226 / 267
第四章
第二百二十五話
しおりを挟む
ある休日、目を覚まして明人は電話を掛けた。
「ごめん、今起きたから今から用意して車で迎えに行く。」
「体調悪いの?無理しなくていいよ。」
「大丈夫。」
明人と水樹が付き合い始めて10ヶ月が経過した。つまりは惹かれ合って1年、季節は一巡し、恋人同士のイベントも1回目が終了した。明人は今も水樹の事を疑う余地もなく愛していたがやや落ち着きを取り戻していた。それに当然平日は忙しく日曜日はアルバイトもあるわけで、だから特別に決めたわけではなくても土曜日に遊ぶ事が多かった。
そして明人は昨日の就職の面接が手応えがあったので気持ちが楽になり夜は飲みに行っていて、その結果起きたのが午後になったのだった。
春に就職した明人の友人達は、元々騒ぐのが好きで明人も飲みに誘われる事が増えた。それに急に給料を手にした友人達の金遣いは荒くて、終電も気にせず酒を飲んではタクシーで帰宅し、便乗した明人の生活も明らかに去年より乱れていた。
明人は起きたもののまだ眠かったので本心はこのまま自宅でゆっくりしていたかった。でも変わらぬテンションで会いたがってくれる水樹の気持ちを思うと会いに行かないわけがない。
明人が目覚めてから水樹を迎えに行く。ここ最近の待ち合わせはもっぱらこんな感じで、いざ会ったとしても特にしたい事もなくて、ことさら明人に関しては水樹がそばにいてくれるだけで満足していたのだった。
水樹を拾うと車を走らせる。
「飯食った?」
「ううん。まだ。一緒に食べようと思って待ってた。」
先に食べておけばいいのに、と明人は思った。牛丼屋に寄りまず食事し今日したい事を話す。でもまだ眠くて牛丼を食べている最中も、話をしている時もついあくびをしてしまう。つまり、あまり気を使わなくてもいい関係までに二人は到達していたのだ。
「眠いの?」
「昨日さ、面接終わったせいで開放的になり過ぎてついはしゃいじゃったんだよね。」
「面接どうだったの?」
「なんか歴史の話とかで盛り上がっちゃって、まあ大丈夫だよ。」
「合格したらいいね。」
「うん。地元採用だし、受かればこれからも水樹とずっと一緒にいられるしね。」
「私も絶対に地元で就職する。離れるとかは想像できないもん。」
働いてお金がたまれば一緒に暮らす事も可能だ。そうなると毎度遊ぶ場所を考えなくても良くなるし、同じ空間内でそれぞれがしたい事をすればよく贅沢だ。特に水樹はその気持ちが強いのを明人は感じているので、その気持ちには応えてあげたかった。
「ごめん、今起きたから今から用意して車で迎えに行く。」
「体調悪いの?無理しなくていいよ。」
「大丈夫。」
明人と水樹が付き合い始めて10ヶ月が経過した。つまりは惹かれ合って1年、季節は一巡し、恋人同士のイベントも1回目が終了した。明人は今も水樹の事を疑う余地もなく愛していたがやや落ち着きを取り戻していた。それに当然平日は忙しく日曜日はアルバイトもあるわけで、だから特別に決めたわけではなくても土曜日に遊ぶ事が多かった。
そして明人は昨日の就職の面接が手応えがあったので気持ちが楽になり夜は飲みに行っていて、その結果起きたのが午後になったのだった。
春に就職した明人の友人達は、元々騒ぐのが好きで明人も飲みに誘われる事が増えた。それに急に給料を手にした友人達の金遣いは荒くて、終電も気にせず酒を飲んではタクシーで帰宅し、便乗した明人の生活も明らかに去年より乱れていた。
明人は起きたもののまだ眠かったので本心はこのまま自宅でゆっくりしていたかった。でも変わらぬテンションで会いたがってくれる水樹の気持ちを思うと会いに行かないわけがない。
明人が目覚めてから水樹を迎えに行く。ここ最近の待ち合わせはもっぱらこんな感じで、いざ会ったとしても特にしたい事もなくて、ことさら明人に関しては水樹がそばにいてくれるだけで満足していたのだった。
水樹を拾うと車を走らせる。
「飯食った?」
「ううん。まだ。一緒に食べようと思って待ってた。」
先に食べておけばいいのに、と明人は思った。牛丼屋に寄りまず食事し今日したい事を話す。でもまだ眠くて牛丼を食べている最中も、話をしている時もついあくびをしてしまう。つまり、あまり気を使わなくてもいい関係までに二人は到達していたのだ。
「眠いの?」
「昨日さ、面接終わったせいで開放的になり過ぎてついはしゃいじゃったんだよね。」
「面接どうだったの?」
「なんか歴史の話とかで盛り上がっちゃって、まあ大丈夫だよ。」
「合格したらいいね。」
「うん。地元採用だし、受かればこれからも水樹とずっと一緒にいられるしね。」
「私も絶対に地元で就職する。離れるとかは想像できないもん。」
働いてお金がたまれば一緒に暮らす事も可能だ。そうなると毎度遊ぶ場所を考えなくても良くなるし、同じ空間内でそれぞれがしたい事をすればよく贅沢だ。特に水樹はその気持ちが強いのを明人は感じているので、その気持ちには応えてあげたかった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
脅され彼女~可愛い女子の弱みを握ったので脅して彼女にしてみたが、健気すぎて幸せにしたいと思った~
みずがめ
青春
陰キャ男子が後輩の女子の弱みを握ってしまった。彼女いない歴=年齢の彼は後輩少女に彼女になってくれとお願いする。脅迫から生まれた恋人関係ではあったが、彼女はとても健気な女の子だった。
ゲス男子×健気女子のコンプレックスにまみれた、もしかしたら純愛になるかもしれないお話。
※この作品は別サイトにも掲載しています。
※表紙イラストは、あっきコタロウさんに描いていただきました。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
【完結】年収三百万円台のアラサー社畜と総資産三億円以上の仮想通貨「億り人」JKが湾岸タワーマンションで同棲したら
瀬々良木 清
ライト文芸
主人公・宮本剛は、都内で働くごく普通の営業系サラリーマン。いわゆる社畜。
タワーマンションの聖地・豊洲にあるオフィスへ通勤しながらも、自分の給料では絶対に買えない高級マンションたちを見上げながら、夢のない毎日を送っていた。
しかしある日、会社の近所で苦しそうにうずくまる女子高生・常磐理瀬と出会う。理瀬は女子高生ながら仮想通貨への投資で『億り人』となった天才少女だった。
剛の何百倍もの資産を持ち、しかし心はまだ未完成な女子高生である理瀬と、日に日に心が枯れてゆくと感じるアラサー社畜剛が織りなす、ちぐはぐなラブコメディ。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません
竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる