48 / 150
第48話 弱さを許さない
しおりを挟む
木から木へ、木から木へと男子たちを追走する。
「おまえら、慎重にな、ゆっくり進め」
と、東園寺が言ってくれていたので、彼らを追うのにはそんなに苦労しなかった。
やがて、前方にうっすらとした柔らかな光が見えてくる。
星光だ。
ラグナロク広場が見えてきた。
私は男子たちに見つからないように、遠回りに広場を目指して駆け出す。
そして、大きくジャンプして柔らかな光に飛び込む。
草原に着地!
「どの辺だ?」
と、私は広場を見渡す。
「男子たちが来たよ!」
「やっぱりこっちから来た!」
「唯、防衛陣、絞って、こっちよ!」
「わかったわ、雫!」
と、私が位置を確認する前に女子たちの声が聞こえてくる。
女子たちが開けた草原の真ん中に陣取り、魔法の防衛陣を敷いていた。
ここは、ヒンデンブルク広場に向かう道のすぐ横、道を並走する感じで森の中を抜けてきたのか……。
「みんなぁ!」
と、私はすぐに状況確認をして、女子のみんなのところに走っていく。
「ナビーが来たよ!」
「防衛陣開けて!」
「追い風弱めて!」
私は弱めてくれた防衛陣をくぐってみんなのところに行く。
「みんなぁ、えっとね!」
人見が味方になってくれた事を伝えようとするけど、
「追い風強めて、唯もう一発!」
「うん、行くね! シロス、権力によらず、暴力によらず、その身を押せ、追い風!」
「媒体照射足りてる!? 光輝の流星陣の張り具合は!?」
と、みんな大忙し……。
「ほう、女子チーム、かなり本格的じゃねぇか……」
そうこうするうちに、東園寺を先頭とした男子チームが、追い風による強風の中、平然とこちらに歩いてくるのが見えた。
「だ、大丈夫、この防衛陣はそう簡単には破れないから」
「そ、そうよ、私たちが苦心して築いた防衛陣なんだから!」
と、女子のみんなが後退りながらも健気に言う。
「佐野、やれ」
「うい」
東園寺の言葉に佐野が一歩前に踏み出し、
「うおおおおおお!!」
と、雄叫びを上げながら猛烈な勢いでこっちに走ってきた。
「き、来た!」
「だ、大丈夫だって!」
「追い風もう一発打つね!」
女子たちが身構える。
「うおおおおおお!!」
佐野が二メートル近い巨体を揺らしながら突進してくる。
「ぐおおおおおお!!」
そして、光輝の流星陣の壁に両腕を突っ込む。
「がああああああ!!」
バリバリと放電し、周囲に火花を散らす。
「うがおおおおお!!」
やがて、パリンッ、という音を立てて光輝の流星陣は砕け散る。
そして、追い風までもが逆流し、強い風が私たちに吹き付ける。
「くっ……」
と、私は両腕でクロスするように、強風から顔を守る。
「プシュー、プシュー、ぐふふ、きかないっすわぁ、そんな小細工……」
佐野の両方の口の端から白い煙が出ている……。
背中や肩からも煙が上がっている……。
しかも、化け物みたいな顔で笑ってやがる……。
「きゃ、きゃああああ!?」
「たた、た、退散!!」
「に、逃げて、みんな、逃げてぇ!!」
と、女子のみんなが恐慌状態になり蜘蛛の子を散らすように逃げていく。
「な、ナビー、退避よ!!」
「待って、雫」
一言かけてから逃げようとする綾原の手を掴む。
「な、ナビー!?」
「聞いて、雫、私が合図したら彰吾に全力で媒体照射して、力が尽きるまで何発でも、それを唯にも伝えておいて」
「人見に? 彼は運営側よ?」
「大丈夫、話はつけておいたから、彼は私たちの味方よ」
「な、なら、今やりましょう、今こそ彼の力が必要な時よ」
と、綾原は言うけど、私は首を左右に振る。
「今はまだ早い、今、彰吾の魔法を使っても同じよ、あいつがいる限り……」
私は佐野に向き直る。
まだ口とか背中から白い煙を出してやがる……。
「佐野は私がやるから、彰吾の力を借りるのはそのあとよ……」
そして、一歩、やつに向かって足を踏み出す。
あいつ、前にも、露天風呂攻防戦の時にも人見の魔法をぶち破っているからね。
「わ、わかったわ、唯にも伝えておく、無理しないで、危なくなったらすぐに逃げるのよ」
「うん、大丈夫、無理はしないから」
少し笑顔をつくり、そして、
「佐野ぉおおおお!!」
と、やつに向かって猛ダッシュする。
もう、こうなったら、ルール無視でぶちのめして気絶させてやる!
