私の愛した王子様

山美ハル

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兄と妹(4)

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空が青い このまま

目を閉じたい

裏山にある木々には傷が無数にある

「まだまだ頑張らないと」

マドレーヌは懸命に魔法の精度を上げるべく鍛錬を続けていた

「お兄様は緊張しているのでしょうか?」

地面にはマドレーヌの魔法で折れた枝が転がっている

「私もお兄様のように頑張らないと」

マドレーヌの兄サバランは幼い頃から魔法の才能に恵まれ多くの人が将来を熱望されてきた

一方マドレーヌは良くて中の下レベル

兄が魔法を使えば周りは拍手して

私が魔法を使えば周りは苦笑い

風の剣フームソード

風を纏った剣を使い目の前の巨木に切りかかる

「キャァァ」

巨木の硬さにはじかれる

地面に倒れこんでしまった

「ふー」

マドレーヌは息を吐く

幼い頃から優秀な兄がいて自分に才能がないと気づいたのは早かった

でも兄に対して劣等感を持った事は一度もない

兄の事が好きだから

私がわがままを言っても兄は優しく微笑んでくれる

両親に怒られても兄はかばってくれる

「もう一度」

魔法を使おうとした時前から黒いローブを羽織った人がこちらに向かってくる

この裏山は私の父が所有している山で誰も入ってこないのに

「誰ですか?」

黒いローブの人間は一言

「マドレーヌ様ですね?」

「そうですが何か?」

「一緒に来てもらえませんか?」

黒いローブの人は女性のようだ

「結構です私は鍛錬でお忙しいので」

きっぱりと断った

幼い子供の頃と違い怪しい人間にはついて行ったりしない

貴族の子供や商人の子供を誘拐することはよくある話だ

自分の家が貴族と言うのも誰よりもしっているマドレーヌの危機感は強い

「無理やりでも連れてこいと言われていますので」

女はローブの中から魔法杖を取り出す

「痛い目にはあいたくないでしょ?」

魔法使い!!!

マドレーヌは身構える

何で魔法使いが私の元に

「何が目的でしょうか?」

「貴方には直接要はないのですけどね」

私に用がないとなるとお父様に関係することか

お父様なら自宅に行けばすぐに会える

私を狙う目的・・・

「お兄様」

女は軽く拍手をする

「ご名答」

マドレーヌは走った

自身の実力ではあの女に勝てない

怪しい女が一人で私の元に来ると言う事は腕に自信があるはず

あいつの目的は私を使って何かするはず

「だったら逃げればいいだけ」

「あらら」

女は鼻で笑った

「家にさえつけば何とか」

マドレーヌは何も考えずに走る

「まってよー」

女の声が聞こえる

「仕方ないわね」

風よ闇を纏えダークフロー

黒い風がマドレーヌの足にくっつく

「きゃぁ」

マドレーヌは足を取られ手その場で倒れこむ

「いたた」

足から血が出てる擦りむいたようだ」

懸命にマドレーヌは起き上がろうとする

足を擦りむいたなら唾でもつけて、その場で座っておけばいいがこの状況では無理だ

「以外にしぶといはね」

先程のように魔法を使い女はマドレーヌを転ばせる

「はぁはぁ」

「あぐぐぎ」

足が痛い身体が痛い

いくら魔法が使える貴族の娘だろうが痛みは他の人間と変わりはしない

「もう終わりにしましょう」

マドレーヌの影から女が出てくる

「ひぃぃぃ」

「近寄らないで」

無意識に魔法を使う

女は吹き飛んだ

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