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兄と妹(8)
しおりを挟むもうすぐ日が落ちる
早く帰ろう
二人で
サバランは声を出し続けた
「マドレーヌーーー」
「何処にいるんだ」
裏山の頂上付近で人影を見つけたサバランは物陰にいったん隠れた
もしかしたら敵かもしれない
「あれは」
間違いなく昼前にマドレーヌが来ていた服だ
「マドレーヌそこにいたのか?」
マドレーヌはサバランを見つめほほ笑んでいる
「怪我はしていないか?」
サバランはマドレーヌまで近づく
「マドレーヌ」
「風の光よ敵を撃て」
マドレーヌが右手の掌から魔法を放つ
「なぁんだ」
サバランはとっさに身体を傾け避ける
頬に一筋の傷ができ血が流れる
「もうちょっとだったのに」
「惜しい」
木の上から声がする
「誰だ!?」
木の上には黒いローブを纏った二人がいる
「二人で楽しみなさいよ?」
「降りてこい!!」
サバランは上を向き二人に話す
「いやよ」
クレープは答える
「くそ」
「ならこちらから行くぞ」
サバランは妹に何か魔法がかかっていると思い二人を倒すことを考えた
サバランは飛んだ
「おお その若さでそこまでできるか」
男は目を見開きサバランに話す
「で・も・ね」
クレープは顔を傾ける
「「風の光よ敵を撃て」
光がサバランの背中に直撃する
「ぐはぁぁ」
宙にいたサバランは攻撃され地面にたたき落とされる
「はぁはぁふーふー」
サバランはマドレーヌの方を向く
マドレーヌは何も言わず光を放つ
「止めろマドレーヌ」
マドレーヌは何も言わない
「早く妹を倒さないとマドレーヌが危ないわよ」
クレープは森の上から声をかけた
「魔力切れを狙っているのか」
魔法や魔術を扱う者は必ず魔力を消費する
魔力が無くなると魔力の代わりに生命力が消えていく
魔力切れを起こさないように魔法使いは少しだけ魔力を残しておく
「今のマドレーヌは・・」
今のマドレーヌは行ってみれば人形だ
自分が魔力切れを起こしても気にせず魔法を使うだろう
どうすれば良いんだ
そんな風にマドレーヌを心配するサバランだが
マドレーヌは笑ったまま攻撃を続ける
「ちくしょォォォ」
どうする
考えろ
何か手はないか
マドレーヌの攻撃が来る
両手で何とかガードするが
「ぐぁぁ」
「強力な魔法だ成長したんだなマドレーヌ」
サバランは両膝をついた
「そろそろ終わりかしら?」
「まぁ上手い仕事だったね」
二人はのんきに世間話をしている
「終りにしなさいマドレーヌ」
クレープはマドレーヌに命令するが
「おにいサマ ニゲテ ニゲテ ください」
マドレーヌは魔法を使わない
マドレーヌの瞳から涙が頬に伝っていく
「マドレーヌ・・」
「マドレーヌそいつを攻撃しなさい」
クレープは大きな声を上げた
「ハヤク オネガイだから」
マドレーヌの涙が地面に落ちる
「マドレーヌ マドレーヌ」
サバランはマドレーヌの名前を呼び続けた
「ゴメンナサイ オニイサマ 」
マドレーヌの顔から笑顔が消えた
そして
マドレーヌはゆっくり目をつぶる
右手を自分の胸に近づける
「オニイサマ ゴメンナサイ・・・」
マドレーヌは笑顔を作った
「マドレーヌ止めろ」
「何をするんだ」
サバランはマドレーヌに向かい走る
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