私の愛した王子様

山美ハル

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兄と妹(13)

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暗い空

もうすぐ

日が昇る

「やぁぁぁ」

マドレーヌは何時ものように魔法の鍛錬を続ける

何年も続けるとはっきりと魔術の精度が上がっていくことに気付ける

「はぁはぁはぁ」

いったん休憩しよう

マドレーヌは地面に横たわる

もうすぐ私も宮廷魔術師試験を受ける事の出来る年だ

私は絶対合格する

マドレーヌは手をぎゅっと握る

「絶対お父様の期待に答えなきゃ」

私の兄は才能はあったが根性がなかったのだ

天才と呼ばれた時期もあったのに逃げた

その所為で私は逃げた兄の妹と呼ばれた

今は笑い話に出来るけど

当時はつらかった

なぜ

逃げた兄の代わりに私がこんな目に合わなくちゃいけないのか

理不尽だ

そえをバネに努力を続けてきたのだ

今では私を馬鹿にする人間はいない

「私は兄とは違う」

「私は逃げない」

「絶対に」

「マドレーヌここにいたのか」

ブレッツエルが声をかける

「お父様」

マドレーヌは起き上がる

「無理はするなよ」

「大丈夫です」

「もうすぐ試験がありますので休んでる暇などありません」

「そうか・・」

娘のマドレーヌに魔法の才能があるなんて思わなかった

最初は兄の真似事をはじめ

その兄がいなくなってからは

人が変わったように修行に励み

今では試験を受けるレベルになるなんて・・・

「お前は兄とは違うんだよ」

長い間息子のサバランは家に帰ってこない

どこにいるかも分からない

「あんな卑怯者とは違います」

マドレーヌは怒りを見せた

自分の家に泥を塗り

あげくに逃げ出した兄

比べられたくない

「魔法の調子はどうだい?」

「もうすぐ何か掴めそうなんです」

「頑張れよマドレーヌ」

何が足りないんだろうか

気持ち

優しさ

誠意

どの言葉を使っても言い表せない

「お父様はどうしましたの?」

ブレッツエルはあまり裏山のような場所には寄り付かない

理由は服が汚れるから

「そうそう」

ブレッツエルは小さな箱をマドレーヌに差し出した

「これは?」

「町で売ってたのを見かけたんだよ」

マドレーヌは箱を開ける

「リボン?」

黄色いリボンが入れられていた

「昔はよく髪に着けていたじゃないか」

確かに昔はリボンが好きでよくつけていた

兄に誕生日の日にプレゼントしてもらった

黄色いリボン

確か前のは無くしてしまったような

リボンをつける

普段は修行や役に立たない

そんな理由でつけていなかったが

なんかつけたくなった

「どうですか?」

マドレーヌはリボンをつけブレッツエルに見せる

「とっても似合っているよ」

「母さんの若い時にそっくりだ」

お母さまと兄と三人で遊んだ記憶を思い出す

お兄様は何してるのでしょうか

昔はよく遊んだのに

「お兄様」

何かを感じる

お兄様の事を思うと力がわく

兄の事を気にかけ時

マドレーヌの中の力が目覚める


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