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61:黒い○○!
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翌日の早朝準備を済ませたソラ達は、早速ダンジョン2階層にやって来た。
転移した部屋から程なく、1階層と違ってダンジョンの壁に不思議な模様を見付けた。
始めに気付いたのはソラだ、其処は各々別の部屋の入り口になっていて、隣接しているのに部屋の大きさが干渉していないようなつくりで、物理法則とか度外視した空間の様だ。
おそらくだが、ダンジョン自体が女神様の異空間の中か何かなのだろうとソラは予想しているが…
それと言うのも、一階の時点で、かなりの広さがあり坂や段差、部屋の大きさがマップには、平坦に表示されていて壊れたか?と、思うほどおかしな迷路だったからだ。
昨日は、出来るだけ慎重に進んでいたが、考えても分からないし、あの女神様が関わっているのだから、其ほど危険なものでは無いだろうと、今は考えるのを辞めた。
そして、ソラ達の目の前には其々の入り口には、日本語のひらがなで、つよい、よわい、とペンキの様な物で書かれている扉が現れた。
「一階層にはこんな文字書かれていなかったよな?」
「ん?コレの事か?」
「そうね…確かにこんな模様昨日は見なかったわ!」
「やっぱりな~
コレが、ギルドで言っていた謎の文字って訳か?」
「コレが、文字なのか?」
「あぁ」
(どうしよう…普通に読めるんだが…
そうだ!)
「俺は、スキルに翻訳機能が有るから読めるぞ?」
「そうだっのかソラ?
で、何て書いてあるんだ?」
「強弱が書いてあるみたいだが…
何の強さか分からないな…
多分…中の魔物の強さだと思うけど…
どっちに進む?」
「そうね…
カレンはどっちがいいと思う?」
「そうだな~私は、強いのと戦いたいな!」
「エルトナもカレンと同じでいいか?」
「えぇ構わないわ!」
「じゃあ此方の扉だな!
まぁ2階層ならたいして変わらないだろうし…
そうだッ!
ちょっと待ってて!」
(しかし、何故日本語なんだろう…?
まぁいいや!取り合えず確認しとこッ!)
ソラは、そう言って"よわい"の方を少し開いて中を覗き込んだ、其処には、ゴブリンが数体、部屋の隅っこに立っていた、確認を終えたソラは、改めてもう片方の"つよい"と、書かれた扉を開けて室内へと進んだ。
其処には、ホブ・ゴブリンと呼ばれる体の少し大きなゴブリンが此方を見ながら立っていた。
「やっぱりか!」
「どうしたんだソラ?」
「ん?あっちの扉には、普通のゴブリンがいたんだ」
「じゃあ扉の文字は魔物の強さって事でいいみたいだな!」
「あぁ、そうみたいだな!」
「それはそうと、順番は昨日の続きでいいの?」
「いいんじゃないか?」
「そうだなッ!
じゃあ俺からな!」
そう言ってソラは、ホブゴブと戦闘を始めた。
難なく退治して、次の集団はカレンが、その次はエルトナと、順番に討伐して部屋を後にした。
部屋を出てしばらく同じ事を繰り返し、ギルドカードを見ると時刻はお昼時となっていた。
ソラ達は、通路に簡単なイスとテーブルを置いてお弁当を取り出した!
「今日のオカズは何かな~」
「ふふっ今日は極楽鳥の唐揚げと、その玉子焼きに、其れからオニギリにしてみたよ!」
「おぉ~流石カレン!
ん?この真っ黒いのは何?」
ソラのお弁当の中央に、何やら真っ黒いゴツゴツした塊が、鎮座していた。
「確か~ソラの分には、ユキが作った何かが入ってるぞ!」
「焦げてるじゃない?
ソラ!私が貰おうか?」
エルトナがそう言って、手に持ったホークをその黒い物体に突き刺すと、自分の口に入れようとした!
