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35 「あなた、正気?」
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カミナギ大佐は言葉を切ると、またワインをあおった。
杯を空ける時間だけは待ってあげる、とでもいうように。
深々と椅子に腰かけ、ふんぞり返った様は、まさに暴君だった。
「陰謀論がまことしやかに噂される理由がやっと分かったわ」
ヤスミンカはため息をつくと、カミナギ大佐をにらみつけた。
「ヴェルナーと相談しないとだめよ」
「これは、あなた自身の問題よ。あなたがひとりで考え、ひとりで判断するべきね」
突き放すような言い方だった。暗に、彼は不要だとも匂わせている。
「あれこれ考えたところで、あなたはわたしに従うしかないことを知っている。あなたの信奉する合理性は、あなたに既に結論を告げているはずよ。
あとはどうにか、あなた自身の感情を、どうなだめるかだけの話」
カミナギ大佐は、滑らかに告げた。推敲を重ねた原稿を読み上げているかのような滑らかさだった。
そしてヤスミンカも、彼女の提案がどうしようもなく魅力的なことを承知していた。
金銭的な補助は元より、軍という組織のあり方についても、ヤスミンカは一定の評価を抱いている。
大学時代に、はっきりと理解したのだ。
ほとんどの場合において軍が望むのは、学術的な真実ではなく、彼らの思考体系に沿った結論か、あるいは純粋な実行力だ。
そして、その組織的傾向は、軍が合理性という名の神を信奉している限り、どこの国に置いても同じであることは容易に予想できる。
そう、軍と仕事をすることは、ヤスミンカの成長にもつながるのだ。
軍という組織は、ヤスミンカに欠けている、理論を現実に置き換え物に落とし込む力こそを、提供してくれるだろう。その力を用いて、ロケット技術は更に飛躍できる。しかも、そのために必要な力添えは惜しまないと、技術将校が断言しているのだ。
契約書に、真っ向から向き直った。かすかに震える手を覚えながら、ペンをとる。
ヴェルナーの言葉を思い出し、自らを奮い立たせたながら、紙の上にペン先を置く。
たどる道は違えても、そう遠くない未来に、道は繋がっているんだ、と言い聞かせながら。
いまここで、あたらしいことを学ぶのだ、という思いを込めて、書類に向かい合った。
ヴェルナーと別れて。いずれ、どこかで道が繋がっていると信じて。
ここで別れて終えば、もう、一緒にロケットを組み上げることはないだろうけれど。
講義も、議論も戦わせることもないのだろうけれど。
そこでふと、気がついた。
自分の思考が、ずいぶんと短絡的であることに。
まるで、誰かの台本に乗せられて、選ばされているような違和感。それは、議論を好む自分には、似合わないはずの一本道。
誰の台本かは、疑うまでもない。目の前の大佐殿の台本だ。
問題は、なぜ自分が短絡的な思考を見抜けなかったのか。
いや、主題はそこではない。
なぜ自分が、台本の筋書きを辿るように振る舞うように仕向けられているか、である。
自慢の頭が、やっと回転を始めたことに気がついてヤスミンカは薄く笑う。
なんのことはない。
大佐は、自分が、交渉できる材料を保有していることに、気づいて欲しくなかったのだ。
「どうしたの?」
カミナギ大佐がサインをうながす。
「やっぱり、遠慮しておくわ」
ヤスミンカは浮かべて首を傾げてみせる。できるだけ愛らしくみえるように。
カミナギ大佐は目を細めた。
「なぜ」
「やはり、わたしの一存で技術は売れない」
「あなた、正気?」
「なんとでもいいなさい。わたしは、ヴェルナーとの合意なくして、わたしはロケットを造るつもりはないし、そもそも彼がいなければ造ることも叶わないわ。わたしを十全に使いたければ、彼を説得してくることね」
そして、心の中で叫ぶ。
わたしは、彼の差し出してくれた手のひらを、絶対に手放さないって決めたのよ、と。
最近になって、やっとわかったことがある。
論理的に動かない人間は、正直馬鹿だと思っていた。
けれど、論理的な思考で判断するのと同じかそれ以上に、感情で動く人間も尊いのだ。
誠意なり恩義なりは、その基準が曖昧で、自分には縁のない行為だと切り捨てていた。
けれど、その曖昧なものに、自分は助けられたのだ。
なんども。
なんども。
ヴェルナー、きっと、どんな状態になっても、手を差し出してくれるだろう。
そして既に、彼は何度もそれを実行し、自分を助けだしてくれたのだ。
あの手のひらの暖かさに、どれほど助けられたことか。
あの手のひらの頼もしさに、どれほどの対価を差し出せばよいのか。
自らの全てを差し出しても、感謝の全てを表すことはできないのだから。
故に、ヤスミンカは彼に手を差し伸べねばならないのだ。
そして、おそらくは今が、その時だった。彼が助けを欲しているのなら、必ず。
むしろ、孤独を感じ、行動しあぐねている自分が情けない限りだった。
先ほどまで、自分の周りには、凍える緊張と不安があり、疲労と恐怖があった。
けれど、いまはそんな負の感情さえも、傍らを歩く道連れだった。
目指すべき道は明らかだ。
ヴェルナーの元に続く道であり、共に夢を追いかける道だ。
たとえ、一歩先が荒野だとしても。
二人で交わした約束は、二人で見上げた夜空の星々のごとく、明瞭に輝いているのだから。
『たどる道は違えても、そう遠くない未来に、道は繋がっているんだ』
そうでしょう、ヴェルナー?
