に永遠とゾディアルを見張っているわけでは無い。
普通は入り口で駐在していることが多いので夕方以降は、監視も緩い。
姫はゾディアルに近寄ると筒を出した。
「来いゾディアル」
そう小声で叫ぶとゾディアルはその筒の中に消えた。
「ひや~、本当に筒の中に入った」
やっておいて驚くシェリル。
「クリシェの言うとおりだ
先日の魔獣使いの男が残して行った筒は魔獣を運ぶ道具だと思っていたが
クリシェは精霊獣も運べるとか言っていた
中で精霊獣や魔獣は仮眠しているらしいから魔獣にも優しいとか言っていた……」
そのまま王城を出るシェリル。
王城を出ると人気の無いところでゾディアルを外に出した。
いつもの様に頭に乗るとそのまま何処かへ向かった。
「いいぞ
早いなお前は、そうだ名前を付けないとな……」
「ディアスというのはどうだ?」
ゾディアルは大きな口を開けて「ギャウ~ッ」と叫んだ。
するとシェリルは「ディアスで決まりだな!!」と会話を成立させた?
ゾディアルの足は速く直ぐに海が見えてきた。
浜辺まで来るとゾディアルから降りた。
ゾディアルは横になり、その腹の辺りにもたれかかるシェリル。
何となく持って来た「ピアール」だが、何となく吹いてみた。
簡単な曲を吹いていると声を掛けて来る者がいた。
「浜辺でピアールを吹いているなんて珍しいね」
声の主は中年のがっしりとした体格の物凄く日焼けした男だった。
「ピアールをうまくなりたいから練習しているの」
「ほう、今の演奏は、なかなかのものだったよ」
「この曲じゃありません
『浜辺の天女』を演奏できなければダメなんです」
「あれは無理だな!!
と言うか本当のあれはもう誰にも演奏は出来なくなっている……」
「そんなことはありません、さっきまで練習していました
もっともさっきの練習は一章までの演奏でしたけどね……」
「一章って、サビ部分も演奏出来たのかい?」
「もちろんです、というか私はサビの部分を担当しています」
すると男は顔を近づけて来た。
「今の曲でもサビの部分を演奏できるなんて凄いことだよ
一度聞かせてくれないかお願いだ」
「まだ下手だけど良いかしら
ちょっとウォームアップが必要なんで少し待ってくれますか?」
そう言うとe-PODの音楽を聞きながらキラモードへ移行した。
そのまま、ピアールを持ちe-PODの音楽を切るとピアールの演奏と舞を始めた。
男は舞いながら演奏するシェリルに驚愕の顔をして、やがて少し失望したような顔になりながらも一章のサビ部分を聞いていた。
「君は凄いな、誰も演奏できないと言われた『浜辺の天女』を演奏出来るんだ」
「とぎれとぎれになりましたけどね……」
「いや、君は本当に凄い少しだがハーモニクス効果が出ている
ただ残念なのは本当の『浜辺の天女』では無いことで効果が続かないようだな……」
「本当の『浜辺の天女』?」
「今の曲は演奏できるように作り替えられたものだ
本当の『浜辺の天女』は多分人には演奏できないらしい……
そうだ悪魔の曲らしいからな……」
そう言うと男は膝を崩し俯いた……
「大丈夫ですか?
どこか痛むんですか?
教会に行って聖女様に見て貰いましょうか?」
シェリルは男を心配して声を掛け続けた。
男はシェリルの顔を見た時ハッとした。
「だが、今の演奏は可能性があるかもしれない……」
男は立ち上がると紙に譜面を殴り書き始めた。
書き終わるとシェリルに渡した。
「これを演奏できるか?……」
それはさっき演奏したサビの部分だった。
ただし音符の数が3倍近くになっていた。
なのに。シェリルはあっさりと返事してしまった。
「やって見ましょう」
シェリルは演奏を始めた。
だが、そうは簡単に演奏できないシェリル。
一章のさびの部分だが、もっと難しかった二章、三章、最終章のどのサビの譜面よりも難しくなっていた。
「姿勢を変えてごらん、君は舞を舞いながらでも正しい姿勢を保って演奏すれば出来る」
言われる通りにするシェリル。
何度かのトライと男のアドバイスの結果、30分ほどで何とか通しで演奏できそうになった。
「では演奏してみます……」
♪~♪~ ♪♪♪~ ♪♪~♪~ ♪♪♪~
流石に難しいのだが何とか演奏していた。
演奏していて驚いたことがあった、一人のはずなのに数人で演奏しているような錯覚に陥り始めた。
「素晴らしいまだ荒削りだが、ハーモニクス効果が継続している
これだ、これこそ『幻奏』だ……
この悪魔の曲を演奏できる者がいるとは……
いや違う、もしかするとこの舞いながら演奏する姿
この子は本物の『浜辺の天女』なのではないか……」
男はそのまま感動し聞き入っていた。
「ハーモニーと言ってもシェリルだけなのに、なぜかしら?
というか直ぐにハーモニー感は消えたわ……」
「そう言えば調査の中で見つけた作曲者の不思議な表現……」
『幻奏』
「その意味は分からなかったけど、もしかすると何か関係があるのかもしれない」
シェリルは舞を楽しんでいた。
「どう、シェリル『踊る』と言うより、天女という表現だから『舞』にしてみたのよ
踊りよりは、動きは少ないけどキラモードへの移行も出来たようだし『舞』でいいかしら?」
「クリシェ最高よ!!