「あっ!」
と、声を上げてソラは、エルトナを涙ぐんだ瞳で見つめ今にも泣きそうな声で、
「お…俺の…」
と、呟いた。
「冗談よ、冗談!全くソラは…大袈裟ね…
はい、あーん」
エルトナはそう言ってホークをソラの口に向けて動かした。
「あーん!」
ソラは、満面の笑みで口を大きく開けて、ソレを頬張った、ソレ、は完全に丸焦げで苦味と涙の味で結局何かは、分からなかったが、ソラは美味しそうに完食している。
そんな、やり取りをしつつ和やかな食事を取りながら、妻達は笑いながら仲好く自分の弁当を食べて、午後からの攻略の話をしている。
食事を済ませた一行は、二時間ほどかけて次の階層にやって来た。
今日は朝からマップを使いサクサク進んでいるので攻略は順調だ。
マップで他のパーティを避けながら進んでいると、残念ながら、分岐点の扉の中には、両方に他のパーティが居るのがわかり、仕方無いので"つよい"と書かれた方に進むことにした。
扉を開けて中に入ると、男性四人組のパーティーがホブゴブリンとオークの混成と戦っていた!
彼方もつい先程戦闘を始めた様だが、四人は上手く連携して戦っており、かなりのチームワークであっという間に、1つの魔物の集団を討伐してしまった。
ソラ達も負けじと、少し演技をしながらだが、其れなりの連携で別の集団とバトルを始めた。
広間の魔物を一掃した後、冒険者達は、此方を見て何やら話をしているようだ。
ソラは、嫌な予感がしたので、無視して進もうとしたところ、冒険者の一人が声を掛けてきた。
「どうも~其処の君達~ちょっといいかい?」
声を掛けてきたのは、金髪ロン毛の若い男性で、戦士系の格好をしている。
ソラ達は、そのまま進もうとしたが、今度は強い口調で別の男が歩み寄り声を上げた!
「無視してんじゃねぇよ!
待てよお前らッ!」
仕方なく足を止めたソラは、冒険者達に向かって返答した。
「何ですか?俺達に何か用ですか?」
「用か?じゃねぇよ!
俺達の獲物を横取りしといて其れは無いだろ?」
「はぁ…成る程…そうですか、其れでどうしろと?」
(あぁ…めんどくさッ!)
「コイツふざけてんのか?」
「まぁまぁ、ライナさん、そんな言い方では、後ろの女性達が怯えてしまいますよ?」
「ちっ!」
そう言って、始めに声を掛けてきた男が二人の間に割って入った、後の二人は後ろでニヤニヤしながら静観している。
「僕らはユグレシアから来た冒険者でして、ランクはBです!
僕の名はクリフと言います。
宜しくお願いします!」
「俺達は、ランクCだ!
横取りしたと言ったな、ならコレで勘弁してくれ」
ソラは、BOXから国宝級の大剣を取り出し、(さっき大声を上げたのが大剣を持っていたので、)其れを、地面に突き刺した。
其れを見てライナと呼ばれた男が目の色を変えてその大剣を掴もうと近寄ってきた。
しかし、クリフがライナを押し止め話をしすすめた。
「まぁまぁ、ライナさん気持ちは分かりますが待ってください!
本題がまだです!」
「本題?」
(さっき俺がE だと言った時、一瞬奴の表情が変わったからな…
まぁ、大体想像は付くがな…)
「えぇ~本題です!
其処の、麗しい女性の方々?
どうでしょう、我々と一緒に来ませんか?」
「「断る!」」
二人は、即答したが…
「ッ!何故です?
此方には、回復役やレンジャーも居ますから、安全な探索が可能ですよ?
其れに、このクリフさんはもう少しでAランクですから、貴女方ならばハーレムに加えてもいいと言っていますよ?」
エルトナが、興味無さそうに手をプラプラさせながら溜め息混じりに答えた。
「はぁ…残念ながら私達は、何があっても彼と別れる気は無いのよ!
