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君とチェーン店で待ち合わせを
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「いらっしゃいませ」
入店してきたお客様に来店の感謝を示す。目の前の男女二人組はメニュー表を眺める。
街中を歩いている男女のペアがみんなカップルだとは限らない。けれど目の前の二人は…。
カップルでしょ。
三か月前、初めてカップルらしいストーリーを上げたことがありそうな二人。
夜。二人の影が街灯によって映し出され、右下の方に「1 year anniversary」なんて書いてそう。
「すみません。注文いいですか?」
「はい!お伺いいたします」
偏見の妄想に浸っているうちに頼みたいものが決まったみたいだ。
「チョコスムージーと抹茶フラッペ一つずつください」
「かしこまりました。お会計はご一緒でよろしいでしょうか」
「はい。大丈夫です」
男性の方がさっとお会計を済ませ、二人は席に着く。
注文されたドリンクを作る。その二つをトレーに載せ、さっきの二人組のもとへ運ぶ。
「お待たせいたしました」
二人だけの世界にお邪魔する。不純物の私は足早に退散して。
二人を見て思う。いいな、私も好きな人とチェーン店行きたい。
「ゆいちゃん久しぶり!長旅お疲れ様」
しょう君が空の玄関で出迎えてくれた。飛行機で約一時間半。気軽に行ける距離ではないので観光も兼ねて会いに行く。
「とりあえず荷物置きにいこっか」
ここからまた電車で一時間弱。心地の良い揺れに乗って、彼の家に行く。
「お邪魔します」
一歩踏み入れるだけで匂いが変わる。彼の匂いに包まれる。
「荷物置いたし、ご飯食べにいこっか!」
彼はこの一週間、おいしいご飯屋さんを探し続けてくれたらしい。
連れてきてくれたのは…。
長年続いていそうな洋食屋さん。メニュー表を開いただけでおいしそうな匂いが脳を刺激してきそうな写真たち。
「オムライスもおいしそうだし、ナポリタンも…。うーん、どうしよう。迷っちゃうな」
「どっちも頼んで半分こしよっか」
彼がしてくれた素敵な提案に乗る。
「お待たせいたしました」
店員さんが運んできてくれた温かい幸せを二人で半分ずつ胃に入れる。
「おいしかったね」
「うん!連れてきてくれてありがとう!」
「いえいえ」
街中を歩きながら彼との時間を一秒ずつ。大切に過ごす。周りを見渡すと目に飛び込んでくるチェーン店の数々。
遠距離じゃなかったらな。しょう君とチェーン店行ってみたい。なんてわがままも言えず。
会うという行為が特別ではなく、日常になればいいのに。
数年の時を経て観光地だったあの地は観光地じゃなくなった。空港に行く機会もほとんどなくなって。
「いらっしゃいませ」
「抹茶フラッペください」
今では注文する側になった。窓側の席に着く。一人で。
道行く人を眺めながらスマホの通知を気にする。
『もうすぐ着きそう!』
入口近くに視線を集中させて。
「いらっしゃいませ」
あっ!来た!
「お待たせ。ちょっとゆっくりしたら不動産屋さんいこっか」
「うん!」
寒さが春の気温に溶け、桜が咲き始めた今。君の日常と私の日常が交じり合う音がした。
入店してきたお客様に来店の感謝を示す。目の前の男女二人組はメニュー表を眺める。
街中を歩いている男女のペアがみんなカップルだとは限らない。けれど目の前の二人は…。
カップルでしょ。
三か月前、初めてカップルらしいストーリーを上げたことがありそうな二人。
夜。二人の影が街灯によって映し出され、右下の方に「1 year anniversary」なんて書いてそう。
「すみません。注文いいですか?」
「はい!お伺いいたします」
偏見の妄想に浸っているうちに頼みたいものが決まったみたいだ。
「チョコスムージーと抹茶フラッペ一つずつください」
「かしこまりました。お会計はご一緒でよろしいでしょうか」
「はい。大丈夫です」
男性の方がさっとお会計を済ませ、二人は席に着く。
注文されたドリンクを作る。その二つをトレーに載せ、さっきの二人組のもとへ運ぶ。
「お待たせいたしました」
二人だけの世界にお邪魔する。不純物の私は足早に退散して。
二人を見て思う。いいな、私も好きな人とチェーン店行きたい。
「ゆいちゃん久しぶり!長旅お疲れ様」
しょう君が空の玄関で出迎えてくれた。飛行機で約一時間半。気軽に行ける距離ではないので観光も兼ねて会いに行く。
「とりあえず荷物置きにいこっか」
ここからまた電車で一時間弱。心地の良い揺れに乗って、彼の家に行く。
「お邪魔します」
一歩踏み入れるだけで匂いが変わる。彼の匂いに包まれる。
「荷物置いたし、ご飯食べにいこっか!」
彼はこの一週間、おいしいご飯屋さんを探し続けてくれたらしい。
連れてきてくれたのは…。
長年続いていそうな洋食屋さん。メニュー表を開いただけでおいしそうな匂いが脳を刺激してきそうな写真たち。
「オムライスもおいしそうだし、ナポリタンも…。うーん、どうしよう。迷っちゃうな」
「どっちも頼んで半分こしよっか」
彼がしてくれた素敵な提案に乗る。
「お待たせいたしました」
店員さんが運んできてくれた温かい幸せを二人で半分ずつ胃に入れる。
「おいしかったね」
「うん!連れてきてくれてありがとう!」
「いえいえ」
街中を歩きながら彼との時間を一秒ずつ。大切に過ごす。周りを見渡すと目に飛び込んでくるチェーン店の数々。
遠距離じゃなかったらな。しょう君とチェーン店行ってみたい。なんてわがままも言えず。
会うという行為が特別ではなく、日常になればいいのに。
数年の時を経て観光地だったあの地は観光地じゃなくなった。空港に行く機会もほとんどなくなって。
「いらっしゃいませ」
「抹茶フラッペください」
今では注文する側になった。窓側の席に着く。一人で。
道行く人を眺めながらスマホの通知を気にする。
『もうすぐ着きそう!』
入口近くに視線を集中させて。
「いらっしゃいませ」
あっ!来た!
「お待たせ。ちょっとゆっくりしたら不動産屋さんいこっか」
「うん!」
寒さが春の気温に溶け、桜が咲き始めた今。君の日常と私の日常が交じり合う音がした。
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