白銀の狐は異世界にうっかり渡り幸せになる

ネコフク

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うっかり渡っちゃった編

神めっちゃ怒られる

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 ジークフリートが両親に玉藻を紹介している同じ頃・・・・・・


 ここ宮殿にある円卓の間。8つのうち背もたれが高い豪華な椅子に神が座り、他の椅子には鳳凰、狼、虎、狐、亀、龍、鹿の一族の長が着席している。

 皆一様に難しい顔をしており、特に神狐族の族長は後ろに金剛を待機させ神を睨んでいる。もちろん金剛も睨んでいる。

「急に呼び出して悪いな。実は困った事になってん。我のちょっとした手違いで玉藻が間違って渡ってもうてな」

「手違いなんて綺麗なものではないでしょう。主神がコケた拍子に、でしょうが」

「たまたまだもん」

 自分の失態を誤魔化そうとしたのに速攻バラされ神、拗ねる。

「またコケたんですか。そのドジっ子属性どうにかしてくれません?」

 呆れ顔の鳳凰一族の長、炎舞に言われ神はうっと言葉に詰まる。

「階段を登ればコケる、積まれた書類をばら撒いたと思ったら周辺の書類も雪崩が起こす、散歩すれば池に落ちる・・・・・・オマエ本当はドジの神?」

「ドジの神ってなんやねん。我、神々の頂点、ゴッドオブゴッドよ?もっと敬われていい存在やん」

「敬っていますよ。敬う以上に呆れてますが」

 燃えるような赤い髪を揺らめかせ言う炎舞に一同頷く。眷属として主たる神を皆敬ってはいるが、適当な行動が多いので苦労が絶えず、ぞんざいになってしまうのは仕方ないだろう。

「酷いなぁ」

「13回」

「えっ」

「13回、主神が今までに渡りの間でコケてやらかした回数だ」

 回数を言われきょとんとしたであろう神に神虎族の族長、猛虎が「忘れたとは言わせねぇ」と睨む。

「13回中5回、説明する前に渡る者をコケて魔法陣に投げ落としたのを忘れたとは言わせねぇよ。ああ、そういえば危うく主神が渡りそうになった事もあったな。酷いのは肩叩きの棒を魔法陣に落としてそれだけ異世界に行ってしまった事もあったなぁ」

 短く刈った白髪はくはつをぶわりと立たせ挑発するように話す。

「アレお気に入りやったのにショックだったわ。虎の手の形で肉球付きやってん」

「いや、そのせいで神虎族うちの者が渡れなかったんだぞ!異世界の争いをおさめる為に渡ったのが肩叩き棒って。向こうの神が「肩叩き棒で何すればいいんだ!」ってぶっ倒れたんだぞ!」

 飄々と言う神に猛虎は怒りを隠さない。

「怒りを抑えろ猛虎、あれでも一応神々の頂点に立つお方だ。いくら不出来でも礼節は弁えろ」

「炎舞お前も大概酷いで。我、神なのになぁ」

「今は昔の事をほじくり返している場合ではない!うちの可愛い可愛い玉藻がクソ神のせいで渡ってしまったんだ」

 話が逸れていくのをイライラとしながら聞いていた神狐族の長、安寿が腕を組み尻尾を膨らませ威嚇する。

「たまたま今回の渡りは平和な国だったから良かったものの、もし戦禍の真っ只中だったら大変な事になっていたのだぞ!主神、反省!そして仕事しろ!」

「どさくさに紛れて仕事せかさんといてぇな。我だって反省しとるよ。玉藻は我のお気に入りだったしな」

 いじいじしている神を放っておきつつ皆頭を悩ませる。悩む理由は渡った先に迎えに行ったり、姿を現し干渉する事は禁じられており、それを破ると存在を消され回帰する事が出来なくなってしまう為、下手な事が出来ないからだ。

「猛虎よ、肩叩きの棒を送った世界はどうなったのだ?」

「ああ、あっちの世界の神がヤケを起こしてな、それに色々能力を付与して無理矢理最強の武器にしてたぞ」

 それはヤケ過ぎるだろうと皆思ったが、自分達の主がやらかした事なので口に出しては言わない。

「肩叩き棒が最強武器なんて不憫やなぁ」

「「「「お 前 が 言 う な!」」」」

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