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ルクレ様の宣言に会場がどっと沸き立ち祝いの言葉が飛び交う中「おい待て!」や「何で⁉」など聞こえてきた気がしますが気のせいでしょう。
祝福モードを壊さないようにルクレ様が手だけで指示を出し、衛兵がライノール様とマリア様をその場から連れ出します。暴れているようですが屈強な騎士に敵うわけもなくあっさりと引きずられていきます。
「皆つまらないものを見せてしまいすまなかった。我々は所用があるので抜けるが最後まで楽しんでほしい」
そう言うと止んでいた音楽が流れ始めみんな戸惑いながらも動き出す。卒業パーティーの執行委員もいるので大丈夫でしょう。
「さあ行こうか」
「はい」
差し出された手を取りエスコートされながら扉に向かう。
「・・・・・・長かったね」
「ええ、やっと・・・・・・やっと・・・・・・」
その小さな声は音楽とざわつきだした周りによって誰にも聞き止められる事なく消えていった。
会場を出て向かった先は国王が非公式の話し合いをする部屋。ダークブラウンを基調とした落ち着きのあるテーブルにワインレッドのベルベット生地に金糸で刺繍されたソファーや椅子があり、部屋に入った時には既に国王や王妃と側妃、イリスリアの父であるマーベン公爵もいる。
先ほど会場から連れ出されたライノールとマリアもいたが、暴れてうるさかったのか手を後ろで縛られ猿ぐつわをされている。
「おお、来たな。座りなさい」
国王に促され礼をし、ルクレは王族側の空いている席に座りイリスリアはマーベン公爵の隣に座る。侍女が手際よく人数分紅茶を置くと護衛数人を残し出ていき、部屋には関係者のみになり重い空気が流れる。
「イリスリア嬢、愚息がすまなかった」
「そんなっ!」
40を過ぎても鍛えはち切れんばかりの筋肉を王衣で身を包んだ体をがばりと折り謝罪する国王にイリスリアは慌てる。一国の王が臣下に頭を下げるなど畏れ多くて震えてしまう。
「イリスリアよ、謝らせておけばいいのじゃ。元はといえば陛下のせいなのだからの。のう陛下?」
「うぐっ!」
隣に座る国王の脇腹に扇で容赦無く突く王妃は厳しい目を向ける。
「ついでに僕のとイリスリアの分もお願いします」
「相分かった」
「ぐっ!がふっ!」
ドスドスと追加で突いた扇を開き悶絶している国王を見下ろしため息をつく。
「・・・・・・ほんにあの時ライノールの我儘を聞いた側妃にデレてイリスリアをレオノールの婚約者にしなければ誰も傷つかなかったのです。反省なさいな!」
「うぅ・・・・・・はい・・・女王様・・・」
「今は王妃じゃ!」
スパーン!
「はいぃ!すみません!」
恍惚として王妃を見る国王に蔑む眼差しを向ける王妃。
((一体何を見せられているんだろう・・・))
イリスリアと公爵は目の前のやり取りをそう思いながら見つめているが、言葉は飲み込む。ルクレやライノールはいつもの事なのか無反応だが、マリアはポカンとしている。
「ちょっと!我儘って何よ!息子の願いを叶えるのは母親の役目じゃない!だから」
我儘という言葉にカチンときたのか側妃が反論するが「黙らっしゃい!」の一言で口を噤ませる。
どうやらヒエラルキーの頂点は王妃のようだ。
「あれは我儘の何物でもない。元々イリスリアはルクレの婚約者として内々に決まっていたのじゃ。それをライノールが婚約者にしたいと言い出したのをティファス殿がゴネ倒して据えたのではないか。忘れたとは言わせぬ。本人は忘れてたようだがの」
王妃がちらりと横目で見る先にいたライノールは驚いて更に首を傾げている。それをマリアが驚いた顔でライノールを見ている。
王妃の言葉通り今の今まで忘れていた・・・・・・というか覚えていないようだ。
「そんな昔の事なんて忘れたわよ!」
「・・・・・・バカもバカ、親子揃ってバカとは救いようがないのう。それもこれも陛下のせいじゃ!」
スパーン!
