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第3章

海の娘

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しばらくまっていると、すごい勢いで水しぶきが上がった。海水から目を守るべく、手で覆った。終わったかと思って、恐る恐る手をどかすと、そこには……
美しい青髪の美女がいた。でも、目はオッドアイではなく、金色一色だ。美しさはレティシアほどではないけど。この子が、あのさっきの人魚の子供だろうか。しかし、歳は変わらないように見える。
「こんにちは、皆さん。」
美しい声で微笑みながら挨拶をする。
「海の賢者の娘のベルです。どうぞよろしく。」
今、聞き捨てならない言葉が聞こえた気がする。 
「賢者だと!?」
「え、ええ。そうですが……。」
「実はかくかくしかじかで……」
レイが事情を話し始める。
「なるほどなるほど。今の賢者は父なので、もう一回つれてきましょう。」
「ありがとう。」
運が良いことに、今回は楽に切り抜けられそうだ。
「フォッフォッフォ。呼んだか?」
ベルが呼びに行こうとした瞬間、海の賢者が現れた。
「賢者を求めるとは、何かあったのじゃな。察するに、あの本を爆発させたのじゃろう。」
「そ、その通りなんだ!呪いを解除したくて!」
「フォッフォッフォ。そう急くでない。手順というものがあるからのう。」
「なにをすれば良いの?」
「わしの許可を得れば良いのじゃ。つまり、バトルじゃ。そこの娘、やるか?」
「え、わ、私?う、受けてたつわ!」
とはいえ、相手は鮫に乗ってる。1対2は卑怯ではないだろうか。
「わしは鮫に乗る。おぬしも、従者と共に戦うが良い。」
「レイ!」
「はい、お供いたします、レティシア様。」
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