御免なさいね?お兄さん達。」
「アハハ…
ば、バカなことを、そんなちんけなCランクの男と一緒に居ても、直ぐに傷付いて死んでしまうぞ?
そんな奴より、僕達と楽しく探索しようよ~」
後ろの方からは、
「いいからさっさと連れて来いクリフ!
何なら、その男を俺が片付けてヤるぞ?」
「そうだぜ?
思い知らしてやれライナさん!」
「ハハハッ!
女なんて、力ずくで奪っちまえば良いんだよ!」
と、軽口を叩いている。
しかし、その瞬間場の雰囲気が一瞬にして変わり。
その言葉に、カレンがカチンと来たらしく!
カレンは少し歩み出てクリフの胸ぐらを掴み上げて言い放った。
「貴様、よく見ろ?
私達が傷を負っているように見えるか?
あぁ?」
エルトナは、軽口を叩いた後ろの冒険者に、顔は笑顔だが、物凄い殺気を放っている。
(何時もの妻達じゃないよ~!
えぇ…こんなに恐い二人は見た事無いよ?
あれれ~俺の出る巻く無い?
こんな姿は、ユキには見せられないな!)
ソラは、呑気にそんなことを考えていた。
二人から放たれた殺気に、訳が分からない冒険者達は、しばらく言葉を発する事もできず固まったまま、膠着状態が続いたあと。
ようやくソラが冒険者たちに助け船を出して、声を掛けた。
「このまま争ってもいいが…
結果は言わなくても分かるな?」
彼等は、無言のまま勢いよく縦に首を振って答えた。
「なら、この話は、終わりだ!
この剣は、お前達にやるよ…
あぁ、そうだッ!」
そう言って大剣の柄に手を当てながらソラは、続けた、冒険者達は、固唾を飲んで話を聞き逃さんとしている。
「但し、"引き抜けたら" だがな?
腕力さえ有れば抜けるから心配するな!
じゃあなッ!
行くぞ?二人とも!」
そう言ってソラは、出口に向かって歩き出した。
冒険者達は、なんだそんなことかと、胸を撫で下ろす心境だったが、殺気は未だ晴れておらず、微動だにしていない!
カレン達も、ソラがいいと言ったので許すことにしたのか、ソラに駆け寄ると冒険者達を殺気等から解放して、ソラと合流した。
そして、ソラ達が部屋から出ていくと皆、崩れるように地面に座り込み安堵した。
一人を除いて…
クリフは、しばらくして仲間たちを近くに招き寄せ、とある伝言を皆に伝えた。
「おい、いいから聞け、あの女が最後にこう言っていた!」
「何だよ」
「勿体ぶるな早くしろ」
「あぁ…分かった!
いいか?こう言ったんだ!」
「いいから早く話せ!」
「"黒猫メイドに気を付けろ"って言っていた!」
「おいお前!」
「クルツ、其れってまさかッ!」
「分からん!偶然かも知れないし…
そうで無いかも知れない…」
「あれだよな…
お前の兄貴が戦争で襲われたって言う獣人のメイド!」
「あぁ…兄貴は、未だにあの時の戦いがトラウマで、家に引き込もったままだ…
でも確かに"黒猫メイド"に襲われたって言ってたから…」
と、ローブを纏った男が言った。
「万が一、そのメイドとさっきの奴等に何か繋がりでもあったら凄いことだぞ!
直ぐに、国に帰るか?お手柄だぞ!」
「バカ野郎!
俺達は、ソイツに目を付けられたんだぞ?
もし、俺達がこのまま国に帰れば、ソイツも付いてくる可能性があるだろうが!
国の家族まで危険にさらすつもりか?」
「考えすぎだろ~
未だって誰も此処には居ないんだ!
