私の愛した王子様

山美ハル

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兄と妹(11)

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夕日が沈む

夜が来る

それでもよかった

「こんな状況をマドレーヌに見せれないな」

サバランはつぶやいた

怪しい魔法使いの男は魔獣ケロロアマスに食われ灰になった

「良かった」

回復魔法の心得があるサバランはマドレーヌの傷を癒していく

「これで良し」

マドレーヌの傷は見かけよりはまし

サバランは自身の怪我を治療を始める

「さてと」

サバランは自身の怪我の治療を行いながらマドレーヌを起こす

「マドレーヌ起きてくれ」

「起きろ」

「う~んもう少し」

マドレーヌの寝言を聞き安堵した

「この状況だったら大丈夫だな」

「マドレーヌ起きろってば」

「はい?」

マドレーヌが目を覚ます

「お兄様私・・・」

マドレーヌが泣きそうになる

「もう終わったんだよマドレーヌ」

マドレーヌはサバランに抱き着く

「でも試験が試験が」

「私が説明しに行きます」

マドレーヌは立ち上がり山を下りようと走る

サバランはその場に立ったままだ

「あれお兄様早くいきましょう?」

「俺はいけない・・」

このことが知れたらどうなるか

父や母、妹が危険な目に合うかもしれない

「マドレーヌだけ帰るんだ」

「どうしてみんな分かってくれます」

マドレーヌは必死にサバランを説得する

「お前の為なんだ」

「ですが・・・」

優しい性格のお兄様は

私たちが危険な目に合わないように考えてるんだろうけど

私は嫌だ!!!

「なら私もお兄様と出ていきます」

マドレーヌはサバランに近づこうとする

サバランは真剣な顔で

「それは駄目だ」

強い口調でマドレーヌを抑制する

マドレーヌはその場で足を止めた

「お兄様」

「ひどい・・・」

優しい兄に初めて強い口調で叱られたマドレーヌは泣いてしまう

私が泣けばもしかしたら

兄は残ってくれるかも

マドレーヌは期待した

「マドレーヌ」

「はい」

サバランはマドレーヌに向かって歩く

「やっぱり残ってくれるんですねお兄様」

サバランは深呼吸を一回すると

マドレーヌに言葉を発する

その顔は泣いていた

記憶一部操作メモリーズワン

「ええお兄様」

「何で?」

マドレーヌはそこで棒立ちになる

ごめんなマドレーヌ

お前を危険な目に合わせたくない

この魔法は魔術が上達したら勝手に解けるからな

俺がいなくなってからも魔法の修行をしっかりとしろよ

サバランはマドレーヌのリボンを取った

サバランは涙を拭き

笑顔で告げた・・・

「本当に愛してるよマドレーヌ」

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