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14話
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しおりを挟む「戻れたわね」
ベッドから下りて立ち上がり、着ているドレスを整える。てっきりすぐ部屋を出るものだと思っていたが、ノワールがベッドから立ち上がる様子はない。
まだ行かないのかと様子を伺っていると、何かを考えている様子だったノワールがようやく口を開いた。
「さっき『ニールは』って言っていたが、どういうことだ?」
「あとで分かるわ」
先ほど広間でニールに対して文句を言っていた人たちの言葉を聞いて、言った言葉に返したときにルージュは『ニールは』と言った。
そう言った理由をここで話すことはできたのだが、話さなくてもすぐに知ることができると思い答えなかったのだ。ルージュの言葉を聞いて分かるなら直接聞かなくてもいいと思ったのか、ノワールはベッドからゆっくりと立ち上がった。
そのまま扉へ向かうのかと思ったら、一度ルージュの前で立ち止まり振り返った。何かあったのかと見ていると、胸ポケットからヘアピンを取り出した。
差し出されたへピンを受け取ると、ノワールは何も言わなかったが一度付けたときと同じようにして付ける。もう魔法石には効果はないのだが、ルージュはヘアピンを付けるだけで安心することができた。
ヘアピンを付けたことに満足したのか、ノワールは笑みを浮かべて扉へと向かうと静かに開いた。
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