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7話

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 別の可能性があるとすれば、朝食べた果物だろう。どれもこの世界では見慣れた果物だった。味におかしなところもなく、食べ慣れたものだった。そのことから、変身できるようになった原因は果物ではないと思う。
 もしも果物が原因だったとしたら、ノワールも変身していないとおかしい。
 他に原因はないかと考えても他に思い至るものはない。
 もしかするとこのままでうさぎの姿で一生を過ごさなくてはいけないのかもしれない。転生してからも人間として生きてきたルージュにとっては、うさぎのままの生活は大変だろう。
 草食獣であるうさぎには、人間以上に敵が多い。何が危険かもよく分からないままでいれば、すぐに死んでしまうことは間違いない。最初に転生したのが人間ではなく、うさぎだったら何とかなっていたかもしれない。

(そろそろ、いい加減放してほしい)

 撫で続けられることが嫌になって手から逃げるように動くと、ノワールはルージュがつぶれない力加減で逃げられないように抱きしめた。僅かな隙間を見つけて、尚も逃げようとするが力を緩めずに言う。

「この森には、うさぎの天敵となるオオカミや猛禽類が住んでいるんだ。ここに来たときは出会わなかったかもしれないが、危険なんだぞ」

 オオカミや猛禽類に出会ってしまったら逃げ切ることができないだろう。人間であっても、オオカミに狙われたら逃げ切ることが難しい。
 もしもうさぎの姿で出会ってしまったら一口で食べられるかもしれない。食べられる姿を想像したのか、ルージュの体が震えだした。今の姿では助けを求めても、誰も助けてはくれない。声が届かないのだから。
 震えはノワールにも分かるほどだった。震え続けるルージュに気がついたノワールは、優しく撫でて声をかけた。
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