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第一章 辺境の村~6歳~
54.5 暗躍する者
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領都バホルムの中央にそびえるイグニス城。黒石の堅牢な古城は、城壁に六基の尖塔を有し、随所に彫られたドラゴンの彫像が威容を誇る、フィールド辺境伯家の邸宅である。
その城内の一室、白を基調にした高価な調度品が並ぶサロンでは、辺境伯夫人カルメラが午後のティータイムを楽しんでいた。
いつものように侍女のステラが紅茶を注ぐと、サロンは豊かな香りに包まれる。
「奥様、こちらは先日買い付けましたサフリア王国産の新しい茶葉でございます」
「まあ! 鮮やかなオレンジ色だこと、それに華やかでとてもいい香りね」
「はい。商人の話では、茶葉の収穫期によって水色や味や香りが変化するそうです。焼き立てのクッキーとご一緒にお楽しみください」
「ありがとう、ステラ」
こうしたカルメラとステラのやり取りは、フィールド辺境伯家に嫁いできてもう二十年以上になる。二人の出会いからなら三十年だ。
王国西側貴族の筆頭であるウェスタ公爵家の令嬢だったカルメラは、王立学院を卒業してすぐにフィールド辺境伯家へ嫁いできた。カルメラ十八歳、ステラ十九歳の時である。
二人は幼少期から学院卒業までのほとんどを王都で暮らしており、遠く辺境の地の慣れない生活ではたくさんの苦労があった。
それでも、多忙な日々の中でカルメラは愛する夫ゲイルに尽くし、ゲイルもまたカルメラを優しく気遣い、二人は順調に愛を育んだ。
やがてゲイルは辺境伯となり、カルメラは辺境伯夫人に。子供も四男一女をもうけ、貴族として何不自由のない幸せな人生を送ってきた……八年前までは。
揺らぐ紅茶に歪んだカルメラの顔が映る。
「早いものね、ドルガンがもう十四歳よ」
ドルガンは来春から王都にある王立学院へ通う。辺境のバホルムから王都までは遠く、馬車でおよそ三十日の距離がある。
「はい。あの幼かったドルガン様もアルダン様も、旦那様から立派な剣を贈られて、とてもお喜びになられています」
「ふふふ、男の子はみんな同じだわ」
「ふふ、さようでございますね」
コツコツコツコツ。
部屋のドアノッカーを叩く音が二人の話を遮り、続けて侍女の声がする。
「奥様、失礼いたします。徴税官のモンガー様がいらっしゃいました」
「約束の時間より少し早いけど、仕方ないわね。ステラ、お通しして……」
ステラに声をかけるカルメラ。ところがステラは思案顔でぼんやりしている。珍しい親友の様子に、カルメラは怪訝な顔を向けた。
「ステラ?」
「奥様……差し出がましいと存じますが、モンガー様には十分お気をつけください」
ステラは徴税官ネチョリ・モンガーという男が嫌いだった。「どこが?」と聞かれれば「全部」と答えるくらい、言動のすべてが嫌悪の対象であり、関わる度に嫌な予感がしていた。
心配するステラに対し、微笑んだカルメラは力強くはっきりと答える。
「ステラ、わたくしはフィールド辺境伯夫人です。心配しなくとも、わかっています」
ステラを見据えるまっすぐな眼差し。その力強い紺碧の双眸には、辺境伯夫人としての責任と覚悟が確かにあった。ステラは自身の懸念が杞憂であったのだと、安堵と共に頭を下げる。
「……失礼いたしました」
そして振り返り扉の向こうの侍女へ声をかけると、すぐに開かれた扉から二人の男が入ってきた。
口髭のある太った男が徴税官のモンガーで、後ろに控える執事の男は初めて見る。金髪に黒い瞳、特徴的な尖った耳はエルフ族だ。
カルメラが立ち上がって出迎えると、モンガーとエルフの男は揃って紳士の礼をする。
「カルメラ様、ご機嫌麗しゅう存じます。本日はお会いいただき、ありがとうございます」
「ご機嫌よう、モンガー様」
「くふふ、今日はいつにも増してお美しい」
「まあ、嬉しいわ。どうぞお掛けになって」
モンガーの世辞に軽く応えるカルメラ。二人は椅子に腰かけると、ステラの淹れた紅茶を一口味わい、カルメラから話を切り出した。
「それで、とてもお忙しいモンガー様が今日はどのようなご用件かしら」
「本日はカルメラ様のために、王都で苦労して手に入れた特別な品をお持ちしました。おい、ジルナール、お見せしろ」
「はい」
ジルナールと呼ばれたエルフ族の執事は、黄金に輝く卵型のものをテーブルの上に置いた。それは三つ脚に支えられたティーポット程の大きさで、大小いくつもの魔宝石と繊細なレリーフが施された豪華な作り。
「こちらは香りを楽しむための魔導具で、魔香炉といいまして、今や王都でもなかなか手に入らない評判の品です」
そう言いながら、モンガーが魔香炉の先端にある赤い魔宝石に触れると、サロンにジャスミンのような甘く強い香りが広がる。