大丈夫さ…」
何気無く当たりを見渡すと、何も居なかった筈の部屋の出入り口に、黒いウルフが此方をじっと見ている。
「おい!あんなのさっきまで居たか?」
「いいや、俺は見てないぞ?」
「俺もだ!」
「でも、あれはウルフだよな…
あの女が言ってたのは猫だもんな…ハハハ
脅かすなよ~」
顔を見合わせて、言い合っていたその時、
「僕は見逃してあげるから、君達は国に帰っても大人しく、今日の出来事は黙っておく事をお勧めするな~
メイド長は容赦ないからさ…クスクス」
唐突にそう告げたウルフは、部屋から立ち去っていった…
「おい、喋ったぞ…」
「たしか、昔話で兄貴が言ってた…
喋る魔獣は相等な高位の存在だと…
聞いたことがある!
これマジでヤバイぞ!」
「いいな、今日の事は死んでも誰にも言うな?
お前が良くても、俺は死にたくない!」
「当たり前だッ!
俺も死んでも言わない!」
しばらく彼等は力なくその場に座り込んで居たが。
クリフが立ち上がり、ライナに話し掛けた。
「所で、この剣どうする?」
レンジャーの男が引き抜こうとしたが、びくともせず。
「抜けないぞ?あの野郎嘘つきやがったな?」
ライナーが替わっても同じで。
「クソッ!俺でも抜けない…
…仕方ない!
置いていくぞ!」
「クソッ!勿体無いな…
良いカモだと思ったのによ~」
「愚痴るな…早く行くぞ!」
「何処へだ?」
「帰るんだよ!
また、あの3人と出会いたいのか?」
「ねーよッ!そんなのッ!」
「待ってくれ、俺を置いてくなって!」
その後、この大剣は、新たな謎として冒険者たちの注目を集めた。
たったの3階層に、国宝級のお宝がこれ見よがしにと地面に刺さっているのだ!
欲しくない訳がない…
後に、多くの力自慢の冒険者達が、このお宝を引き抜こうとダンジョンに詰め掛ける事となる。
最後まで読んで下さりありがとうございます。
次回も是非、暇潰ししたいってください。
宜しくお願いします。
転移した部屋から程なく、1階層と違ってダンジョンの壁に不思議な模様を見付けた。
始めに気付いたのはソラだ、其処は各々別の部屋の入り口になっていて、隣接しているのに部屋の大きさが干渉していないようなつくりで、物理法則とか度外視した空間の様だ。
おそらくだが、ダンジョン自体が女神様の異空間の中か何かなのだろうとソラは予想しているが…
それと言うのも、一階の時点で、かなりの広さがあり坂や段差、部屋の大きさがマップには、平坦に表示されていて壊れたか?と、思うほどおかしな迷路だったからだ。
昨日は、出来るだけ慎重に進んでいたが、考えても分からないし、あの女神様が関わっているのだから、其ほど危険なものでは無いだろうと、今は考えるのを辞めた。
そして、ソラ達の目の前には其々の入り口には、日本語のひらがなで、つよい、よわい、とペンキの様な物で書かれている扉が現れた。
「一階層にはこんな文字書かれていなかったよな?」
「ん?コレの事か?」
「そうね…確かにこんな模様昨日は見なかったわ!」
「やっぱりな~
コレが、ギルドで言っていた謎の文字って訳か?」
「コレが、文字なのか?」
「あぁ」
(どうしよう…普通に読めるんだが…
そうだ!)
「俺は、スキルに翻訳機能が有るから読めるぞ?」
「そうだっのかソラ?
で、何て書いてあるんだ?」
「強弱が書いてあるみたいだが…
何の強さか分からないな…
多分…中の魔物の強さだと思うけど…
どっちに進む?」
「そうね…
カレンはどっちがいいと思う?」
「そうだな~私は、強いのと戦いたいな!」
「エルトナもカレンと同じでいいか?」
「えぇ構わないわ!」
「じゃあ此方の扉だな!
まぁ2階層ならたいして変わらないだろうし…
そうだッ!
