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11話

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 衝撃だった。リラの本当の目的は国の乗っ取りだったのだ。これでは、たしかにルージュが知ってしまえば邪魔するのも当然だろう。国が乗っ取られてしまえば、国民がどうなるか分からない。
 ニールを殺しても、国王がいる。きっと男性たちを使って国王も殺害して、国を乗っ取るつもりなのだろう。そうなってしまえば、あのリラのことだから逆らう人は処刑してしまうかもしれない。

(それだけは、どうにかして阻止しなくては)

 そう思ったとき、突然すぐ隣でがさっと音がした。もう少し何か情報を聞けないかと両耳を向けてしまっていたため、ここまで近づかれていたことに気がつかなかったようだ。
 聞こえてしまうのではないかと思うほど動悸が激しくなる。できるだけ小さくなり姿を隠す。今から走って逃げも捕まってしまう。それなら、見つからないように祈るしかなかった。
 足音と茂みをかき分ける音が近くから聞こえてくる。それ以外にルージュに聞こえる音は心臓の音だけ。他には何も聞こえない。
 ただただ見つからないようにと願うだけだった。

「見つけた」

 嬉しそうな声だった。恐る恐る声が聞こえたほうへ顔を向けると、笑みを浮かべた男性がルージュを見ていた。
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