「これは……とてもよい香りですわね」
「そうでしょう。このような名品は、カルメラ様にこそ相応しいと思ってお持ちしたのです」
本当は繊細な紅茶の香りを消してしまう無粋な香りーー同じことを思ったカルメラとステラは密かに視線を交わす。
それからしばらくの間、モンガーの自慢話など意味のないつまらない話が続き、カルメラは適当に相槌を打って聞き流していた。
ところがーー。
「……それにしても、ご子息のアベル殿は実にもったいない。大金を積んででも婿養子に迎えたい家も多いでしょうに、なぜ辺境の農村などにおられるのです?」
不意にモンガーの声が大きく聴こえた。すうっと眉をひそめたカルメラは、その美しい相貌に暗く怪訝な表情を浮かべる。
「自分の結婚よりも、あの女の子供たちを見守りたいなどと言って。優しいあの子はずっと騙されているのです。あの悪女の亡霊に取りつかれているに違いありません」
不満が口を突いて出た。
辺境伯夫人として、人前で愚痴や不平不満を口にすることは厳に慎んできたはずなのに。
カルメラは秘めていた胸の内を口走ってしまった自分に驚く一方、なぜか心が解き放たれて幸せな気持ちになるのを感じた。
「黒目黒髪の悪女は確か、ソフィア・シュガー男爵令嬢でしたかな?」
またモンガーの大きな声が心に響く。
「そうです。ソフィア・シュガー……愛するゲイル様を誘惑し、わたくしから奪おうとした悪女……死んでせいせいしていたのに、わたくしの大事なアベルまで誘惑していたなんて。あの子が結婚しないのは、あの悪女のせいよ」
せめてもの腹いせに、悪女の子供たちがいるシュガー村には徴税官一行が立ち入らないようにお願いした。些細な復讐で我慢していたのに、アベルは逆に幼い弟と妹を守りたいなどと言って代理領主なんかになってしまったのだ。
「では、条件の良い結婚相手選びも含めて、その件はすべて私にお任せください」
「モンガー様に?」
「ええ。悪女の亡霊からご子息をお救いするのです」
「アベルを救う……」
「はい。今度の公務にご子息のドルガン殿とアルダン殿を同行させて、揺さぶりをかけましょう。アベル殿が村にいる意味を失くしてしまえば、必ずお救いできるはずです」
「そう、ですわね……アベルの件は、すべてモンガー様にお任せしますわ……」
モンガーたちが帰った後、カルメラとステラは夢から覚めたような気分だった。
二人とも何を話したのかよく覚えていなかったが、モンガーとする話ならいつものこと。
ただ、懸念だったアベルの件はすべてモンガーに任せておけばいいのだと、そんな安堵した気持ちがカルメラたちの心を支配していた。
その城内の一室、白を基調にした高価な調度品が並ぶサロンでは、辺境伯夫人カルメラが午後のティータイムを楽しんでいた。
いつものように侍女のステラが紅茶を注ぐと、サロンは豊かな香りに包まれる。
「奥様、こちらは先日買い付けましたサフリア王国産の新しい茶葉でございます」
「まあ! 鮮やかなオレンジ色だこと、それに華やかでとてもいい香りね」
「はい。商人の話では、茶葉の収穫期によって水色や味や香りが変化するそうです。焼き立てのクッキーとご一緒にお楽しみください」
「ありがとう、ステラ」
こうしたカルメラとステラのやり取りは、フィールド辺境伯家に嫁いできてもう二十年以上になる。二人の出会いからなら三十年だ。
王国西側貴族の筆頭であるウェスタ公爵家の令嬢だったカルメラは、王立学院を卒業してすぐにフィールド辺境伯家へ嫁いできた。カルメラ十八歳、ステラ十九歳の時である。
二人は幼少期から学院卒業までのほとんどを王都で暮らしており、遠く辺境の地の慣れない生活ではたくさんの苦労があった。
それでも、多忙な日々の中でカルメラは愛する夫ゲイルに尽くし、ゲイルもまたカルメラを優しく気遣い、二人は順調に愛を育んだ。
やがてゲイルは辺境伯となり、カルメラは辺境伯夫人に。子供も四男一女をもうけ、貴族として何不自由のない幸せな人生を送ってきた……八年前までは。
揺らぐ紅茶に歪んだカルメラの顔が映る。
「早いものね、ドルガンがもう十四歳よ」
ドルガンは来春から王都にある王立学院へ通う。辺境のバホルムから王都までは遠く、馬車でおよそ三十日の距離がある。
「はい。あの幼かったドルガン様もアルダン様も、旦那様から立派な剣を贈られて、とてもお喜びになられています」
「ふふふ、男の子はみんな同じだわ」
「ふふ、さようでございますね」
コツコツコツコツ。
部屋のドアノッカーを叩く音が二人の話を遮り、続けて侍女の声がする。
「奥様、失礼いたします。徴税官のモンガー様がいらっしゃいました」
「約束の時間より少し早いけど、仕方ないわね。ステラ、お通しして……」
ステラに声をかけるカルメラ。ところがステラは思案顔でぼんやりしている。珍しい親友の様子に、カルメラは怪訝な顔を向けた。
「ステラ?」