ちょっと待ってて!」
(しかし、何故日本語なんだろう…?
まぁいいや!取り合えず確認しとこッ!)
ソラは、そう言って"よわい"の方を少し開いて中を覗き込んだ、其処には、ゴブリンが数体、部屋の隅っこに立っていた、確認を終えたソラは、改めてもう片方の"つよい"と、書かれた扉を開けて室内へと進んだ。
其処には、ホブ・ゴブリンと呼ばれる体の少し大きなゴブリンが此方を見ながら立っていた。
「やっぱりか!」
「どうしたんだソラ?」
「ん?あっちの扉には、普通のゴブリンがいたんだ」
「じゃあ扉の文字は魔物の強さって事でいいみたいだな!」
「あぁ、そうみたいだな!」
「それはそうと、順番は昨日の続きでいいの?」
「いいんじゃないか?」
「そうだなッ!
じゃあ俺からな!」
そう言ってソラは、ホブゴブと戦闘を始めた。
難なく退治して、次の集団はカレンが、その次はエルトナと、順番に討伐して部屋を後にした。
部屋を出てしばらく同じ事を繰り返し、ギルドカードを見ると時刻はお昼時となっていた。
ソラ達は、通路に簡単なイスとテーブルを置いてお弁当を取り出した!
「今日のオカズは何かな~」
「ふふっ今日は極楽鳥の唐揚げと、その玉子焼きに、其れからオニギリにしてみたよ!」
「おぉ~流石カレン!
ん?この真っ黒いのは何?」
ソラのお弁当の中央に、何やら真っ黒いゴツゴツした塊が、鎮座していた。
「確か~ソラの分には、ユキが作った何かが入ってるぞ!」
「焦げてるじゃない?
ソラ!私が貰おうか?」
エルトナがそう言って、手に持ったホークをその黒い物体に突き刺すと、自分の口に入れようとした!
「あっ!」
と、声を上げてソラは、エルトナを涙ぐんだ瞳で見つめ今にも泣きそうな声で、
「お…俺の…」
と、呟いた。
「冗談よ、冗談!全くソラは…大袈裟ね…
はい、あーん」
エルトナはそう言ってホークをソラの口に向けて動かした。
「あーん!」
ソラは、満面の笑みで口を大きく開けて、ソレを頬張った、ソレ、は完全に丸焦げで苦味と涙の味で結局何かは、分からなかったが、ソラは美味しそうに完食している。
そんな、やり取りをしつつ和やかな食事を取りながら、妻達は笑いながら仲好く自分の弁当を食べて、午後からの攻略の話をしている。
食事を済ませた一行は、二時間ほどかけて次の階層にやって来た。
今日は朝からマップを使いサクサク進んでいるので攻略は順調だ。
マップで他のパーティを避けながら進んでいると、残念ながら、分岐点の扉の中には、両方に他のパーティが居るのがわかり、仕方無いので"つよい"と書かれた方に進むことにした。
扉を開けて中に入ると、男性四人組のパーティーがホブゴブリンとオークの混成と戦っていた!
彼方もつい先程戦闘を始めた様だが、四人は上手く連携して戦っており、かなりのチームワークであっという間に、1つの魔物の集団を討伐してしまった。
ソラ達も負けじと、少し演技をしながらだが、其れなりの連携で別の集団とバトルを始めた。
広間の魔物を一掃した後、冒険者達は、此方を見て何やら話をしているようだ。
ソラは、嫌な予感がしたので、無視して進もうとしたところ、冒険者の一人が声を掛けてきた。
「どうも~其処の君達~ちょっといいかい?」
声を掛けてきたのは、金髪ロン毛の若い男性で、戦士系の格好をしている。
ソラ達は、そのまま進もうとしたが、今度は強い口調で別の男が歩み寄り声を上げた!
「無視してんじゃねぇよ!
待てよお前らッ!」
仕方なく足を止めたソラは、冒険者達に向かって返答した。
「何ですか?俺達に何か用ですか?」
「用か?じゃねぇよ!
