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第二章 猫耳事変
第8話 調査開始、のその裏
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攪真達が話し合っていた頃に戻る。
ごろんと織理は弦のベッドの上で横になり、体を擦り付ける。その度に香る弦の香りに織理はゴロゴロと小さく喉を鳴らした。
「にゃぁ」
自然と声が漏れる。
――早く弦さん戻ってこないかな……。少し待っていてと言われたものの、やはり居ないのは寂しい。しかし暴れるわけにもいかないのでただベッドの上でころんころんと転がった。
「にゃーん……みゃーん」
甘ったるい鳴き声が響く。と同時に階段から足音が聞こえた。
「織理お待たせ~、寂しかったの?」
うりうり、と織理の頬を挟んで撫でる。にゃん、と一鳴きしてそれを肯定した。そう、寂しい。側に人がいないことに慣れていたはずなのに、捨てられてしまいそうで不安が勝る。
「攪真達が外に探しに行ってくれたよ。早く治そうね」
その言葉に織理は首を傾げた。――別に戻らなくてもいいのに。不便があるとしたら弦の生活を縛っている事だけだ。しかしそれすらも弦を見てしまうとどうでも良くなってくる。
弦に抱きつき、頭をすりすりと押し付ける。
「弦さん……抱っこして」
「うん、……でも少しだけパソコン触ってもいい?」
弦は答えながらその体を抱き返した。とは言え今は少しでも調べ物がしたい。
「やだ、今して」
優しく伝えた言葉に返ってきたそれは、甘える子供の様だった。いつもの織理ならありえない反応に弦は一瞬目を見開く。そしてまた優しく笑って、言葉通りに織理を抱き上げた。
「にゃん」
ぺろ、と弦の顔が舐められる。そのまま鼻先、頬、首筋と舐めていく。
「ん、っ……! し、きり! 擽ったい」
擽ったさに思わず笑うと、気をよくしたのか織理はさらに顔を埋めた。
――いやこれ、ちょっと耐えるにしてもさぁ……正常心を装いながら織理を撫でる。仕草が本当に猫だ、しかも甘えん坊な感じの猫。
擽ったさに危険を感じて弦は織理をベッドに下ろす。このままだと腕の力が緩んで落としそうだっからだ。
「にゃ、」
「そばにいるから大丈夫だよ~、ただ危ないからね。ここで一緒にいようね」
不満そうな織理を宥めつつ隣に座る。織理は弦の肩に頭を乗せた。
「にゃー……」
そしてそのまま弦を押し倒す。体の上に跨り、部屋着の裾に手をかけた。
「織理? 何してるの?」
なんか嫌な予感がする、弦はそっと織理の手を握った。が、その手をそのままに織理は顕になった弦の臍周りに舌を這わせる。
「ふ、く、……! くす、ぐったい!」
ぺろ、ぺろとそのまま胸元に顔を突っ込んだ。
「待って、織理……! それはダメだって……っひゃ」
「さっきしてくれたから……お返し。ん、……気持ち良い? 弦さん……」
「や、ぁ……、変な気分になりそうだから本当にやめて……!」
弦は自分の手を噛みながら擽ったさに耐える。もう片方の手で織理の肩を押し返そうとした。
悪化するにしてもこの変化は嫌すぎる、織理の純粋なお返しに体が反応していることに自己嫌悪しかない。
その時だ、弦の携帯が音を立てる。その音に耳を反射的にへにゃらせ織理は飛び退いた。
「攪真、か……、もしもし?」
命拾いしたとばかりに携帯を手に取り着信を取る。電話先は攪真だった。
「記憶読もうと思うんやけど、織理連れて来られるか?」
「連れてはいけるけど……本人の許可なく記憶読むの?」
織理を横目に見る。何の話? とでも言いたそうに首を傾げた姿は先程までと違いあどけない。
「織理、記憶読んでも良い?」
記憶を読む能力については弦も知っている。ただ本にして読んでもらう手前どうしても自分の人生が晒されるわけで。
「記憶……やだ……」
織理は思った通り嫌がった。
「せやけど、それ以外に探す方法ないやろ。俺たちは見ないから、犯人のことだけ見てもらうってのもダメか?」
攪真が電話越しに提案した。結局能力者本人には見られてしまうが、普段接点がない相手だ。自分達が見なければまだマシではないかと伝える。
「織理……今のままだと、何があるかわからない。一回戻って、」
「や!! このままがいい!」
織理はイヤイヤと首を振る。その頭を撫でて目線を合わせた。
「大丈夫、戻ってもずっと甘えていいんだよ。このままじゃなくても、俺は変わらないから……ね、戻ろ?」
ぎゅっと強く抱きしめられて織理は耳をへたらせた。――このままじゃなくても、可愛がってもらえるなら……そんな思いが少しだけ顔を覗かせた。
「……弦さんが、いうなら……」
抱きしめ返して織理は弦にキスをする。もっと欲しいのに、叶わない感情に蓋をして。
