私の愛した王子様

山美ハル

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兄と妹(5)

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相手がいくら格下だからと言って手を抜くのはプロ失格

自分から距離を空いた場所に黒いローブを纏った女性が倒れている

「私が倒したの?」

マドレーヌは息を整える

とっさに出した魔法で怪しい女を倒すことが出来た

「やったー」

その場でガッツポーズを決める

目の前で倒れている女の正体が気になったマドレーヌは少しずつ近づく

「生きてるよね?」

学校の模擬戦で相手に魔法を使った経験があるマドレーヌだが実戦で加減をしないで本気の魔法を使った経験がないため、相手の生死が気になった

目の前にある木の枝を持ち女をつつく

「派手にやってくれたな」

マドレーヌの後ろから声がかかる

マドレーヌが後ろを振り向くと黒いローブの人が立っていた

「そんな・・」

目の前に横たわる女を慌てて確認する

先程魔法を食らわせた女は倒れている

「違う人?」

別の奴が現れたようだ

「お前良いセンスしている」

野太い声で告げた

「マドレーヌどうだ俺たちの仲間にならないか?」

何を言ってるんだこの男は

魔法使いに狙われ

挙句に仲間に介入された

「誰ですか?」

マドレーヌは身構える

魔力はほとんどないが

何もしないよりはましだ

「俺はただの魔法使いだぜ」

男はローブを身に着けたまま答えた

ローブが邪魔で顔は見えない

「魔法使いの人はこんな乱暴な事はしません」

マドレーヌは辺りにある木の枝を持った

「あははははは」

男は笑い自分の膝に手を当てる

木の枝を握りしめている少女が滑稽で笑ったのか

魔法使いが皆善人だと思っている初心さが男を笑わせたのかは分からないが

格下したと思われている事は事実だ

「さておとなしく来てくれよ女をいたぶるのは好きじゃないんだ」

「ならここから消えてください」

マドレーヌの瞳は男をとらえている

「仕方ねーな」

魔から生まれし水よ姿を見せよダーター

黒い液体が地面から湧き上がっていく

「最後の命令だおとなしくついてこい」

「いやです」

マドレーヌは木の枝を強く握りしめた

「そうか」

黒い液体がマドレーヌの身体に襲いかかる

マドレーヌは手でほどき枝で切り付けるも水は形を変えるだけだった

液体はマドレーヌの身体に吸い付き締め付ける

その様子は蛇が獲物を狩るように

「くぅぅぅ」

「痛いだろ?」

締め付けがより強くなる

「痛いよな」

「お兄様」

マドレーヌの顔に水が吸い付きまとわりつく

「ゴボゴボゴホヒオ」

息ができない・・・誰か助けて・・・

マドレーヌの意識が薄らいでいく

「大丈夫だ殺しはしないお前は兄貴を誘う餌だからな」

「ごぼ兄さゴホ」

「勘弁してくれよ」

「俺も組織に命令されただけだからよ」

男は笑いながら話した

マドレーヌは気を失った

「さて帰りますかな」

男が独り言をつぶやいた時

黒いローブの女は目を覚ます

女はふらつきながらマドレーヌに近づき

「この女殺す」

「止めておけよ」

男は女を落ち着かせる

「お前が殺されるぞ」

「ちくしょう油断したよ」

「早く準備しようぜ」

「分かったよ」

黒いローブを纏った男女はマドレーヌを連れていく

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