私の愛した王子様

山美ハル

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兄と妹(10)

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月が綺麗だ

月は答えない

ただ寝ているだけ

「クレープ・・・」

地面に転がっている石をみるように男はつぶやいた

男は木から降り

サバランは見つめる

「いきなり攻撃する事ないだろ?」

サバランは何も言わずに男を見つめるその瞳はぬれている

「決闘といくかい?」

男は余裕の表情を浮かべるが汗をかいている

「決闘?」

「これは決闘じゃない」

「お前らへの断罪だ」

サバランは言い放つ

マドレーヌを傷つけた事への怒りが言葉から伝わってくる

「魔法使い同士の戦いだ」

「勝つか負けるじゃねー」

「死ぬか生きるかだ」

男は右手をサバランに向け提唱する

魔の水よ敵を縛りとれマタープレッシャー

男の手から黒い液体がサバラン目掛けて飛んでいく

炎の壁よ我を守れフレイムシール

サバランの前に炎で出来た壁が現れる

水が蒸発する音がする

「俺は炎 お前は水どうする?」

サバランは言った

「甘いなガキ」

サバランの後ろから黒い液体が襲いかかる

サバランの身体は液体に纏わりつかれた

「正々堂々と戦うと思ってたのか?」

男は叫ぶ

「ゲスな考えだな」

「何?」

サバランに纏わりついた液体が蒸発していく

炎を衣フレイムロー

サバランの身体の周りに炎が見える

「何時の間に?」

男は焦る

「まさか最初の提唱の時に」

「そうだ 最初の提唱の際に仕込んでいた」

二重提唱クロスが使えるのか?」

二重提唱とは

一つの魔法を提唱するときに心で別の魔法の提唱を行う事を差す

二つの魔法を同時に提唱する必要があるために扱うのが難しいとされている

「お前も使えるだろう?」

サバランは問かけた

「使えるよ・・・」

こんなガキが二重提唱を使えるとはな

やはり宮廷魔術師の試験に参加するだけの力は持っている

実力は五分だが・・・

男が唯一サバランに勝てていると断言できるポイントはひとつ

それは実戦経験だ

闇の魔法使いとして数々の仕事を受け

多くの人や魔法使いを消してきた

「くらえ」

炎の槍フレイムスピアー

サバランは男に向かって炎の槍を投げた

男はそれを避ける

「ぐふぅぅああ」

男は倒れこむ

男の太ももに炎を象った短剣が突き刺さっている

男から流れていくる血が蒸発する

「やってくれたな・・」

こいつ俺と同じことを

男はよれよれと立ち上がり

「めんどくさいな本気で終わらせてやるよ」

「ありがたく思えよ・・・」

「闇の魔法使いの実力を見せてやる」

ガキ相手にこの技を使うのは始めてだぜ

出し惜しみをしてたら俺が殺される

「いくぞーー」

男は両手を重ねた瞬間

男の両手が地面に落ちた

「ぐううぐぐあああぁぁぁ」

男がその場でうずくまる

俺の両手が・・・

何だいったい

魔法か?

地面が男の血で染まっていく

何か聞いた事のない音がする

男は顔を上げる

男の目の前には大きく口を開けた魔獣がいる

「ケロロアマス・・・」

男がケロロアマスと言った魔獣は身体が赤く燃え

目は真っ黒な黒色をしていた

「本物だなお前」

サバランはまっすぐ男を見つめている

男は生まれてすぐに闇の魔法使いになるために育てられた

魔法を使って色々したな

人を何人殺したかな?

クレープまた二人で仕事しようや

男は目を閉じた
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