「アポトレス、水晶の波紋、火晶の砂紋、風を纏え、静寂の風盾」
魔法を一発入れてさらに加速!
うーん! えい!
と、さらに、魔力拳、ゴッドハンド!
これが私の全力だぁ、佐野ぉおおお!!
「ナビー? なに?」
やつが私に気付く、でも、もう遅い!
両肩をわずかに弾ませ、足首の力で身体全体を浮かせる。
すると、佐野は上を向く、その瞬間にやつの懐に潜り込む。
このタイミング!
眠れ、佐野ぉおおお!!
渾身の力でやつの脇腹にゴッドハンドを叩き込む!
ガギンッ!
と、変な音がした……。
い、いたい……。
「なに? ナビー、なんかした?」
佐野に二の腕を掴まれた……。
うそでしょ、こいつ……、魔法で補強した手首がじんじん痛いんだけど……。
「佐野、連れて行け」
「うい」
と、東園寺が言うと、佐野は私の身体を持ち上げ肩に担ぐ。
「くっ、はなせぇ!」
私は足をじたばたさせ、佐野の背中をグーでポカポカ叩く。
「大人しくしてよ、ナビー」
と、言いながらやつはどこかへと歩きだす。
「ど、どこに連れて行く気よ!?」
私はじたばたと暴れる。
「そうだなぁ、もう教えてもいいかなぁ……、えーっとねぇ……、割と普通なナビーフィユリナ記念タワーだよ、そこのてっぺん、そこがね、指定場所、東園寺さんのね……」
なっ!?
と、じたばた暴れるのを止めて顔を上げる。
すると、佐野のすぐうしろを歩く東園寺の姿が目に入る。
赤い髪を逆立たせた精悍な顔立ちの屈強な男、東園寺公彦……、その彼が私と目が合うと、かすかに口の端を上げて笑う。
こ、こいつら!?
私はなんとか、佐野から逃れようと抗うけど、やつはびくりともしない、とにかく、私の腰にまかれた腕がガッチリと固定されていて動かない。
すり抜けようにも、もう片方の手で肩を捕まれているのでどうしようもない。
「くっ……」
ゆっくりと、佐野は割りと普通なナビーフィユリナ記念タワーに向かって歩いていく。
しばらく、逃げ出そうと暴れるけど、体力の消耗が著しい……。
がっくり……。
「疲れたのかい、ナビー?」
私はなんて無力なんだろう……。
「な、ナビーをどこに連れて行く気よ!」
「ナビーを返せ!」
「佐野ぉ、ナビーを放せ!」
その時、女子のみんなが駆けつけてくれる。
「みんなぁ……」
と、私は力なく、顔を上げる。
「よし! やるよ、みんな! シロス、権力によらず、暴力によらず、その身を押せ、追い風!」
「ハノーバ、冷たき地に身を休め、魔法障壁!」
「アスシオン、煌く光、花より美しく、風を纏え、希釈の風剣!」
と、女子のみんなが呪文を唱える。
「おい、おい、佐野と公彦さんだけじゃないぜ」
「こっちもいるぜ……」
「最終決戦らしくなってきたじゃねぇか」
と、男子たちも東園寺を中心に集まってくる。
「こっちもいくぜ! ベルベストーム、風説、邪説の最終速度、断ち斬れ、風爪!」
「アポトレス、水晶の波紋、火晶の砂紋、風を纏え、静寂の風盾!」
男子たちも次々と呪文を唱える。
「佐野、先に行け、俺はあいつらを始末してから行く」
「うい」
と、佐野は東園寺の指示でまた割りと普通なナビーフィユリナ記念タワーに向かって歩きだす。
「シフトしっかり! 唯を中心に防衛陣を敷いて!」
「サイドは私がやる!」
「和泉がいねぇ! ファイブエイスは誰がやる!?」
「秋葉は!? って、あいつもいねぇ!!」
「いい、俺がやる、媒体照射よこせ!!」
男女入り混じりの大声が広場中に響き渡る。
みんなが私のために戦ってくれている……。
「ナビー、暴れないでくれよ、落ちたら大変だからさ……」
やがて、私たちはタワーに到着し階段を登り始める。
一段、一段、階段を登っていく……。
みんなが戦っているのに、私は……。
「この野郎、佐野ぉおお!!」
と、最後の力を振り絞る。
親指を人差し指と中指で握る、二本拳!
