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はて?
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「はい、喜んで!」
「は?」
あら、聞こえなかったのかしら?ならばもう一度。
「はい、喜んで!」
「・・・・・・」
あらら?ライノール様がバカみたいに口を開けておりますわ。隣のマリア様も同じ。やっぱり聞こえなかったのかしら?ではもう一度。
「はい、喜んで!」
「なぜだぁぁぁ!!」
「?」
急に叫ばれたライノール様に分からずこてりと首を傾げる。返事をしただけなのに何故わたくしは叫ばれているのでしょうね?
「え、と。殿下が婚約破棄とおっしゃったので返事をしたのですが?」
「それが何で喜んでなんだ!お前俺の婚約者だろ!」
「いえ元婚約者ですわ。たった今殿下が婚約破棄したのではないですか。もうお忘れで?」
「いやいやいや、普通泣いて縋るとかあるだろ!何で喜んでるんだよ!」
「はて?」
叫んで息が切れたのか肩ではあはあとするライノール様に疑問符が浮かぶ。
「何故泣いて縋らなければいけないのですか?もしかして婚約破棄の礼儀作法としてやらねばならないのでしょうか?」
「いや・・・・・・そういう訳では・・・・・・」
しどろもどろになるライノール様に痺れを切らしたのかマリア様が叫びます。
「ごめんなさい・・・!ライ様と私が惹かれ会っちゃったからイリスリア様が嫉妬してしまったんですよね。だから嫌がらせをしたんですよね。謝って下さい!謝ってくれたら私許しますから!」
「はて?」
ぽろぽろと泣きながら訴える姿は庇護欲をそそりますね。そんなマリア様の震える肩をライノール様は抱きしめわたくしを睨みます。
「そ・・・・・・そうだ!俺達に嫉妬してマリアに嫌がらせしたんだろ!謝れ!」
「嫌がらせとは?わたくし身に覚えがありませんの。お教えいただけますか?」
そもそもマリア様とは教室や取っている教科が違います。それなのに接点がほとんど無いわたくしがどうやって嫌がらせをするのでしょうか。
「廊下を走ってはいけないとか!」
「ええ、危ないので注意しました。案の定その後転んでましたわね」
「笑っていただけなのに怒られたわ!」
「咀嚼中の食べ物を入れたまま大口を開けて笑うんですもの。淑女としてありえませんわ」
これには周りも顔を顰めたり「うえ~」という嫌そうな声が聞こえてきます。高位貴族だけではなく下位貴族や平民でもその行為はマナー違反なのですから。寧ろ食べかけのものを見せられたわたくしの方が被害者です。
「そっ・・・そうやって俺にも口煩く言うじゃないか!飲み物一つ好きなのを口に出来ないんだ!」
「それは殿下のお腹が弱いのに冷たい飲み物ばかり飲もうとするからですわ。それにいつもお腹を出して寝て朝「ぽんぽん痛い~」とおっしゃっているではありませんか」
「なっ・・・・・・」
あらま。お腹を出して寝ている事は秘密にしてくれと言われていたのに言ってしまいましたわ。
クスクスと周りから漏れる声に殿下が真っ赤になって震えています。
「すみません殿下、秘密だったのに話してしまいました」
これはわたくしが悪いので謝りますが、殿下の震えが余計大きくなってしまいました。
「貴様・・・・・・」
「でもわたくし常識的な注意しか言っていませんわ。だから寝る時は腹巻きをして寝るように、と」
「もうそれはいい!お前とは婚約破棄だ!泣いて縋ってももう遅いぞ!」
誤魔化しましたわね。それはいいですが何度も指を差さないでほしいですわ。はあ・・・・・・面倒くさくなってきましたがもう一度言わせていただきます。
「はい、喜んで!」
「だから何で喜ぶんだ!」
何でって嬉しいからに決まっているじゃないですか!
「は?」
あら、聞こえなかったのかしら?ならばもう一度。
「はい、喜んで!」
「・・・・・・」
あらら?ライノール様がバカみたいに口を開けておりますわ。隣のマリア様も同じ。やっぱり聞こえなかったのかしら?ではもう一度。
「はい、喜んで!」
「なぜだぁぁぁ!!」
「?」
急に叫ばれたライノール様に分からずこてりと首を傾げる。返事をしただけなのに何故わたくしは叫ばれているのでしょうね?
「え、と。殿下が婚約破棄とおっしゃったので返事をしたのですが?」
「それが何で喜んでなんだ!お前俺の婚約者だろ!」
「いえ元婚約者ですわ。たった今殿下が婚約破棄したのではないですか。もうお忘れで?」
「いやいやいや、普通泣いて縋るとかあるだろ!何で喜んでるんだよ!」
「はて?」
叫んで息が切れたのか肩ではあはあとするライノール様に疑問符が浮かぶ。
「何故泣いて縋らなければいけないのですか?もしかして婚約破棄の礼儀作法としてやらねばならないのでしょうか?」
「いや・・・・・・そういう訳では・・・・・・」
しどろもどろになるライノール様に痺れを切らしたのかマリア様が叫びます。
「ごめんなさい・・・!ライ様と私が惹かれ会っちゃったからイリスリア様が嫉妬してしまったんですよね。だから嫌がらせをしたんですよね。謝って下さい!謝ってくれたら私許しますから!」
「はて?」
ぽろぽろと泣きながら訴える姿は庇護欲をそそりますね。そんなマリア様の震える肩をライノール様は抱きしめわたくしを睨みます。
「そ・・・・・・そうだ!俺達に嫉妬してマリアに嫌がらせしたんだろ!謝れ!」
「嫌がらせとは?わたくし身に覚えがありませんの。お教えいただけますか?」
そもそもマリア様とは教室や取っている教科が違います。それなのに接点がほとんど無いわたくしがどうやって嫌がらせをするのでしょうか。
「廊下を走ってはいけないとか!」
「ええ、危ないので注意しました。案の定その後転んでましたわね」
「笑っていただけなのに怒られたわ!」
「咀嚼中の食べ物を入れたまま大口を開けて笑うんですもの。淑女としてありえませんわ」
これには周りも顔を顰めたり「うえ~」という嫌そうな声が聞こえてきます。高位貴族だけではなく下位貴族や平民でもその行為はマナー違反なのですから。寧ろ食べかけのものを見せられたわたくしの方が被害者です。
「そっ・・・そうやって俺にも口煩く言うじゃないか!飲み物一つ好きなのを口に出来ないんだ!」
「それは殿下のお腹が弱いのに冷たい飲み物ばかり飲もうとするからですわ。それにいつもお腹を出して寝て朝「ぽんぽん痛い~」とおっしゃっているではありませんか」
「なっ・・・・・・」
あらま。お腹を出して寝ている事は秘密にしてくれと言われていたのに言ってしまいましたわ。
クスクスと周りから漏れる声に殿下が真っ赤になって震えています。
「すみません殿下、秘密だったのに話してしまいました」
これはわたくしが悪いので謝りますが、殿下の震えが余計大きくなってしまいました。
「貴様・・・・・・」
「でもわたくし常識的な注意しか言っていませんわ。だから寝る時は腹巻きをして寝るように、と」
「もうそれはいい!お前とは婚約破棄だ!泣いて縋ってももう遅いぞ!」
誤魔化しましたわね。それはいいですが何度も指を差さないでほしいですわ。はあ・・・・・・面倒くさくなってきましたがもう一度言わせていただきます。
「はい、喜んで!」
「だから何で喜ぶんだ!」
何でって嬉しいからに決まっているじゃないですか!
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