私の愛した王子様

山美ハル

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兄と妹(9)

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夕焼けの空

二人で歩く

どこまでも

「マドレーヌー」

サバランはマドレーヌに飛びつきマドレーヌの右手を自分に向けさせた

マドレーヌの放った魔法はサバランの左肩をえぐる

二人は倒れこんだ

「大丈夫かマドレーヌ」

「オニイサマ」

「オニイサマ」

「良かった」

マドレーヌは無表情でサバランを見つける

「マドレーヌ忘れ物だよ」

サバランはポケットから黄色いリボンを取り出し

マドレーヌの髪の毛にリボンを付ける

「馬鹿な」

クレープは叫ぶ

「かっこいいね~」

男はその様子を眺めている

マドレーヌにリボンが付いた時

何かが割れる音がした

「お兄様 わたし わたし」

マドレーヌが涙があふれてきた

先程の涙とは違う

「大丈夫だよもう大丈夫」

サバランはマドレーヌを抱きしめる

「何て事を・・・お兄様を傷つけて」

「もう大丈夫だから」

サバランはマドレーヌの頭を撫でる

左肩から出血がする

大丈夫

痛みがあるが

マドレーヌが無事なら良い

「大丈夫だよマドレーヌ」

サバランは笑顔を作った

本来ならすぐに治療が必要な怪我だ

痛みは尋常じゃないだろう

いつ気を失ってもおかしくない

「お兄様」

マドレーヌはサバランの胸の中で泣きじゃくる

「お兄様 お兄様」

「もういいんだよ」

サバランはマドレーヌの背中をさする

マドレーヌは安心したのか

彼の胸の中で気を失ってしまった

すぅすぅすぅ

マドレーヌの寝息が聞こえる

頑張ったな

後は俺が何とかするからな

「どうするんだよ」

クレープは男に話しかけた

「どうするかな」

男は苦笑いを浮かべた

男の予定はずれてしまったのだ

兄妹が潰しあい

妹が兄を殺し

残った妹を消してしまえば楽な事

後は上手くごまかして報酬を貰い

組織に報告して終わり

「ここで殺そうぜ」

クレープは兄妹を指さす

「あの女は私がいたぶって殺す」

クレーブはマドレーヌを睨みつけた

クレープは闇の魔法使いとしてのプライドを持っているようだ

そんな彼女がマドレーヌのような貴族のお嬢様に油断していたとは言え

負けたとなれば彼女のプライドはずたずたに壊されてしまったのだ

そんなクレープを見て男は半分呆れている

「クレープ俺を男を殺す」

「お前は」

「私は絶対あの女」

「良し行くぞ」

男はクレープに命令した

クレープは何も言わなかった

何時も掛け声の一つ上げるクレープが反応しない

クレープは何も言わない

赤い液体は男の顔にかかる

男が横を向くとクレープの身体が立ったまま木にもたれており

首はどこにもなかった

数秒後

彼女の首だしき物が地面に落ちる音がした

男が下を見ると

サバランは男を睨んでいた




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