俺達の獲物を横取りしといて其れは無いだろ?」
「はぁ…成る程…そうですか、其れでどうしろと?」
(あぁ…めんどくさッ!)
「コイツふざけてんのか?」
「まぁまぁ、ライナさん、そんな言い方では、後ろの女性達が怯えてしまいますよ?」
「ちっ!」
そう言って、始めに声を掛けてきた男が二人の間に割って入った、後の二人は後ろでニヤニヤしながら静観している。
「僕らはユグレシアから来た冒険者でして、ランクはBです!
僕の名はクリフと言います。
宜しくお願いします!」
「俺達は、ランクCだ!
横取りしたと言ったな、ならコレで勘弁してくれ」
ソラは、BOXから国宝級の大剣を取り出し、(さっき大声を上げたのが大剣を持っていたので、)其れを、地面に突き刺した。
其れを見てライナと呼ばれた男が目の色を変えてその大剣を掴もうと近寄ってきた。
しかし、クリフがライナを押し止め話をしすすめた。
「まぁまぁ、ライナさん気持ちは分かりますが待ってください!
本題がまだです!」
「本題?」
(さっき俺がE だと言った時、一瞬奴の表情が変わったからな…
まぁ、大体想像は付くがな…)
「えぇ~本題です!
其処の、麗しい女性の方々?
どうでしょう、我々と一緒に来ませんか?」
「「断る!」」
二人は、即答したが…
「ッ!何故です?
此方には、回復役やレンジャーも居ますから、安全な探索が可能ですよ?
其れに、このクリフさんはもう少しでAランクですから、貴女方ならばハーレムに加えてもいいと言っていますよ?」
エルトナが、興味無さそうに手をプラプラさせながら溜め息混じりに答えた。
「はぁ…残念ながら私達は、何があっても彼と別れる気は無いのよ!
御免なさいね?お兄さん達。」
「アハハ…
ば、バカなことを、そんなちんけなCランクの男と一緒に居ても、直ぐに傷付いて死んでしまうぞ?
そんな奴より、僕達と楽しく探索しようよ~」
後ろの方からは、
「いいからさっさと連れて来いクリフ!
何なら、その男を俺が片付けてヤるぞ?」
「そうだぜ?
思い知らしてやれライナさん!」
「ハハハッ!
女なんて、力ずくで奪っちまえば良いんだよ!」
と、軽口を叩いている。
しかし、その瞬間場の雰囲気が一瞬にして変わり。
その言葉に、カレンがカチンと来たらしく!
カレンは少し歩み出てクリフの胸ぐらを掴み上げて言い放った。
「貴様、よく見ろ?
私達が傷を負っているように見えるか?
あぁ?」
エルトナは、軽口を叩いた後ろの冒険者に、顔は笑顔だが、物凄い殺気を放っている。
(何時もの妻達じゃないよ~!
えぇ…こんなに恐い二人は見た事無いよ?
あれれ~俺の出る巻く無い?
こんな姿は、ユキには見せられないな!)
ソラは、呑気にそんなことを考えていた。
二人から放たれた殺気に、訳が分からない冒険者達は、しばらく言葉を発する事もできず固まったまま、膠着状態が続いたあと。
ようやくソラが冒険者たちに助け船を出して、声を掛けた。
「このまま争ってもいいが…
結果は言わなくても分かるな?」
彼等は、無言のまま勢いよく縦に首を振って答えた。
「なら、この話は、終わりだ!
この剣は、お前達にやるよ…
あぁ、そうだッ!」
そう言って大剣の柄に手を当てながらソラは、続けた、冒険者達は、固唾を飲んで話を聞き逃さんとしている。
「但し、"引き抜けたら" だがな?
腕力さえ有れば抜けるから心配するな!
じゃあなッ!
