私の愛した王子様

山美ハル

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兄と妹(3)

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試験日当日の空は綺麗な青だ

「何処だ!!」

サバランは手紙を渡してきた女を探すがどこにもいない

「くそ くそ マドレーヌ」

サバランは座り込む

妹を人質に取られ妹を返して欲しければ宮廷魔術師試験を放棄しろと命令された

この試験は何度も受けれるものではない

チャンスは一度バター家の為と自分の夢その重圧の中鍛錬を続けてきた

「どうしたサバラン?」

サバランの友達のトルテが笑いながら声をかけた

トルテは代々宮廷魔術師の家系に生まれ、サバランとは幼馴染でマドレーヌの事を可愛がってくれている

「何でもない・・・」

トルテはにやにやしながら話をふる

「やっぱサバランにとってはこの試験何て楽勝だろ?」

「そんな事ないよ」

何時もこんな笑顔だったかな?

自分の妹が人質に取られている事を知れば、助けになってくれるかもしれない、そういった希望を持っていたが

助けを求めることが出来なかった

「サバラン顔が真っ青だぞ」

「トイレに行ってくる」

もし俺が他の人間に助けを求めた場合マドレーヌがどんな危害を加えられるか分かったもんじゃない

試験の日にこのタイミングで犯行を行う奴らだ

妹を殺すぐらいためらわないだろう

「どうすれば良いんだ・・よ」

「サバラン君もうすぐ試験が始まるよ」

試験管の一人プディングが歩いているサバランに声をかけた

「あ、、プディングさん」

プディングは宮廷魔術師である

「みんな最後の仕上げと言って魔法の最終確認をしているよ」

「実は・・・」

妹の事を言った方がいいんだろうか?

プディングさんは宮廷魔術師だ悪人なんてすぐに見つけて・・

駄目だ

妹をさらった人間は複数いるはずだ

もし相談してる所を見られたら

「緊張してしまって・・」

「トイレに行ってきます」

「何か悩んでいるようだね?」

「大丈夫です」

無理して笑顔を作る

「本当かい?」

「はい」

「君は優秀な魔法使いだ皆期待しているんだよ」

「はい」

プディングがサバランの手を強く握る

「何かあれば私に相談してくれ」

プディングはサバランの目をじーと見つめる

「はい ありがとうございます」

サバランはトイレに駆け込んだ

そして誰にも顔を見られないように個室に入る

「ハァハァ」

サバランは個室で座り込んだ

「いったい誰がこんなことを・・」

サバランは額に冷たい汗を流しながら考えた

「俺に恨みがある人間か?」

「俺を狙えよ」

その答えは自分の中で否定された

自分で言うのは恥ずかしいが誰からも恨みを買う生活などしていない

父上が誰かの恨みを買ったのか?

「違う」

俺の父は貴族と言ってもそこまで格式の高い人間じゃない

男爵家と言っても宮廷内の政争に加担できる権力はもっていない

「じゃいったい誰が?」

サバランは気づいた

「今思えば最初からおかしい」

毎年朝に試験が始まるのに今年は昼からなんて・・

マドレーヌの学校はたまたま休み

休みの日はマドレーヌは裏山で魔法の修行をする

犯人はそこまで計算して?

サバランはある仮説に行きついてしまった

「もしかして・・」

サバランは唾を飲み込んだ

「宮廷内の人間が・・・」

ドンドンドン

個室に乱暴なノックがされる


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