なんか曲と、とっても合っているの、さゆり先生とお母様はセンスが良いのね……」
褒められたサユリ先生とオレアナ王妃は照れながら話をはぐらかした。
「まだ全部が完成した訳では無いので、まだまだ完成まで時間は掛かるし練習もしてもらうわよ!!」
◆ ◆
練習の後、シェリルはゾディアルの檻に行った。
監視役の者同士が話をしていた。
「このゾディアルは姫様以外には懐かないな……」
監視役の者も別に永遠とゾディアルを見張っているわけでは無い。
普通は入り口で駐在していることが多いので夕方以降は、監視も緩い。
姫はゾディアルに近寄ると筒を出した。
「来いゾディアル」
そう小声で叫ぶとゾディアルはその筒の中に消えた。
「ひや~、本当に筒の中に入った」
やっておいて驚くシェリル。
「クリシェの言うとおりだ
先日の魔獣使いの男が残して行った筒は魔獣を運ぶ道具だと思っていたが
クリシェは精霊獣も運べるとか言っていた
中で精霊獣や魔獣は仮眠しているらしいから魔獣にも優しいとか言っていた……」
そのまま王城を出るシェリル。
王城を出ると人気の無いところでゾディアルを外に出した。
いつもの様に頭に乗るとそのまま何処かへ向かった。
「いいぞ
早いなお前は、そうだ名前を付けないとな……」
「ディアスというのはどうだ?」
ゾディアルは大きな口を開けて「ギャウ~ッ」と叫んだ。
するとシェリルは「ディアスで決まりだな!!」と会話を成立させた?
ゾディアルの足は速く直ぐに海が見えてきた。
浜辺まで来るとゾディアルから降りた。
ゾディアルは横になり、その腹の辺りにもたれかかるシェリル。
何となく持って来た「ピアール」だが、何となく吹いてみた。
簡単な曲を吹いていると声を掛けて来る者がいた。
「浜辺でピアールを吹いているなんて珍しいね」
声の主は中年のがっしりとした体格の物凄く日焼けした男だった。
「ピアールをうまくなりたいから練習しているの」
「ほう、今の演奏は、なかなかのものだったよ」
「この曲じゃありません
『浜辺の天女』を演奏できなければダメなんです」
「あれは無理だな!!
と言うか本当のあれはもう誰にも演奏は出来なくなっている……」
「そんなことはありません、さっきまで練習していました
もっともさっきの練習は一章までの演奏でしたけどね……」
「一章って、サビ部分も演奏出来たのかい?」
「もちろんです、というか私はサビの部分を担当しています」
すると男は顔を近づけて来た。
「今の曲でもサビの部分を演奏できるなんて凄いことだよ
一度聞かせてくれないかお願いだ」
「まだ下手だけど良いかしら
ちょっとウォームアップが必要なんで少し待ってくれますか?」
そう言うとe-PODの音楽を聞きながらキラモードへ移行した。
そのまま、ピアールを持ちe-PODの音楽を切るとピアールの演奏と舞を始めた。
男は舞いながら演奏するシェリルに驚愕の顔をして、やがて少し失望したような顔になりながらも一章のサビ部分を聞いていた。
「君は凄いな、誰も演奏できないと言われた『浜辺の天女』を演奏出来るんだ」
「とぎれとぎれになりましたけどね……」
「いや、君は本当に凄い少しだがハーモニクス効果が出ている
ただ残念なのは本当の『浜辺の天女』では無いことで効果が続かないようだな……」
「本当の『浜辺の天女』?」
「今の曲は演奏できるように作り替えられたものだ
本当の『浜辺の天女』は多分人には演奏できないらしい……
そうだ悪魔の曲らしいからな……」
そう言うと男は膝を崩し俯いた……
「大丈夫ですか?
どこか痛むんですか?
教会に行って聖女様に見て貰いましょうか?」
シェリルは男を心配して声を掛け続けた。
男はシェリルの顔を見た時ハッとした。
「だが、今の演奏は可能性があるかもしれない……」
男は立ち上がると紙に譜面を殴り書き始めた。
書き終わるとシェリルに渡した。
「これを演奏できるか?……」
それはさっき演奏したサビの部分だった。
ただし音符の数が3倍近くになっていた。
なのに。シェリルはあっさりと返事してしまった。
「やって見ましょう」
シェリルは演奏を始めた。
だが、そうは簡単に演奏できないシェリル。
一章のさびの部分だが、もっと難しかった二章、三章、最終章のどのサビの譜面よりも難しくなっていた。
「姿勢を変えてごらん、君は舞を舞いながらでも正しい姿勢を保って演奏すれば出来る」
言われる通りにするシェリル。
何度かのトライと男のアドバイスの結果、30分ほどで何とか通しで演奏できそうになった。
「では演奏してみます……」
♪~♪~ ♪♪♪~ ♪♪~♪~ ♪♪♪~
流石に難しいのだが何とか演奏していた。
演奏していて驚いたことがあった、一人のはずなのに数人で演奏しているような錯覚に陥り始めた。
「素晴らしいまだ荒削りだが、ハーモニクス効果が継続している
これだ、これこそ『幻奏』だ……
この悪魔の曲を演奏できる者がいるとは……
いや違う、もしかするとこの舞いながら演奏する姿
この子は本物の『浜辺の天女』なのではないか……」
男はそのまま感動し聞き入っていた。
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