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序章

裏切り。(レティシア目線)

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ふう、つかれた。自分の部屋には行った瞬間、ため息が出た。でも、疲れるのは仕方がない。だって、異例の事態が2回も続くんだもん。紅茶を飲んで、少し休憩してから、仕事を始めた。少したつと、扉を叩く音が聞こえた。
「失礼します。ルーナです。」
最近メイドとして雇ったルーナだ。
「どうしたんです?何かありましたか?」
今は仕事モードなので、敬語で話す。何があったのだろうか。入ってきたルーナは、険しい顔つきだった。どうやら緊急事態のようだ。
「実は私、スパイなんです。レティシア様を、殺すために来ました。だから…おとなしく死んでください。」
言い終わる前にルーナは動いた。が、レティシアはルーナがスパイだったことにとっくに気付いていた。ルーナの方から無数の蝶が飛び出す。これは、魔法じゃなくて魔術だ。しかし、そんなもので倒される私ではない。時を止めて動く。ルーナの後ろに行ったところでまた時間が動き出す。
「背後、とりました。残念だったわね。」
得意な水魔法でルーナの足元を凍らせる。
「なんで…」
「私を敵に回したことが、間違いだったんじゃないかなぁ。」
氷の音を聞き付けたレイが、やってきた。
「大丈夫ですかレティシア様。」
「聞くまでもないでしょう?」
「そうですか、それでは失礼します。」
私のやりたいことを察して、レイは出ていった。
「もう、クビにしますよね…。」
「いや、君にその気があるならやめないでほしいのですが。」
「なんでですか…。」
「…、泣いてます。私を殺したくないことはわかりますよ。あとついでに、あなたがいないと仕事がヤバイのです。」
私はこれでも冥界の神様。人の本心を見破ることぐらい、今までの経験のおかげて余裕だ。
「それでは、まだここで働かせてください…!」
「もちコース。大丈夫よん。」
「ありがとうございます。失礼しま…」
時を止めて一瞬で、ルーナの前に行った。そして、優しく涙を拭いた。もとの位置に戻ってから、時を動かした。
「…す。」
ルーナは最後の一文字を言い終わると、部屋から出ていった。私も仕事に戻る。なんか朝から疲れちゃったなー。時を止めて休憩しよう。これならサボってもばれないや。たった一人を除いて…。
「レティシア様?ちゃんとやってますか?」
レイが来たレイは時を止めるより速く動けるので、サボってもばれる。
「サ、サボッテナイヨー」
そうごまかしながら、今日も仕事をこなすのだった。



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