顔バレしたくなくて陰キャを装ったら速攻バレました

ネコフク

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本編

最終話 2人に囲われます

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 ―――――1日に2人を相手するのは無謀でした。
 by 志摩


 青藍と緋色とセックスした後熱を出した俺は2日ぶりに登校した。初めてのセックスで2人を相手にするというのはいくら体が丈夫な方といえど負担が大きかったようだ。

 翌日熱を出した俺に2人は慌てふためき、智也は激怒。「初めてで2人連続ってアホなのか⁉」と説教を3人でくらってしまったが怒るトコそこなのかと言いたかったけどもっと怒られそうだからやめといた。

「で、2人に囲われる気になった?」

 にこにこといちるに聞かれたけど今更だ。鬼ごっこで宣言され外堀を埋められてストレートな愛情をぶつけられ体を繋げておいて「お断りします」はないだろう。

「囲われるも何も俺に選択肢ってある?」

「ないねぇ」

「だよな。でもさぁ高校はいいよ。だけど大学、社会人になったら色々問題が出てくるんじゃないか?いちるん家や青藍の家って結構な家なんだろ?」

「ダイジョーブダイジョーブ、二人共次男だし子供作んなくても平気。存分に囲われればいいよ。寧ろ志摩の家はどうなのさ?」

「うちは過保護だけど恋愛に関しては男でも泣いて喜びそう」

「じゃあ問題ないじゃん」

 まあそうなんだけど。俺がを出来ないと家族は思っているから諸手を挙げて喜びそうではある。女性にはそういった感情を一生持てそうにないし。だからといって男が好きだったかと言われれば違うんだけど。
 いつも一緒にいる智也は過保護でスキンシップも多いけど、それは小さな頃からだし従兄弟だから家族に分類されていてお互いそういう気持ちは一切ない。

 では青藍と緋色の存在はどうなんだろう。2人は見た目、学業、家柄共に良く、学園を二分するほど人気がある。初めて会った時に格好良いと思ったし、何故か甘やかされている。
 どこが良いかと言われれば見た目もだけど全肯定の家族と違っておもんばかってくれるのがいい。

 何よりも一生の残るであろう癒えることのない傷が隠れて見えなくなる。

(そこなんだよなぁ。今は言えないけどあの2人ならいつか話せる気がする……)

 夏の日差しが強くなった外を見つめながらきちんと返事をしないとなぁとぼんやり考えてそっとため息をつく。


 ◇◇◇◇◇


 夕食後俺たちは青藍の部屋で向かい合って座っている。
 部屋はブラウンの落ち着いた色でまとめてあり中々快適な空間になっている。ソファーもあるけど今は正座をして青藍と緋色の前にいる。

「早速ですが俺青藍と緋色に囲われたいと思います」

 俺に「話がある」と正座を促され緊張の面持ちだった2人は何故か驚いている。

「ん?何で驚いてるんだ?」

「いや……」

「なあ……」

 微妙な表情で顔を合わせている2人に両方選んではいけなかったのかと不安になる。

「あれ、ダメだった?」

「違っ」

「だって熱を出すくらい辛い思いをさせたから嫌になったのかと……」

 喜ばれていないのかとしょんもりすると慌てて否定してくる。

「あれはまあ……俺も拒否しなかったし気持ち良かったというか……考えたらさ、家族は別としてこの顔だからか周りは下心丸出しでグイグイきて、自分の意見や気持ちしか俺にふつけてこなくて。時には「自分がこんなに良くしてやってるのに」ってこっちは何も求めてないのに理不尽じゃね?
 だから自分本意なの嫌いでさ。でも青藍と緋色は絶対嫌なことをしないし必ず俺の気持ちを聞いてくれるじゃん。見た目も好きなんだけどそーゆーとこが本当に好きなんだよ」

 2人からはいつも聞いてたけど俺は自分の本心を言ったことがなかった。好きくらいは言ったけどこれから一緒にいるならちゃんと話さないとな。

「俺は一目惚れだったけど可愛いだけじゃなくちょっと抜けてたりシュークリームが一番好きだけどプリンにかける情熱や足がやたら早いとこも全て好きだ。誰にも触れさせたくないし俺たちだけを見てほしい。ずっと傍にいたいんだ」

「志摩が感じる憂いは全て俺たちが払ってやろう。だから安心して俺たちに囲われていろ」

「……うん」

 なんかちょっと照れくさい。俺たちだけを見ろだって。まあ緋色の言葉に不穏な響きがあったような気がするけど、気にしたらダメなとこっぽいからふれないでおこう。

 お互い照れてしまい軽くキスだけして解散となり部屋に戻ると何故か智也に誉められてしまった。智也曰く「話からそのままセックスになだれ込むと思ってた」だそうで。確かに若干1名そんな雰囲気を出していたけどな。

