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五がんばり目~ヤンデレ君にご注意~
第53話 小野寺家
しおりを挟む星場と菊池は松城がいつも使っている準備室に来ていた。
ドア開けると松城がコーヒーを飲んでいるところだった。
「…?2人そろってどうしたんですか?」
「松城先生、僕たち小野寺くんの家に行きたいのでついてきてくれませんか?」
星場がストレートに自分の要求を伝えると、少し驚いたのか口に含んだコーヒーをごくりと飲み込んでから困った様子を見せる松城。
「えっと、どうして僕がついていかなくちゃいけないのかな?こう見えても忙しいんだけど…」
「小野寺くんに聞きたいことがあるんです。場合によっては両親にも。その時に先生がいると説得力が上がるので一緒に来てほしいんです」
「うーん…ただでさえ小野寺くんは難しい生徒なのに、あんまり波風立てたくないんだよねぇ」
「そんな生徒を、先生は空汰ちゃんに押し付けたんですよね?」
「人聞きが悪いなぁ、困ってる僕を森本くんが助けてくれたんだよ?」
「…先生。小野寺くんの家の住所、空汰ちゃんに教えましたよね?」
その問いに松城の眉がぴくりと動いた。
菊地はそれを見逃さずさらに追い打ちをかけていく。
「へぇ、折戸くんたちには森本くんの住所教えられないって言ってたのに」
「…何が言いたいのかな?」
「率直に言うと、バラされたくなかったら黙ってついてこいってことです」
「………わかりました」
こんな展開になるとは思っておらず、森本なら大丈夫だろうと安易な事をしてしまった自分に深くため息をついて頷いた。
「でもこういうのは今回だけだよ」
「分かってます。じゃあ菊地くん、あとはよろしくね」
「え、ちょっと星場くん…?」
ずっと一緒に行くという話の流れだったため面食らっている菊地によくよく話をする星場。
「だって小野寺くんの嫌いな僕がいたら話してくれるものも話してくれなくなっちゃうかもしれないじゃない?」
「…最初からそういうつもりだったのか…」
「空汰ちゃんのためだよ」
「はいはい…」
まんまと罠にはまったような気分で釈然としないが仕方なく承諾する菊地だった。
「いらっしゃい、颯人くん」
「こんちは!おばさん」
「連絡くれたら美味しいお茶菓子用意したのに」
「いやー、涼真に頼まれちゃってさ」
小野寺の家に来たのは、あの夜森本を連れ去った車を運転していた男だった。
「…涼ちゃん、様子どう?」
「んー?元気だよ」
「そう…。急にお部屋借りたいなんてびっくりしたけど、家から出られるようになったのは良いことよね?」
出された紅茶とお菓子を頬張りながら颯人は至極適当に返事をしていた。
そんな男に縋るように母親は同意を求める。
「そーなんじゃない?」
「学校にもちゃんと行けるようになればいいんだけど…このままじゃお義父さんやお義母さんになんて言われるか…颯人くん、お願いだからこのこと絶対誰にも言わないでね。お義姉さんにもよ?」
「何回も言わなくても分かってるよ。誰にも言ってないし母さんにも言ってない」
(ま、息子が不登校だっていうことよりもヤバいことやってんだけどね)
「いつもありがとう、何か欲しい物とかあったら言ってね」
ピンポーン
「…また誰か来たのかしら」
そう言ってインターホンの映像を覗く母親は、画面に以前来たことがある教師が映し出されているのを見て慌てだす。
「ど、どうしましょう…涼ちゃんいないなんて、どう説明したら」
「…おばさん、俺が出るよ」
「颯人くん…?」
「涼真の頼まれごと、こういう時に上手く言っといてってことだったから」
「そう…それじゃあお願いね」
小野寺の母親は世間体をひどく気にする性格のようで、不登校の息子が外に出ていることすら教師になんと思われるか不安で軽くパニックになっていたが、颯人が代理で出てくれることにほっとして見送るのだった。
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