「奥様……差し出がましいと存じますが、モンガー様には十分お気をつけください」
ステラは徴税官ネチョリ・モンガーという男が嫌いだった。「どこが?」と聞かれれば「全部」と答えるくらい、言動のすべてが嫌悪の対象であり、関わる度に嫌な予感がしていた。
心配するステラに対し、微笑んだカルメラは力強くはっきりと答える。
「ステラ、わたくしはフィールド辺境伯夫人です。心配しなくとも、わかっています」
ステラを見据えるまっすぐな眼差し。その力強い紺碧の双眸には、辺境伯夫人としての責任と覚悟が確かにあった。ステラは自身の懸念が杞憂であったのだと、安堵と共に頭を下げる。
「……失礼いたしました」
そして振り返り扉の向こうの侍女へ声をかけると、すぐに開かれた扉から二人の男が入ってきた。
口髭のある太った男が徴税官のモンガーで、後ろに控える執事の男は初めて見る。金髪に黒い瞳、特徴的な尖った耳はエルフ族だ。
カルメラが立ち上がって出迎えると、モンガーとエルフの男は揃って紳士の礼をする。
「カルメラ様、ご機嫌麗しゅう存じます。本日はお会いいただき、ありがとうございます」
「ご機嫌よう、モンガー様」
「くふふ、今日はいつにも増してお美しい」
「まあ、嬉しいわ。どうぞお掛けになって」
モンガーの世辞に軽く応えるカルメラ。二人は椅子に腰かけると、ステラの淹れた紅茶を一口味わい、カルメラから話を切り出した。
「それで、とてもお忙しいモンガー様が今日はどのようなご用件かしら」
「本日はカルメラ様のために、王都で苦労して手に入れた特別な品をお持ちしました。おい、ジルナール、お見せしろ」
「はい」
ジルナールと呼ばれたエルフ族の執事は、黄金に輝く卵型のものをテーブルの上に置いた。それは三つ脚に支えられたティーポット程の大きさで、大小いくつもの魔宝石と繊細なレリーフが施された豪華な作り。
「こちらは香りを楽しむための魔導具で、魔香炉といいまして、今や王都でもなかなか手に入らない評判の品です」
そう言いながら、モンガーが魔香炉の先端にある赤い魔宝石に触れると、サロンにジャスミンのような甘く強い香りが広がる。
「これは……とてもよい香りですわね」
「そうでしょう。このような名品は、カルメラ様にこそ相応しいと思ってお持ちしたのです」
本当は繊細な紅茶の香りを消してしまう無粋な香りーー同じことを思ったカルメラとステラは密かに視線を交わす。
それからしばらくの間、モンガーの自慢話など意味のないつまらない話が続き、カルメラは適当に相槌を打って聞き流していた。
ところがーー。
「……それにしても、ご子息のアベル殿は実にもったいない。大金を積んででも婿養子に迎えたい家も多いでしょうに、なぜ辺境の農村などにおられるのです?」
不意にモンガーの声が大きく聴こえた。すうっと眉をひそめたカルメラは、その美しい相貌に暗く怪訝な表情を浮かべる。
「自分の結婚よりも、あの女の子供たちを見守りたいなどと言って。優しいあの子はずっと騙されているのです。あの悪女の亡霊に取りつかれているに違いありません」
不満が口を突いて出た。
辺境伯夫人として、人前で愚痴や不平不満を口にすることは厳に慎んできたはずなのに。
カルメラは秘めていた胸の内を口走ってしまった自分に驚く一方、なぜか心が解き放たれて幸せな気持ちになるのを感じた。
「黒目黒髪の悪女は確か、ソフィア・シュガー男爵令嬢でしたかな?」
またモンガーの大きな声が心に響く。
「そうです。ソフィア・シュガー……愛するゲイル様を誘惑し、わたくしから奪おうとした悪女……死んでせいせいしていたのに、わたくしの大事なアベルまで誘惑していたなんて。あの子が結婚しないのは、あの悪女のせいよ」
せめてもの腹いせに、悪女の子供たちがいるシュガー村には徴税官一行が立ち入らないようにお願いした。些細な復讐で我慢していたのに、アベルは逆に幼い弟と妹を守りたいなどと言って代理領主なんかになってしまったのだ。
「では、条件の良い結婚相手選びも含めて、その件はすべて私にお任せください」
「モンガー様に?」
「ええ。悪女の亡霊からご子息をお救いするのです」
「アベルを救う……」
「はい。今度の公務にご子息のドルガン殿とアルダン殿を同行させて、揺さぶりをかけましょう。アベル殿が村にいる意味を失くしてしまえば、必ずお救いできるはずです」
「そう、ですわね……アベルの件は、すべてモンガー様にお任せしますわ……」
モンガーたちが帰った後、カルメラとステラは夢から覚めたような気分だった。
二人とも何を話したのかよく覚えていなかったが、モンガーとする話ならいつものこと。
ただ、懸念だったアベルの件はすべてモンガーに任せておけばいいのだと、そんな安堵した気持ちがカルメラたちの心を支配していた。
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