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しばらく眠っていたのだろうか。起きたら、見覚えのない場所にいた。
「ここは?」
「目覚めました?ヴィクターさん。」
「レオン?ここ、どこなんだ?」
「さあ、わかりません。私もさっき起きたばかりなので。」
「そうか。」
「「………」」
少し沈黙が流れる。ちょい気まずい。というか、心なしかレオンの体調が悪そうな気がする。大丈夫だろうか。
「ああ、私のパーティーについてまだ話してませんでしたね。」
「お、おう。」
俺は微妙な反応しかできなかった。
「おや?聞きたくないんですか?」
「や、そうじゃないけど……その、いいのか?お前は話したくない、だろ?」
ゆっくりと慎重に言葉を選ぶ。
「いやいや、『話すこと』は『離すこと』と同じだと聞いたので。過去との決別って感じです。まあ、聞いてくださいよ。
時の旅人っていうパーティーだったんですが……ま、正体がばれてしまってですねー。」
「正体?」
「ま、それはさすがに秘密です。」
レオンの赤い双眸が微かに輝いた気がする。
「ま、そういうわけで。あぁあと、結成当日の夜、あなたの部屋に訪ねてきた酔っぱらいも同じパーティーでした。」
「ん……」
そばで寝ていたフィオナが起きた。てか、こんな近くにいたのか。気付かなかった。
「じゃ、話はここまでで。いいたいことがあったらまた言いますね。」
「うん。ありがとな。」
少しレオンと仲良くなれたかな……。
「っ危ない!」
フィオナの後ろから魔物が襲いかかってきた。
バチッ!!
弾けるような音がなり、フィオナの後ろの魔物が倒れた。
「ん?なんだこれ。」
「これのお陰。バリアよ。」
そういって、ペンダントを見せてくる。金色の縁に白く輝く大きい宝石、そのまわりに色とりどりの小さな宝石がちりばめられている。
「綺麗だな。」
「ありがとう。こうして、寝込みを襲われるとまずいから、くつろいでいるときはいつでも使えるようにしてるの。ま、これはどちらかと言うと浄化の魔術だけどね。」
「なるほど。そうですか。あとそれ、しまっていただいても?」
「いいけど、どうして?」
「えーっと、宝石にトラウマがありまして。」
「ああ、確かに宝石系の魔物もいるわね。ごめん。しまうわ。」
「ありがとうございます……。」
おれは、ふとエマのことを思い出した。あいつは無事だろうか。
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