「はい!すみません!!」
「バカとはなによバカとは!」
「王子教育や剣術を怠り学園に入って女漁りばかり・・・・・・子は親の鏡というがほんに似たもの親子よのう」
「なんですってぇ!!」
「今だに王族のマナーも身につけずドレスや宝石を買い漁りお茶会三昧、書類の一つも目を通さずぶくぶく、ぶくぶく。ライノールも平民になった事だしティファス殿もそろそろ放逐・・・・・・いや、離宮に移ってもらおうかのう」
「はあ⁉私は陛下に寵愛されているのよ!そんなの陛下が許すはずがないわ!」
「いつの話をしておるのじゃ?わらわの二倍の生地を使うドレスを着ているそなたに愛を注げるほど陛下は耄碌しておらぬ」
嘲笑うように話す王妃は、40に差し掛かるにも関わらず凛とした美しさを保ち18になる子供がいるようには見えないが、側妃は王妃が言ったように執務や公務もろくにせず、食事やお茶会以外動く事が無い為か若い頃の体型を維持できず、蝶よ花よと持て囃された美貌が見る影もない。
「ぐぬぬぬ・・・・・・」
少しだけ、本当に少しだけここ何年も食事時にしか陛下に会わないなーと思っていた側妃はそれ以上言い返せず、勝ち誇る王妃の顔を睨む事しかできない。
(((もうそろそろ本題に入ってほしい・・・・・・)))
部屋にいる全員が王妃と側妃の言い合いを見ながらそう思うのだった。
祝福モードを壊さないようにルクレ様が手だけで指示を出し、衛兵がライノール様とマリア様をその場から連れ出します。暴れているようですが屈強な騎士に敵うわけもなくあっさりと引きずられていきます。
「皆つまらないものを見せてしまいすまなかった。我々は所用があるので抜けるが最後まで楽しんでほしい」
そう言うと止んでいた音楽が流れ始めみんな戸惑いながらも動き出す。卒業パーティーの執行委員もいるので大丈夫でしょう。
「さあ行こうか」
「はい」
差し出された手を取りエスコートされながら扉に向かう。
「・・・・・・長かったね」
「ええ、やっと・・・・・・やっと・・・・・・」
その小さな声は音楽とざわつきだした周りによって誰にも聞き止められる事なく消えていった。
会場を出て向かった先は国王が非公式の話し合いをする部屋。ダークブラウンを基調とした落ち着きのあるテーブルにワインレッドのベルベット生地に金糸で刺繍されたソファーや椅子があり、部屋に入った時には既に国王や王妃と側妃、イリスリアの父であるマーベン公爵もいる。
先ほど会場から連れ出されたライノールとマリアもいたが、暴れてうるさかったのか手を後ろで縛られ猿ぐつわをされている。
「おお、来たな。座りなさい」
国王に促され礼をし、ルクレは王族側の空いている席に座りイリスリアはマーベン公爵の隣に座る。侍女が手際よく人数分紅茶を置くと護衛数人を残し出ていき、部屋には関係者のみになり重い空気が流れる。
「イリスリア嬢、愚息がすまなかった」
「そんなっ!」
40を過ぎても鍛えはち切れんばかりの筋肉を王衣で身を包んだ体をがばりと折り謝罪する国王にイリスリアは慌てる。一国の王が臣下に頭を下げるなど畏れ多くて震えてしまう。
「イリスリアよ、謝らせておけばいいのじゃ。元はといえば陛下のせいなのだからの。のう陛下?」
「うぐっ!」
隣に座る国王の脇腹に扇で容赦無く突く王妃は厳しい目を向ける。
「ついでに僕のとイリスリアの分もお願いします」
「相分かった」
「ぐっ!がふっ!」
ドスドスと追加で突いた扇を開き悶絶している国王を見下ろしため息をつく。
「・・・・・・ほんにあの時ライノールの我儘を聞いた側妃にデレてイリスリアをレオノールの婚約者にしなければ誰も傷つかなかったのです。反省なさいな!」
「うぅ・・・・・・はい・・・女王様・・・」
「今は王妃じゃ!」
スパーン!
「はいぃ!すみません!」
恍惚として王妃を見る国王に蔑む眼差しを向ける王妃。
((一体何を見せられているんだろう・・・))
イリスリアと公爵は目の前のやり取りをそう思いながら見つめているが、言葉は飲み込む。ルクレやライノールはいつもの事なのか無反応だが、マリアはポカンとしている。
「ちょっと!我儘って何よ!息子の願いを叶えるのは母親の役目じゃない!だから」
我儘という言葉にカチンときたのか側妃が反論するが「黙らっしゃい!」の一言で口を噤ませる。
どうやらヒエラルキーの頂点は王妃のようだ。
「あれは我儘の何物でもない。元々イリスリアはルクレの婚約者として内々に決まっていたのじゃ。それをライノールが婚約者にしたいと言い出したのをティファス殿がゴネ倒して据えたのではないか。忘れたとは言わせぬ。本人は忘れてたようだがの」
王妃がちらりと横目で見る先にいたライノールは驚いて更に首を傾げている。それをマリアが驚いた顔でライノールを見ている。
王妃の言葉通り今の今まで忘れていた・・・・・・というか覚えていないようだ。
「そんな昔の事なんて忘れたわよ!」
「・・・・・・バカもバカ、親子揃ってバカとは救いようがないのう。それもこれも陛下のせいじゃ!」
スパーン!
「はい!すみません!!」
「バカとはなによバカとは!」
「王子教育や剣術を怠り学園に入って女漁りばかり・・・・・・子は親の鏡というがほんに似たもの親子よのう」
「なんですってぇ!!」
「今だに王族のマナーも身につけずドレスや宝石を買い漁りお茶会三昧、書類の一つも目を通さずぶくぶく、ぶくぶく。ライノールも平民になった事だしティファス殿もそろそろ放逐・・・・・・いや、離宮に移ってもらおうかのう」
「はあ⁉私は陛下に寵愛されているのよ!そんなの陛下が許すはずがないわ!」
「いつの話をしておるのじゃ?わらわの二倍の生地を使うドレスを着ているそなたに愛を注げるほど陛下は耄碌しておらぬ」
嘲笑うように話す王妃は、40に差し掛かるにも関わらず凛とした美しさを保ち18になる子供がいるようには見えないが、側妃は王妃が言ったように執務や公務もろくにせず、食事やお茶会以外動く事が無い為か若い頃の体型を維持できず、蝶よ花よと持て囃された美貌が見る影もない。
「ぐぬぬぬ・・・・・・」
少しだけ、本当に少しだけここ何年も食事時にしか陛下に会わないなーと思っていた側妃はそれ以上言い返せず、勝ち誇る王妃の顔を睨む事しかできない。
(((もうそろそろ本題に入ってほしい・・・・・・)))
部屋にいる全員が王妃と側妃の言い合いを見ながらそう思うのだった。
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