元凄腕傭兵ですが国民的アイドルの家に勝手に居候しています〜アイドルに愛を教えてもらう男の話〜

ハルカゼのワカ

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第一話 おまえを殺す

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「ハァ…ハァ…」
サイードは意識が朦朧とする中、歩みを進めていた。



有名アイドルグループに所属する小柄な彼女。
センターの経験もある彼女の名前は小田香奈。
仕事終わりに香奈はなんだか物騒な雰囲気のする帰り道を急いでいた。
「どうしたんやろ…なんか今日は嫌な雰囲気…」
「ん…あの人…?」
「フラフラしとるけど大丈夫かな…」
彼女は福岡生まれの博多育ち。
東京に来て4年ほどだが博多なまりがまだ抜けないらしい。
「ハァ………ハァ…………」
「……………」
「バタッ………」
香奈がの目の前で男が這いつくばり苦しそうに倒れている。
さらに男の後ろには血が伝っている。
「えっ、えっ、え…血出てる!」
「大丈夫…ですか…!?」
「ん……」
「お前……は…………?」
「そんなことより傷が…!」
「どうしよ…救急車…?」
「救急車は………」
「いたぞ!!」
ダン!ダン!
サイードの追手が放った銃弾が2人をかすめる。
「な…」
「うっ…!?」
とっさに香奈は正体不明の男を引っ張って物陰に隠れた。
「おい…お前このマンションの住人か…?」
「そ、そうですけど…!?」
「家に入れさせろ」
「は、はい…!!」
香奈は気が動転して自分がアイドルであることを忘れ始めて会った男を家に担ぎ込んだ。
「包帯かそれの代わりになるような物を持ってこい、今すぐだ」
「は、はい…」
「包帯なんかないよ…」
とりあえず香奈は薄手のタオルを渡す。
「これしかないです…」
「これでいい」
サイードはタオルを奪い取り出血部分に巻いて止血する。
「あなたは…誰ですか…?」
「命狙われてるなんて…」
「名乗る必要はない」
「お前には顔を見られてしまった」
男は一瞬のうちに銃を構える。
「ここで、お前を殺す」
「な、なんで…!?」
何が起きているのか分からない香奈は両手を挙げて後ずさる。
その時…
パリーン!
ガラスが割れる音とともに銃弾が部屋の壁に当たる
「ちっ……」
「きゃ…!」
「もう、ほんとに何なん…!」
「おい、今すぐ部屋の電気を消せ」
男は落ち着いた口調で香奈に指示する。
「消すからそれこっち向けんといて…!」
香奈は直ぐに部屋の電気を消す。
ガチャガチャ……
男は何かを組み立てているようだ。
「………?」
(何してるん…?)
「なんでもいい、明かりを貸せ」
「はい…」
香奈はスマホの明かりをつけた。
明かりの先で男は1メートルほどの大きさの銃を持っている。
「借りるぞ」
男はスマホを奪いベランダへ出て行く。
パリン!パリン!
マンションの高層階にも関わらずまたガラスに銃弾が当たった。
「………!!」
香奈は物陰に隠れてこっそり様子を覗くと男はベランダで銃を構えていた。
「さっきの2人…」
パシュ!パシュ!
男は2回引き金を引く。
「あ、あの人も撃っとる…」
男はすぐに余裕の表情で部屋の中に戻ってきた。
「2人とも殺した」
「もうお前は大丈夫なはずだ」
「殺……!」
香奈は目の前の男を恐怖の目で見ている。
「なんだ?何がおかしい?」
「そんなに簡単に人の命を…」
「さすがジャパンの人間だ」
「平和ボケしていると聞いたがここまでだとは…」
「……?」
「日本人じゃないの…?」
「それは答える必要はない」
「泊まるところがない、今日はここに泊まらせろ」
「え、えぇ…」
(でも逆らうと何されるかわからんし…)
「どうぞ…」
「感謝する」
男は銃をまた分解して磨き始めた。
「………」
(殺すんやなかったん…?)
(殺されたくはないから…いいけど…)
(ほんとに何者なんやろ…軍人さんみたい)
(敵は2人って言って2回しか撃たんかったから…上手い人なんかな…)
(ていうか…よく見たらめちゃくちゃかっこいい…)
香奈はこの状況に次々と頭に色々思い浮かんでいる。
「トイレを借りるぞ」
色々ありすぎて香奈は気づかなかったが、男は靴を履いたままである。
「く、靴は玄関に…!」
「そうか、ジャパンはそうだったな」
「すまなかった」
男は靴を玄関に戻してトイレに行って戻ってくる。
香奈は男がトイレに行くと、割れたガラスを掃除してダンボールで窓を目張りしていた。
「なんでこんなことに…」
「はぁ…」
戻ってきた男は全く悪びれる素振りも見せずまた銃を磨き始める。
キュ…キュ……
「ちょっとは手伝ってくれてもいいのに…」
「ぐ~」
香奈のお腹がなる。
「お腹減った…」
「あ、あの…」
「なんだ」
「何か食べますか…?」
「いや、いい」
「そうですか…」
香奈はさみしく1人でカップラーメンをすする。
「いい感じだ」
男は銃を磨き終えて再びアタッシュケースにしまった。
「なんのお仕事…されてるんですか…?」
(どうせ答えてくれんやろけど…)
「ない」
「ない…?」
「ニート……?」
「ニート…?」
「なんだそれは」
「あ、なんというか…み、ミート…お肉の親戚みたいな~…」
「そうか」
男はなにやらメモに書き留めている様子。
「いつか、食べてみたいな」
(メモしとる…嘘やけどえっ)
(嘘やけど…)
「やっぱり外国の方なんですね…」
「おれは、おそらく日本人だ」
「ただ、ずっといろんなところを飛び回っていたから日本のことはよく知らない」
「そうなんですか…」
「いいところですよ…日本」
「そうか」
「そうあってほしいな」
「はい…」
(さっきは教えてくれんかったのに…)
(変な人やな……)
(そういえば……なんで……さっき私の目の前で人の命を奪った人やのに…)
(こんなに油断して喋れるんやろ…)
男は警戒しているのか会話の間中ずっとハンドガンを握っている。
(ずっと持っとるけど撃つ気あるんかな…)
香奈はそれでも怖いものは怖いので部屋の隅で縮まって刺激しないように様子を見ている。

2人は何かをするわけでも無く時間だけが過ぎて行く。
(ねむ…)
いつでもどこでも寝られてしまう香奈はお腹も満たされ少しウトウトしだす。
「あの…もう寝ていいですか…」
「構わない」
「お前の家だ、好きにしろ」
「おやすみなさい…」
香奈はメイクも落としていないのにベッドに潜り込んですやすや…。

翌朝
男は昨日の位置から全く変わらず座っていた。
おはよう…ございます…
「お前…寝たのか…?」
「え……?」
「寝ました……」
「お前…死ぬぞ?」
「へ……??」
「いや、なんでもない」
「あ…はい…」

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