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5.不二君の隠れスキル発動
しおりを挟むち、違う・・・。不二君はお呼びでない・・・。
不二君もなんとも言えない顔をして立ちすくんでいる。そりゃそうなのよ。脇役のピンチを救うようなキャラではないよね。はよ、美人教師ぃ・・・。しかし、美人教師が来る気配はない。
と、ここで私はある恐ろしい可能性に気づいてしまった。待て待て待て。
まさか、今度はヤンキー攻め×無口謎系男子受けのNTRが始まってしまう・・・?!
不二君にそんなシリアス展開は不要なの!!すでに切ない恋をしてきたのだから!
努めて、できるだけ落ち着いた声を出して不二君にこう伝えた。
「あーー、不二君。その辺に美人教師の泉先生いるはずだから、呼んできてくれない?」
ヤンキー先輩の腕の隙間から、にへっと笑って見せた。しかし、不二君は微動だにしない。不二君っ!!怖いのわかるけど!固まっている場合ではないのっ!言っとくけど、不二君も危ないんだからねっ?!
ほら、早く先生を呼びに行って!!と思っていいると、ヤンキー先輩が私の胸部に手を伸ばす。
ひいいいいいいいぃぃぃ。需要の無いエロほど怖いものは無いよォ。
私が動けずに固まっていると、不二君が静かに動いた。こっちに歩いて来た。まさか私を助けに?!そんな男気のある人だったの?!不二君??!ごめんだけど、勝てないでしょ、ヤンキー先輩には!だから、不二君は、先生を呼びに行ってくれればいいのよ。不二君を危険にさらしたら、私が広瀬君に怒られちゃうでしょ~~!!
焦りが止まらない。
が、次の瞬間、ヤンキー先輩がほとんどを占めていた視界が突然明るくなり、不二君が拳を上げて立ってた。
「へ?」
視線を横に向けると、ヤンキー先輩が教室の隅まで吹っ飛び、うずくまっていた。えええええ???!
「大丈夫?影山さん」
「あ、はい・・・」
あっさりと終焉を迎えた私のピンチに、拍子抜けしつつ、不二君の隠された能力に驚きを隠せない。
私は脳内でさらに不二君のプロフィールに”スキル:隠れ最強怪力男子”と追加した。そうなると、今後のストーリーはまた変わってくるはずだ。
っていうかヤンキー先輩弱っ。もしかして、不二君は攻め??最強無気力系男子×弱めヤンキー?のBLですか??!
あれあれ、でも不二君には広瀬君というとても有力なパートナー候補がいるはず
「不二君、今日は広瀬君は?」
と、聞いてみた。不二君は目を少し見開いて、なぜかいつもより長い沈黙の後に
「・・・・・・影山さんって」
不二君から質問した広瀬君の話題ではなくて私の名前が出たことに若干戸惑いつつ、続きの言葉を待つ。
「一歩引いたところで生きてるよね」
「えっ」
その言葉は、否定できないもので。
「多分、もっと自分、大切にした方がいいよ」
そう言って、不二君は教室を出ていった。
私は何も言えなかった。
大切にって?!え、まさか、私、遊んでいると思われた??私、別に体を売りにしているようなことないからね???!
・・・・いや、多分、そういうことじゃない。
不二君にそんな風に私の生き方を見られていたなんて思いもしなかったし、そして、心当たりがある部分も、それが自己防衛から来るもので、小心者な自分を見透かされていたことを恥ずかしく感じる部分も――否定できなかった。
でもね、不二君。
私は、もう。
無駄な期待とかしたくないんだよ。
気づけば、ヤンキー先輩はどこかへ行っていた。ふと、ヤンキー先輩のけがは大丈夫だろうかと思う。
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