「……俺忘れられとる?」
電話越しの攪真の虚しい声が響いた。
ごろんと織理は弦のベッドの上で横になり、体を擦り付ける。その度に香る弦の香りに織理はゴロゴロと小さく喉を鳴らした。
「にゃぁ」
自然と声が漏れる。
――早く弦さん戻ってこないかな……。少し待っていてと言われたものの、やはり居ないのは寂しい。しかし暴れるわけにもいかないのでただベッドの上でころんころんと転がった。
「にゃーん……みゃーん」
甘ったるい鳴き声が響く。と同時に階段から足音が聞こえた。
「織理お待たせ~、寂しかったの?」
うりうり、と織理の頬を挟んで撫でる。にゃん、と一鳴きしてそれを肯定した。そう、寂しい。側に人がいないことに慣れていたはずなのに、捨てられてしまいそうで不安が勝る。
「攪真達が外に探しに行ってくれたよ。早く治そうね」
その言葉に織理は首を傾げた。――別に戻らなくてもいいのに。不便があるとしたら弦の生活を縛っている事だけだ。しかしそれすらも弦を見てしまうとどうでも良くなってくる。
弦に抱きつき、頭をすりすりと押し付ける。
「弦さん……抱っこして」
「うん、……でも少しだけパソコン触ってもいい?」
弦は答えながらその体を抱き返した。とは言え今は少しでも調べ物がしたい。
「やだ、今して」
優しく伝えた言葉に返ってきたそれは、甘える子供の様だった。いつもの織理ならありえない反応に弦は一瞬目を見開く。そしてまた優しく笑って、言葉通りに織理を抱き上げた。
「にゃん」
ぺろ、と弦の顔が舐められる。そのまま鼻先、頬、首筋と舐めていく。
「ん、っ……! し、きり! 擽ったい」
擽ったさに思わず笑うと、気をよくしたのか織理はさらに顔を埋めた。
――いやこれ、ちょっと耐えるにしてもさぁ……正常心を装いながら織理を撫でる。仕草が本当に猫だ、しかも甘えん坊な感じの猫。
擽ったさに危険を感じて弦は織理をベッドに下ろす。このままだと腕の力が緩んで落としそうだっからだ。
「にゃ、」
「そばにいるから大丈夫だよ~、ただ危ないからね。ここで一緒にいようね」
不満そうな織理を宥めつつ隣に座る。織理は弦の肩に頭を乗せた。
「にゃー……」
そしてそのまま弦を押し倒す。体の上に跨り、部屋着の裾に手をかけた。
「織理? 何してるの?」
なんか嫌な予感がする、弦はそっと織理の手を握った。が、その手をそのままに織理は顕になった弦の臍周りに舌を這わせる。
「ふ、く、……! くす、ぐったい!」
ぺろ、ぺろとそのまま胸元に顔を突っ込んだ。
「待って、織理……! それはダメだって……っひゃ」
「さっきしてくれたから……お返し。ん、……気持ち良い? 弦さん……」
「や、ぁ……、変な気分になりそうだから本当にやめて……!」
弦は自分の手を噛みながら擽ったさに耐える。もう片方の手で織理の肩を押し返そうとした。
悪化するにしてもこの変化は嫌すぎる、織理の純粋なお返しに体が反応していることに自己嫌悪しかない。
その時だ、弦の携帯が音を立てる。その音に耳を反射的にへにゃらせ織理は飛び退いた。
「攪真、か……、もしもし?」
命拾いしたとばかりに携帯を手に取り着信を取る。電話先は攪真だった。
「記憶読もうと思うんやけど、織理連れて来られるか?」
「連れてはいけるけど……本人の許可なく記憶読むの?」
織理を横目に見る。何の話? とでも言いたそうに首を傾げた姿は先程までと違いあどけない。
「織理、記憶読んでも良い?」
記憶を読む能力については弦も知っている。ただ本にして読んでもらう手前どうしても自分の人生が晒されるわけで。
「記憶……やだ……」
織理は思った通り嫌がった。
「せやけど、それ以外に探す方法ないやろ。俺たちは見ないから、犯人のことだけ見てもらうってのもダメか?」
攪真が電話越しに提案した。結局能力者本人には見られてしまうが、普段接点がない相手だ。自分達が見なければまだマシではないかと伝える。
「織理……今のままだと、何があるかわからない。一回戻って、」
「や!! このままがいい!」
織理はイヤイヤと首を振る。その頭を撫でて目線を合わせた。
「大丈夫、戻ってもずっと甘えていいんだよ。このままじゃなくても、俺は変わらないから……ね、戻ろ?」
ぎゅっと強く抱きしめられて織理は耳をへたらせた。――このままじゃなくても、可愛がってもらえるなら……そんな思いが少しだけ顔を覗かせた。
「……弦さんが、いうなら……」
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「……俺忘れられとる?」
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