行くぞ?二人とも!」
そう言ってソラは、出口に向かって歩き出した。
冒険者達は、なんだそんなことかと、胸を撫で下ろす心境だったが、殺気は未だ晴れておらず、微動だにしていない!
カレン達も、ソラがいいと言ったので許すことにしたのか、ソラに駆け寄ると冒険者達を殺気等から解放して、ソラと合流した。
そして、ソラ達が部屋から出ていくと皆、崩れるように地面に座り込み安堵した。
一人を除いて…
クリフは、しばらくして仲間たちを近くに招き寄せ、とある伝言を皆に伝えた。
「おい、いいから聞け、あの女が最後にこう言っていた!」
「何だよ」
「勿体ぶるな早くしろ」
「あぁ…分かった!
いいか?こう言ったんだ!」
「いいから早く話せ!」
「"黒猫メイドに気を付けろ"って言っていた!」
「おいお前!」
「クルツ、其れってまさかッ!」
「分からん!偶然かも知れないし…
そうで無いかも知れない…」
「あれだよな…
お前の兄貴が戦争で襲われたって言う獣人のメイド!」
「あぁ…兄貴は、未だにあの時の戦いがトラウマで、家に引き込もったままだ…
でも確かに"黒猫メイド"に襲われたって言ってたから…」
と、ローブを纏った男が言った。
「万が一、そのメイドとさっきの奴等に何か繋がりでもあったら凄いことだぞ!
直ぐに、国に帰るか?お手柄だぞ!」
「バカ野郎!
俺達は、ソイツに目を付けられたんだぞ?
もし、俺達がこのまま国に帰れば、ソイツも付いてくる可能性があるだろうが!
国の家族まで危険にさらすつもりか?」
「考えすぎだろ~
未だって誰も此処には居ないんだ!
大丈夫さ…」
何気無く当たりを見渡すと、何も居なかった筈の部屋の出入り口に、黒いウルフが此方をじっと見ている。
「おい!あんなのさっきまで居たか?」
「いいや、俺は見てないぞ?」
「俺もだ!」
「でも、あれはウルフだよな…
あの女が言ってたのは猫だもんな…ハハハ
脅かすなよ~」
顔を見合わせて、言い合っていたその時、
「僕は見逃してあげるから、君達は国に帰っても大人しく、今日の出来事は黙っておく事をお勧めするな~
メイド長は容赦ないからさ…クスクス」
唐突にそう告げたウルフは、部屋から立ち去っていった…
「おい、喋ったぞ…」
「たしか、昔話で兄貴が言ってた…
喋る魔獣は相等な高位の存在だと…
聞いたことがある!
これマジでヤバイぞ!」
「いいな、今日の事は死んでも誰にも言うな?
お前が良くても、俺は死にたくない!」
「当たり前だッ!
俺も死んでも言わない!」
しばらく彼等は力なくその場に座り込んで居たが。
クリフが立ち上がり、ライナに話し掛けた。
「所で、この剣どうする?」
レンジャーの男が引き抜こうとしたが、びくともせず。
「抜けないぞ?あの野郎嘘つきやがったな?」
ライナーが替わっても同じで。
「クソッ!俺でも抜けない…
…仕方ない!
置いていくぞ!」
「クソッ!勿体無いな…
良いカモだと思ったのによ~」
「愚痴るな…早く行くぞ!」
「何処へだ?」
「帰るんだよ!
また、あの3人と出会いたいのか?」
「ねーよッ!そんなのッ!」
「待ってくれ、俺を置いてくなって!」
その後、この大剣は、新たな謎として冒険者たちの注目を集めた。
たったの3階層に、国宝級のお宝がこれ見よがしにと地面に刺さっているのだ!
欲しくない訳がない…
後に、多くの力自慢の冒険者達が、このお宝を引き抜こうとダンジョンに詰め掛ける事となる。
最後まで読んで下さりありがとうございます。
次回も是非、暇潰ししたいってください。
宜しくお願いします。
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気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
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[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
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この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
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