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6話
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しおりを挟む「そう言えば、ルージュはいつまでここにいるんだ?」
「いずれはソレイユ王国に行こうとは思うのだけれど、今はここにいるつもりよ。食料がなくなれば購入しないといけないから、そのときにソレイユ王国に行くつもり」
「ディオース王国のほうが近いのに、そっちにはいかないのか?」
「追放されたのに堂々と戻れるわけないでしょう?」
たとえ追放されたルージュが食料購入のためにディオース王国に戻ったとしても、誰も文句を言う人はいないだろう。言うとすればニールとリラくらいだ。
ルージュの姿を見かけたと誰かが報告をしたとしても、他の人たちは黙っているだろう。国民に慕われていたルージュを追放した人に真実を話そうとする人はいない。
その言葉に納得したのか、ノワールは小さく頷いた。普通なら戻れないと理解したのだろう。それ以上は何も言わなかった。
「汗かいたし、シャワー浴びさせてもらう」
「ちょっと待って」
テーブルとイスを作って汗をかいたのだろう。水を三杯も飲んでいたことから、陽の当たる場所にいたのかもしれない。右手で自分を扇ぎながらお風呂場へ向かおうとするノワールを引き留めて、ルージュは自分のカバンの底から宝石箱を出すと中から二つの魔法石を取り出した。
お風呂場の魔法石は昨日洗濯をしたあとに外してしまっていたため、今行ってもシャワーを浴びることは不可能だ。
水と火の魔法石を渡すと、受け取ったノワールはしばらく不思議そうにルージュを見つめていた。どうして見つめてくるのか分からなかったルージュは、僅かに首を傾げた。
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