その遠くない未来は、やってくるんじゃない。
世の中は、そんなに優しい物じゃない。
自分で、掴み取らねばならない。
いま、この瞬間に!
彼の言葉を深く噛みしめながら、ヤスミンカは無理やり笑みをつくってみせた。
カミナギ大佐が妖艶に微笑む。
「どうしても?」
最後通告だった。拳銃を突きつけられているような、緊張感があった。
事実、ヤスミンカには、これから、よくないことが降りかかるであろうという、確信めいた予感があった。
けれど、屈する訳にはいかないのだ。
「どうしても、よ」
ヤスミンカは断言した。
そして、書類を手に取り、真っ二つに破り捨てた。そして、挑むように、カミナギ大佐をにらみつけた。
カミナギ大佐は、腰掛けた椅子に深くしずみこむように、深々と息を吐き出した。
ひらひらと、紙が舞う。
それが合図だった。
「あなたの勝ちよ」
「どういう意味かしら?」
大佐が両手を挙げる。
すると、からんころんと乾いた鈴の音が響き、店の扉が開いた。
ヤスミンカが息を呑んだ。口元に手を当て、あっというまに視界が曇った。
「たいしたことはない。ただ、あなたたちは、思う存分、ロケット開発に取り組む権利を勝ち取った、ということよ」
彼は何も言えないでいるヤスミンカの傍にやってくると、膝をついた。
ヤスミンカにとって、懐かしい匂いがした。彼が側にきて、優しい指づかいで、涙を拭ってくれた。
ヴェルナーも、うまくやったらしい。
自分たちをより高く買ってくれると見込んで、売り込んだのだろう。
そして、自分たちの価値は、自分たちがチームであるとかなんとか、でっち上げたにちがいない。まさに自分がした事と同じことをしようとしていたように。
「遅くなってごめんね、ヤースナ」
いつもの変わらない口調で、ヴェルナーはいう。
ヤスミンカはあきれた。
彼はまだ、己の価値を理解していないらしい。これは、わからせてやらねばならぬ。
ヤスミンカは、そう思い立つと、ヴェルナーの胸のなかに潜り込んで、そして。
大佐の姿がちらついたヤスミンカは、頬を張り倒すことにした。
「遅いっ」
杯を空ける時間だけは待ってあげる、とでもいうように。
深々と椅子に腰かけ、ふんぞり返った様は、まさに暴君だった。
「陰謀論がまことしやかに噂される理由がやっと分かったわ」
ヤスミンカはため息をつくと、カミナギ大佐をにらみつけた。
「ヴェルナーと相談しないとだめよ」
「これは、あなた自身の問題よ。あなたがひとりで考え、ひとりで判断するべきね」
突き放すような言い方だった。暗に、彼は不要だとも匂わせている。
「あれこれ考えたところで、あなたはわたしに従うしかないことを知っている。あなたの信奉する合理性は、あなたに既に結論を告げているはずよ。
あとはどうにか、あなた自身の感情を、どうなだめるかだけの話」
カミナギ大佐は、滑らかに告げた。推敲を重ねた原稿を読み上げているかのような滑らかさだった。
そしてヤスミンカも、彼女の提案がどうしようもなく魅力的なことを承知していた。
金銭的な補助は元より、軍という組織のあり方についても、ヤスミンカは一定の評価を抱いている。
大学時代に、はっきりと理解したのだ。
ほとんどの場合において軍が望むのは、学術的な真実ではなく、彼らの思考体系に沿った結論か、あるいは純粋な実行力だ。
そして、その組織的傾向は、軍が合理性という名の神を信奉している限り、どこの国に置いても同じであることは容易に予想できる。
そう、軍と仕事をすることは、ヤスミンカの成長にもつながるのだ。
軍という組織は、ヤスミンカに欠けている、理論を現実に置き換え物に落とし込む力こそを、提供してくれるだろう。その力を用いて、ロケット技術は更に飛躍できる。しかも、そのために必要な力添えは惜しまないと、技術将校が断言しているのだ。
契約書に、真っ向から向き直った。かすかに震える手を覚えながら、ペンをとる。
ヴェルナーの言葉を思い出し、自らを奮い立たせたながら、紙の上にペン先を置く。
たどる道は違えても、そう遠くない未来に、道は繋がっているんだ、と言い聞かせながら。
いまここで、あたらしいことを学ぶのだ、という思いを込めて、書類に向かい合った。
ヴェルナーと別れて。いずれ、どこかで道が繋がっていると信じて。
ここで別れて終えば、もう、一緒にロケットを組み上げることはないだろうけれど。
講義も、議論も戦わせることもないのだろうけれど。
そこでふと、気がついた。
自分の思考が、ずいぶんと短絡的であることに。
まるで、誰かの台本に乗せられて、選ばされているような違和感。それは、議論を好む自分には、似合わないはずの一本道。
誰の台本かは、疑うまでもない。目の前の大佐殿の台本だ。
問題は、なぜ自分が短絡的な思考を見抜けなかったのか。