 こうして俺たちは正式にお付き合いをすることになった。


 ◇◇◇◇◇◇


「志摩が大学に入ったら一緒に住もう」

 季節は流れ青藍と緋色が3年になり俺は2年になった。順調に付き合いが続いていて夏休み明け早々2人は内部進学で大学を決めてしまっていた。
 2人共経営学部に進学し、在学中に会社を立ち上げようと計画を立てているようだ。

 受験もなくなり暇を持て余した2人が急にそんなことを言い出したのだ。

「来年の話をすると鬼が笑う」

「再来年の話だから大丈夫だ」

「そうなのか?」

「そうだ」

「ふーん?」

 なんか騙されてないか俺?ま、鬼の話を広げるつもりはないので口をつぐむ。

 何でそんなことを言い出したのか……理由は俺だ。

 付き合って1年、色々あったよ。教科書や私物を盗まれたり無断で写真を撮られたり。時たま「体で落としたんでしょ」って言われたり。人気者の2人と付き合うからには覚悟してたしそれくらいじゃあへこたれませんよ志摩さんは。

「なあ知ってる?」

「何を?」

「3年の久住って人。凄く綺麗な人なんだけど学校やめたんだって」

「ええっ、卒業まであと3か月じゃん!」

「そうなんだけどさ、何でも風紀委員長の怒りを買って家ごと潰されたらしいぞ」

「ひょえ~怖ぇぇ!家の取り潰しされるくらいの怒りって何だよ」

「さあ?何だろうな」

 チラッ

 はい、多分それ俺関係ですね⁉

 つーか、めっちゃ聞こえるように噂話してこっち見んなよ!
 緋色が俺に話さないってことは聞かせたくない嫌なことなんだろう。だからあえて問いただしたりはしない。「憂いは全て払う」って言ってたけどホント有言実行だな⁉

 なんてことがあった。多分俺が知らないこともありそうだけど、守るための提案なんだろう。ま、大半はただずっと一緒にいたいってだけだと断言できる。それほどいつもびったりみっちりだ。

「いいんだけどさー、俺家事全般一切出来ないよ」

「奇遇だな、俺たちもだ」

「ダメじゃん!どうやって生活すんの⁉」

 2人共どうやって寮生活してるのか聞いたら食事は全て食堂、掃除洗濯は週に二度業者が来てやるらしい。坊っちゃんめ。

 俺は智也が全てしてくれるからなんだけど、料理は家族からも止められるくらい酷い。レシピを見ようが何故か暗黒物質ダークマターが出来上がるのだ。一度無理して食べた兄さんと智也が1週間入院したので、さすがに俺も作ってはいけない人間だと自覚した。

「家政婦雇うか」

「そうだな。あとはセキュリティが高くてプライバシーが守られるとこか」

「4LDのファミリータイプがいいかもな」

「いっそのこと買うか?」

 おーい、俺が置いてけぼりですが⁉全員何も出来ないなら家政婦は必要だと思うし、セキュリティ高いのは有り難い。一緒に住むのもOKだ。たがその前に問題から目を逸してないか⁉

「ちょちょちょっと待てって!!金どうすんだよ⁉」

「?俺らが払うが?」

「俺ら?家の金じゃなくて?」

「……ああ、金の心配はするな。個人で資産運用して纏まった金はあるから余裕だ」

 そ……そうなんだ。って高校生でそんなに稼ぐなんて凄いな⁉待て待て、もう一つあるんだけど。

「それに家になんて言うんだよ。男同士だぞ」

 そうだ、俺たちは男同士、いくら前にいちるが大丈夫って言ってても名家なんだ、親は良く思っていないのかもしれない。高校限定の浮かれた感情で大学や社会に出たら覚めると思われているんじゃないか?

「心配すんな。志摩、今度俺たちの家に挨拶に行こう。事情は既に話してあるし喜んでる」

「……うそ」

「本当だ。寧ろ早く会わせろってずっと言われていたくらいだ。志摩の方はどうなんだ?」

「うちも早く会いたいって言ってた」

 2人が頭や頬にキスしながら話してくたのは「息子がこんな綺麗な子を見つけて来た!早く会わせろ!男?余計会いたくなった!」と連れてこいコールがしょっちゅうあるということ。
 今までは大学受験でスルーしていたけど同棲のこともあるし可愛い志摩を見せるのは断腸の思いで会わせるらしい。

「じゃあ順番に会いに行こう!」

「そうだな。物件は今から探せば志摩の卒業までには見つかるだろ」

「だな。志摩は何か希望はあるか?」

「俺ねぇ……」




 こうして今が幸せなのは顔バレしたくなくて陰キャを装いこの学園に入ったおかげなんだと思うと、速攻バレたけどやり損ではなかったんだと思う。

 そんなことを思いながら大好きな2人と悩みながら希望を出し合っていくなんでもない日の夜は更けていく。



∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

これで本編は完結です。お付き合いくださりありがとうございます。

次からは番外編3話、ifの世界2話となります。
不定期になりますが、7月上旬までには全て投稿したいと思っております。

そちらの方もお読みくだされば幸いです。
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