それを佐野のこめかみに突き刺す!
「うげぇ!?」
と、佐野が悲鳴を上げると、私の身体を掴む力が僅かに緩まる。
それを見計らって、佐野の腕をすり抜け、やつの肩を足場にして飛ぶ。
「ナビー!?」
佐野が振り返り、空中の私を両手で掴もうとする……。
でもね……。
「ポストストール機動クルビット」
蝶のように、木の葉のようにひらりと佐野の腕をすり抜ける。
「このぉ!!」
そして、そのまま身体を反転させて、佐野の頭に回し蹴り!
「ぐぉお!?」
さらに、タワーの外壁を蹴り、大きく飛び上がり、反対側の手すりの上に両腕を広げて、スタッと舞い降りる。
ふふっ……。
長い金髪が風に舞う……。
「決着をつけようか、なぁ、獏人ぉ……?」
目を細めてやつを見やる。
「プシュー、プシュー、ナビー……、プシュー、プシュー……」
佐野は口から煙を噴きながら、こめかみを手で押さえながら私の顔を睨みつける。
「おまえら、慎重にな、ゆっくり進め」
と、東園寺が言ってくれていたので、彼らを追うのにはそんなに苦労しなかった。
やがて、前方にうっすらとした柔らかな光が見えてくる。
星光だ。
ラグナロク広場が見えてきた。
私は男子たちに見つからないように、遠回りに広場を目指して駆け出す。
そして、大きくジャンプして柔らかな光に飛び込む。
草原に着地!
「どの辺だ?」
と、私は広場を見渡す。
「男子たちが来たよ!」
「やっぱりこっちから来た!」
「唯、防衛陣、絞って、こっちよ!」
「わかったわ、雫!」
と、私が位置を確認する前に女子たちの声が聞こえてくる。
女子たちが開けた草原の真ん中に陣取り、魔法の防衛陣を敷いていた。
ここは、ヒンデンブルク広場に向かう道のすぐ横、道を並走する感じで森の中を抜けてきたのか……。
「みんなぁ!」
と、私はすぐに状況確認をして、女子のみんなのところに走っていく。
「ナビーが来たよ!」
「防衛陣開けて!」
「追い風弱めて!」
私は弱めてくれた防衛陣をくぐってみんなのところに行く。
「みんなぁ、えっとね!」
人見が味方になってくれた事を伝えようとするけど、
「追い風強めて、唯もう一発!」
「うん、行くね! シロス、権力によらず、暴力によらず、その身を押せ、追い風!」
「媒体照射足りてる!? 光輝の流星陣の張り具合は!?」
と、みんな大忙し……。
「ほう、女子チーム、かなり本格的じゃねぇか……」
そうこうするうちに、東園寺を先頭とした男子チームが、追い風による強風の中、平然とこちらに歩いてくるのが見えた。
「だ、大丈夫、この防衛陣はそう簡単には破れないから」
「そ、そうよ、私たちが苦心して築いた防衛陣なんだから!」
と、女子のみんなが後退りながらも健気に言う。
「佐野、やれ」
「うい」
東園寺の言葉に佐野が一歩前に踏み出し、
「うおおおおおお!!」
と、雄叫びを上げながら猛烈な勢いでこっちに走ってきた。
「き、来た!」
「だ、大丈夫だって!」
「追い風もう一発打つね!」
女子たちが身構える。
「うおおおおおお!!」
佐野が二メートル近い巨体を揺らしながら突進してくる。
「ぐおおおおおお!!」
そして、光輝の流星陣の壁に両腕を突っ込む。
「がああああああ!!」
バリバリと放電し、周囲に火花を散らす。
「うがおおおおお!!」
やがて、パリンッ、という音を立てて光輝の流星陣は砕け散る。
