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16話
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しおりを挟む(でも、本当に戻ることができるの?)
ニールの前まで行くと、目線を合わせることはできないがニールは片膝をついてルージュを見つめた。何も言わずに黙っている。本当にルージュなのかを確認しているのかもしれない。うさぎになった瞬間を見られているのだから、理解するまでに時間がかかっているのだろう。
呪いが禁術になってから使える人はいない。最後に呪いを使っていたのは、本に記載されていた五百年ほど前の人だ。それだけの間、この国の人間で呪いをかけた人もかけられた人も見ることだってなかった。
もしかすると、本当に呪いをかけられていたことに驚いているのかもしれない。誰も禁術を使えるとは思っていなかっただろう。本性を現したリラを見ても、呪いは嘘だと思っていたに違いない。
『ニール、呪いを解くためには貴方の協力が必要なの』
その言葉に返答はない。理解をするために黙っているのかと思っていたが、違ったようだ。
「本当にルージュなのか?」
てっきり協力という言葉について聞かれるかと思っていたが、目の前のうさぎが本当にルージュなのかを確認してきた。見ていたはずなのにどうしてそんなことを尋ねるのか、彼女には分からなかった。
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