いや、主題はそこではない。
なぜ自分が、台本の筋書きを辿るように振る舞うように仕向けられているか、である。
自慢の頭が、やっと回転を始めたことに気がついてヤスミンカは薄く笑う。
なんのことはない。
大佐は、自分が、交渉できる材料を保有していることに、気づいて欲しくなかったのだ。
「どうしたの?」
カミナギ大佐がサインをうながす。
「やっぱり、遠慮しておくわ」
ヤスミンカは浮かべて首を傾げてみせる。できるだけ愛らしくみえるように。
カミナギ大佐は目を細めた。
「なぜ」
「やはり、わたしの一存で技術は売れない」
「あなた、正気?」
「なんとでもいいなさい。わたしは、ヴェルナーとの合意なくして、わたしはロケットを造るつもりはないし、そもそも彼がいなければ造ることも叶わないわ。わたしを十全に使いたければ、彼を説得してくることね」
そして、心の中で叫ぶ。
わたしは、彼の差し出してくれた手のひらを、絶対に手放さないって決めたのよ、と。
最近になって、やっとわかったことがある。
論理的に動かない人間は、正直馬鹿だと思っていた。
けれど、論理的な思考で判断するのと同じかそれ以上に、感情で動く人間も尊いのだ。
誠意なり恩義なりは、その基準が曖昧で、自分には縁のない行為だと切り捨てていた。
けれど、その曖昧なものに、自分は助けられたのだ。
なんども。
なんども。
ヴェルナー、きっと、どんな状態になっても、手を差し出してくれるだろう。
そして既に、彼は何度もそれを実行し、自分を助けだしてくれたのだ。
あの手のひらの暖かさに、どれほど助けられたことか。
あの手のひらの頼もしさに、どれほどの対価を差し出せばよいのか。
自らの全てを差し出しても、感謝の全てを表すことはできないのだから。
故に、ヤスミンカは彼に手を差し伸べねばならないのだ。
そして、おそらくは今が、その時だった。彼が助けを欲しているのなら、必ず。
むしろ、孤独を感じ、行動しあぐねている自分が情けない限りだった。
先ほどまで、自分の周りには、凍える緊張と不安があり、疲労と恐怖があった。
けれど、いまはそんな負の感情さえも、傍らを歩く道連れだった。
目指すべき道は明らかだ。
ヴェルナーの元に続く道であり、共に夢を追いかける道だ。
たとえ、一歩先が荒野だとしても。
二人で交わした約束は、二人で見上げた夜空の星々のごとく、明瞭に輝いているのだから。
『たどる道は違えても、そう遠くない未来に、道は繋がっているんだ』
そうでしょう、ヴェルナー?
その遠くない未来は、やってくるんじゃない。
世の中は、そんなに優しい物じゃない。
自分で、掴み取らねばならない。
いま、この瞬間に!
彼の言葉を深く噛みしめながら、ヤスミンカは無理やり笑みをつくってみせた。
カミナギ大佐が妖艶に微笑む。
「どうしても?」
最後通告だった。拳銃を突きつけられているような、緊張感があった。
事実、ヤスミンカには、これから、よくないことが降りかかるであろうという、確信めいた予感があった。
けれど、屈する訳にはいかないのだ。
「どうしても、よ」
ヤスミンカは断言した。
そして、書類を手に取り、真っ二つに破り捨てた。そして、挑むように、カミナギ大佐をにらみつけた。
カミナギ大佐は、腰掛けた椅子に深くしずみこむように、深々と息を吐き出した。
ひらひらと、紙が舞う。
それが合図だった。
「あなたの勝ちよ」
「どういう意味かしら?」
大佐が両手を挙げる。
すると、からんころんと乾いた鈴の音が響き、店の扉が開いた。
ヤスミンカが息を呑んだ。口元に手を当て、あっというまに視界が曇った。
「たいしたことはない。ただ、あなたたちは、思う存分、ロケット開発に取り組む権利を勝ち取った、ということよ」
彼は何も言えないでいるヤスミンカの傍にやってくると、膝をついた。
ヤスミンカにとって、懐かしい匂いがした。彼が側にきて、優しい指づかいで、涙を拭ってくれた。
ヴェルナーも、うまくやったらしい。
自分たちをより高く買ってくれると見込んで、売り込んだのだろう。
そして、自分たちの価値は、自分たちがチームであるとかなんとか、でっち上げたにちがいない。まさに自分がした事と同じことをしようとしていたように。
「遅くなってごめんね、ヤースナ」
いつもの変わらない口調で、ヴェルナーはいう。
ヤスミンカはあきれた。
彼はまだ、己の価値を理解していないらしい。これは、わからせてやらねばならぬ。
ヤスミンカは、そう思い立つと、ヴェルナーの胸のなかに潜り込んで、そして。
大佐の姿がちらついたヤスミンカは、頬を張り倒すことにした。
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