そして、追い風までもが逆流し、強い風が私たちに吹き付ける。
「くっ……」
と、私は両腕でクロスするように、強風から顔を守る。
「プシュー、プシュー、ぐふふ、きかないっすわぁ、そんな小細工……」
佐野の両方の口の端から白い煙が出ている……。
背中や肩からも煙が上がっている……。
しかも、化け物みたいな顔で笑ってやがる……。
「きゃ、きゃああああ!?」
「たた、た、退散!!」
「に、逃げて、みんな、逃げてぇ!!」
と、女子のみんなが恐慌状態になり蜘蛛の子を散らすように逃げていく。
「な、ナビー、退避よ!!」
「待って、雫」
一言かけてから逃げようとする綾原の手を掴む。
「な、ナビー!?」
「聞いて、雫、私が合図したら彰吾に全力で媒体照射して、力が尽きるまで何発でも、それを唯にも伝えておいて」
「人見に? 彼は運営側よ?」
「大丈夫、話はつけておいたから、彼は私たちの味方よ」
「な、なら、今やりましょう、今こそ彼の力が必要な時よ」
と、綾原は言うけど、私は首を左右に振る。
「今はまだ早い、今、彰吾の魔法を使っても同じよ、あいつがいる限り……」
私は佐野に向き直る。
まだ口とか背中から白い煙を出してやがる……。
「佐野は私がやるから、彰吾の力を借りるのはそのあとよ……」
そして、一歩、やつに向かって足を踏み出す。
あいつ、前にも、露天風呂攻防戦の時にも人見の魔法をぶち破っているからね。
「わ、わかったわ、唯にも伝えておく、無理しないで、危なくなったらすぐに逃げるのよ」
「うん、大丈夫、無理はしないから」
少し笑顔をつくり、そして、
「佐野ぉおおおお!!」
と、やつに向かって猛ダッシュする。
もう、こうなったら、ルール無視でぶちのめして気絶させてやる!
「アポトレス、水晶の波紋、火晶の砂紋、風を纏え、静寂の風盾」
魔法を一発入れてさらに加速!
うーん! えい!
と、さらに、魔力拳、ゴッドハンド!
これが私の全力だぁ、佐野ぉおおお!!
「ナビー? なに?」
やつが私に気付く、でも、もう遅い!
両肩をわずかに弾ませ、足首の力で身体全体を浮かせる。
すると、佐野は上を向く、その瞬間にやつの懐に潜り込む。
このタイミング!
眠れ、佐野ぉおおお!!
渾身の力でやつの脇腹にゴッドハンドを叩き込む!
ガギンッ!
と、変な音がした……。
い、いたい……。
「なに? ナビー、なんかした?」
佐野に二の腕を掴まれた……。
うそでしょ、こいつ……、魔法で補強した手首がじんじん痛いんだけど……。
「佐野、連れて行け」
「うい」
と、東園寺が言うと、佐野は私の身体を持ち上げ肩に担ぐ。
「くっ、はなせぇ!」
私は足をじたばたさせ、佐野の背中をグーでポカポカ叩く。
「大人しくしてよ、ナビー」
と、言いながらやつはどこかへと歩きだす。
「ど、どこに連れて行く気よ!?」
私はじたばたと暴れる。
「そうだなぁ、もう教えてもいいかなぁ……、えーっとねぇ……、割と普通なナビーフィユリナ記念タワーだよ、そこのてっぺん、そこがね、指定場所、東園寺さんのね……」
なっ!?
と、じたばた暴れるのを止めて顔を上げる。
すると、佐野のすぐうしろを歩く東園寺の姿が目に入る。
赤い髪を逆立たせた精悍な顔立ちの屈強な男、東園寺公彦……、その彼が私と目が合うと、かすかに口の端を上げて笑う。
こ、こいつら!?
