白銀の狐は異世界にうっかり渡り幸せになる

ネコフク

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うっかり渡っちゃった編

玉藻拾われる

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「君は・・・・・・だれ?」

 おにいたまのような金髪の男の子が話しかけてくるけどぼくは驚いて声が出なかった。

「驚かせちゃった?ごめんね。僕はジークフリート、君の名前を教えて欲しいな」

「玉藻・・・・・・」

 にっこりと笑う男の子にビクビクしながら小さな声で自分の名前を言う。

「タマモ?タマモって言うんだね。君とっても可愛いね!どこの子?・・・・・・あれ?犬みたいな耳がついてる。尻尾も」

 男の子はぼくの耳と尻尾を見て驚いてるみたい。そういえば男の子や後ろの人にはついていない。何でだろ?

 きょとんとするぼくに「何その顔、ヤバいんだけど!」って言ってるけど何がヤバいんだろ?

「王子離れて下さい!魔獣の一種かもしれません!」

「お前な・・・・・・そのデロデロにフヤケた顔をどうにかしてから言うんだな」

 腰に剣を差している人が男の子を庇おうとしてるけどキリッとしてなくて迫力がないよ。

「だって王子~怪しいけど可愛いんです!でも仕事だから捕まえないと!」

 捕まえるという言葉に体が跳ねる。ぼく捕まっちゃうの?怖くて耳と尻尾がヘタってしまうよ。

「待て。タマモが怯えている」

 男の子が後ろの人を片手で止め頭を撫でてくれる。おにいたまより小さい手だけどあったかい。つい耳と尻尾が動いちゃう。

「何かわっ・・・・・・この耳ってホンモノ?」

「ふわっ!」

 ぴこぴこ動くのが気になったのか耳を触られてくすぐったくて変な声が出ちゃったら撫でていた手が動かなくなっちゃった。

「・・・・・・おい」

「はいっ!」

「この子・・・今すぐ連れて帰るから!」

「了解しましたぁ!!」

「???」

 2人共何でか顔を真っ赤にしてるけどどうしたのかな?首をこてりとすると、後ろの人が片手で顔を覆って上を向いているんだけど鼻血でも出たの?

「タマモ立てる?」

 手を差し出されたのでその手をぎゅっと握って立ち上がる。あ、やっぱりぼくよりちょっと背が高い。

 パンパンと土や草を払ってくれた男の子は手を引いてどこかへ連れて行くみたい。ぼくあそこから離れても良かったのかな?

「大丈夫、僕の家に連れて行くだけだから」

 あれれ、ぼく不安そうな顔してたかな?ぎゅっと強く握られた手は頭を撫でてくれた時と同じ温かさだった。
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