私はなんとか、佐野から逃れようと抗うけど、やつはびくりともしない、とにかく、私の腰にまかれた腕がガッチリと固定されていて動かない。
すり抜けようにも、もう片方の手で肩を捕まれているのでどうしようもない。
「くっ……」
ゆっくりと、佐野は割りと普通なナビーフィユリナ記念タワーに向かって歩いていく。
しばらく、逃げ出そうと暴れるけど、体力の消耗が著しい……。
がっくり……。
「疲れたのかい、ナビー?」
私はなんて無力なんだろう……。
「な、ナビーをどこに連れて行く気よ!」
「ナビーを返せ!」
「佐野ぉ、ナビーを放せ!」
その時、女子のみんなが駆けつけてくれる。
「みんなぁ……」
と、私は力なく、顔を上げる。
「よし! やるよ、みんな! シロス、権力によらず、暴力によらず、その身を押せ、追い風!」
「ハノーバ、冷たき地に身を休め、魔法障壁!」
「アスシオン、煌く光、花より美しく、風を纏え、希釈の風剣!」
と、女子のみんなが呪文を唱える。
「おい、おい、佐野と公彦さんだけじゃないぜ」
「こっちもいるぜ……」
「最終決戦らしくなってきたじゃねぇか」
と、男子たちも東園寺を中心に集まってくる。
「こっちもいくぜ! ベルベストーム、風説、邪説の最終速度、断ち斬れ、風爪!」
「アポトレス、水晶の波紋、火晶の砂紋、風を纏え、静寂の風盾!」
男子たちも次々と呪文を唱える。
「佐野、先に行け、俺はあいつらを始末してから行く」
「うい」
と、佐野は東園寺の指示でまた割りと普通なナビーフィユリナ記念タワーに向かって歩きだす。
「シフトしっかり! 唯を中心に防衛陣を敷いて!」
「サイドは私がやる!」
「和泉がいねぇ! ファイブエイスは誰がやる!?」
「秋葉は!? って、あいつもいねぇ!!」
「いい、俺がやる、媒体照射よこせ!!」
男女入り混じりの大声が広場中に響き渡る。
みんなが私のために戦ってくれている……。
「ナビー、暴れないでくれよ、落ちたら大変だからさ……」
やがて、私たちはタワーに到着し階段を登り始める。
一段、一段、階段を登っていく……。
みんなが戦っているのに、私は……。
「この野郎、佐野ぉおお!!」
と、最後の力を振り絞る。
親指を人差し指と中指で握る、二本拳!
それを佐野のこめかみに突き刺す!
「うげぇ!?」
と、佐野が悲鳴を上げると、私の身体を掴む力が僅かに緩まる。
それを見計らって、佐野の腕をすり抜け、やつの肩を足場にして飛ぶ。
「ナビー!?」
佐野が振り返り、空中の私を両手で掴もうとする……。
でもね……。
「ポストストール機動クルビット」
蝶のように、木の葉のようにひらりと佐野の腕をすり抜ける。
「このぉ!!」
そして、そのまま身体を反転させて、佐野の頭に回し蹴り!
「ぐぉお!?」
さらに、タワーの外壁を蹴り、大きく飛び上がり、反対側の手すりの上に両腕を広げて、スタッと舞い降りる。
ふふっ……。
長い金髪が風に舞う……。
「決着をつけようか、なぁ、獏人ぉ……?」
目を細めてやつを見やる。
「プシュー、プシュー、ナビー……、プシュー、プシュー……」
佐野は口から煙を噴きながら、こめかみを手で押さえながら私の顔を睨みつける。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界ラグナロク 〜妹を探したいだけの神災級の俺、上位スキル使用禁止でも気づいたら世界を蹂躙してたっぽい〜
Tri-TON
ファンタジー
核戦争で死んだ俺は、神災級と呼ばれるチートな力を持ったまま異世界へ転生した。
目的はひとつ――行方不明になった“妹”を探すことだ。
だがそこは、大量の転生者が前世の知識と魔素を融合させた“魔素学”によって、
神・魔物・人間の均衡が崩れた危うい世界だった。
そんな中で、魔王と女神が勝手に俺の精神世界で居候し、
挙句の果てに俺は魔物たちに崇拝されるという意味不明な状況に巻き込まれていく。
そして、謎の魔獣の襲来、七つの大罪を名乗る異世界人勇者たちとの因縁、
さらには俺の前世すら巻き込む神々の陰謀まで飛び出して――。
妹を探すだけのはずが、どうやら“世界の命運”まで背負わされるらしい。
笑い、シリアス、涙、そして家族愛。
騒がしくも温かい仲間たちと紡ぐ新たな伝説が、今始まる――。
※小説家になろう様でも掲載しております。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~
専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。
ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!
菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは
「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。
同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと
アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう
最初の武器は木の棒!?
そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。
何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら
困難に立ち向かっていく。
チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!
異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。
話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい!
****** 完結まで必ず続けます *****
****** 毎日更新もします *****
他サイトへ重複投稿しています!
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。
無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。
やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる